ウイリアムズF1代表「インフラが整わない状況で現状のパフォーマンスは上出来。良い状況にある」 | 北海熊の独り言

ウイリアムズF1代表「インフラが整わない状況で現状のパフォーマンスは上出来。良い状況にある」

ジェームス・ボウルズは、数々のタイトルを獲得したメルセデスを離れ、2023年からウイリアムズに加入。チーム代表の職に就いた。

 

ボウルズ代表はウイリアムズに加入した後、インフラの一部はメルセデスに対して、20年も時代遅れであると公言。驚きを隠していない。

 

 ボウルズ代表はその遅れを取り戻すため、レギュレーション変更の必要性を働きかけるなどしてきた。しかしそんな状況にあっても、2023年シーズンのような成績を残せたことを、大いにポジティブに感じているという。

 

ウイリアムズは、1980年代から2000年代にはトップチームの一角として君臨し、数々のタイトルを獲得してきた。しかし現時点ではトップとの差が大きく、最下位を争うことすらある。

 

 そんな状況から脱却し、かつてのような黄金期の状態に復活するためにはどれほどの追い上げが必要か……気が遠くなりそうにも見える。しかしボウルズ代表は、全く異なる見方をしている。

 

 現在のレギュレーションでは、チームの年間予算が厳しく制限されている。そのため、インフラの拡充のための投資も、自由にはできない状態だ。ボウルズ代表はこの状況を打破するために働きかけ、投資の制限変更に関してある程度成功を収めた。

 

2023年のウイリアムズは、2017年以来最高得点を獲得。コンストラクターズランキングでも7位となった。チームが厳しい状況にある中でも、まずまずの成績を残せたことは、今後に向けた大きな後押しになるとボウルズ代表は語る。

 

「私はいいことだと思っている。そう思っている理由はここにある」

 

 ボウルズ代表はmotorsport.comに対し、インフラの状況についてそう語った。

 

「このチームは情熱によって支えられている。そして私が加わる前も、私がここに来てからも、信じられないほど良い成績を収めている。まさにレーシングチームだ」

 

「我々の施設、構造、インフラ、手法を観察し続け、我々がどれほど遅れているかということを認識する度に、そのことによって励まされているんだ」

 

「我々は今ここにいる。そして、多くのことが修正されるまで待ちきれない。我々は、もっと良い場所に立つことができるからね。そして短期的にもかなりの課題があるから、我々には簡単に手にできる”前進”するための要素が、まだまだ残っているんだ」

 

 

ボウルズ代表は、ウイリアムズがトップチームに追いつくためのインフラを手にするのは、実に長期的なプログラムになるであろうということをしっかりと理解している。そしてそれこそが、ボウルズが代表としてできること。チーム復活のために、短期的な考え方をチームから取り除く必要があったという。

 

「私はチームに加入した時、『来年のマシンはどうなる?』と尋ねたが、答えはなかったんだ」

 

 そうボウルズ代表は説明する。

 

「私はこう言ったんだ。『そうだね、すぐにそういうのは変更しよう。我々は来年、再来年、そして2026年に向けて集中する必要があるんだ」

 

「なぜならば、今に集中してしまうとそこが窓口となってしまうし、全てが突発的な活動になってしまう。組織全体を前進させることができない」

 

 ウイリアムズは、適切な人材が適切に配置されているという。しかしその人材の動かし方は、適切ではないという状況がほとんどだったようだ。

 

「優れた人材がいない限り、自分たちが持っている力だけでチャンピオンシップを7位で終えることはできない」

 

「しかし、彼らは協力して働いていなかった。彼らは非常に閉鎖的な人たちの集まりだったんだ」

 

「そのため、最初のステップは、グループとして共に働くために、有能な人材を集めることだった。次に、パフォーマンスは自分たちの責任であると、グループ全体に認識させた」

 

「それは空力だとか、ビークルダイナミクスだとか、そういうことじゃない。グループなんだ。自分たちで解決しなきゃいけない。それで全てを混ぜ合わせると、突然力関係が変化し、お互いのことを非難し合うようなことはなくなる。そして共に働けるようになるんだ」

 

「ふたつ目の変更は、丘の上に旗を立てることだ。今回のレースや次のレースで何が起きるかなんて、そんなことは気にしていない。私が楽しみにしているのは来年、再来年、そして2026年に向けて我々がどう成長していけるかということだ。そういう目標を変更するんだ。では、それはどうすれば達成できるだろうか?」

 

「短期的な活動に重点を置いたモノもあった。だからそこは一度落ち着かせ、適切な体制を整えることに集中する必要があったんだ」

 

「本当に良いモノは6ヵ月後、もしくは12ヵ月後に現れ始める。チームはこの変化を受け入れてくれており、『どうやって前に進むのか、前を向くのか』ということに対して『もう少し頑張ろう』となっている」

 

 ボウルズ代表は、マシンのスピードを超えた部分で、ウイリアムズの進歩が顕著であることを望んでいる。

 

「誰もが共感できる部分もある。パフォーマンスもひとつの要素だね。でも私が意味しているのは、態度やアプローチ、ボディランゲージ、進べき方向、そして投資についてだ」

 

「それは全てアプローチの変更であり、願わくば具体化していきたい」

 

「進んでいる方向については、満足している。船が正しい方向に曲がっていることについて満足している。まだ完全に正しい方向に向けたわけじゃないけど、少なくとも我々は舵を切って、動き始めているんだ」