元F1ドライバー、ハースF1新代表 小松礼雄の”片腕”に相応しい「適任者」を挙げる | 北海熊の独り言

元F1ドライバー、ハースF1新代表 小松礼雄の”片腕”に相応しい「適任者」を挙げる

小松礼雄ハースF1チーム新代表の”片腕”として相応しい人材について元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、小規模予算チームを率いて実績を残してきた”ある人物”の名前を挙げた。

 

チームオーナーのジーン・ハースは年明け早々の2024年1月10日、ギュンター・シュタイナーとの10年に渡る関係を精算し、エンジニアリング・ディレクターを務める小松礼雄をチーム代表に昇格させた。

 

F1チーム代表という役割は非常に複雑で、その職務は広範囲に渡る。

 

レースチームの運営や車体開発の方向性など、全体的な戦略を立案し、直接的にレースに関わる意思決定を行うだけでなく、スポンサーとの関係維持や獲得、利害関係者との折衝、チームのイメージやブランド構築の観点で重要なメディア対応など、求められるものは多い。

 

技術畑でキャリアを歩んできた小松礼雄は、自身の専門以外の領域を自らマネジメントするのは無意味だと考えており、ハースはチーム代表の片腕としてエンジニアリングやレース以外の全ての領域を任せられる最高執行責任者(COO)を設ける計画だ。

 

現時点でその役割を担う人物は未定だが、ハースには「チームを鼓舞し、新しい人材を引き入れ、育成できる人物が必要」であるとしてシューマッハは、レーシングポイント(旧フォース・インディア)やアルピーヌを率いた経験を持つオトマー・サフナウアーが適任であるのは「間違いない」と考えている。

 

シューマッハは独「Formel1.de」が公開した動画の中でハースとシュタイナーの離別を振り返り、両者の関係は決して良好ではなかったとしたうえで、独特のキャラクターによってある種の「ブランド」として人気を博してきたシュタイナーがF1パドックを去るのは「残念だ」としつつも、変化の時が訪れたと付け加えた。

 

 

シューマッハがサフナウアーを推す理由の一つは彼が持つ技術的な専門知識にあり、もう一つには、時に大学などの教育機関にまで目を向け優秀な人材をチームに引き入れる「先見の明」にある。

 

シューマッハは「チームを前進させる新しい人材」を見つけ出すサフナウアーのスキルを高く評価しているとして、それこそがコンストラクターズ選手権最下位からの脱出を図るハースに必要な要素だと指摘した。

 

元フェラーリのマッティア・ビノットなど、サフナウアーの他にも何人かのチーム代表経験者がマーケットに出ているが、ビノットについてシューマッハは、サフナウアーが持つような人材発掘の才はないと指摘し、ハースよりはアウディとの関係が深いと付け加えた。

 

サフナウアーが適任との指摘は的を得たものと言える。

 

米ウェイン州立大学で電気工学を学んだサフナウアーはその後、デトロイト・マーシー大学でビジネスと金融の修士号を取得。社会に出た後はドライバーとしてレース経験を積みつつ、主に実業家、経営者として才覚を発揮してきた。

 

BAR(後のホンダ)でF1でのキャリアをスタートさせると、ハースと同じように慢性的な資金不足に苦しんだフォース・インディアではCOOとして手腕を振い、レーシングポイントでは最高執行責任者(CEO)兼チーム代表として中団上位を争う活躍を残した。

 

チームが「アストンマーチン」へと改称された後も同職を担い、2022年の初めにアルピーヌのチーム代表に就任。昨年7月に退任し、現在はフリーとなっている。

 

サフナウアーが適任と考える理由についてシューマッハは、小規模チームの内情を熟知しており、限られたリソースを効果的に生かして最大限の結果を上げる能力に長けているからだと説明した。

 

また、例えば従業員が1,000人を超えるような大規模チームの経験者を雇った場合、ハースに入った直後は小規模であるが故の課題に直面し、即戦力として腕を振う事は難しいだろうとも指摘した。