ウイリアムズF1代表、名門復活に向けて「チーム内には火花が散っている」 | 北海熊の独り言

ウイリアムズF1代表、名門復活に向けて「チーム内には火花が散っている」

メルセデスAMG F1チームで戦略責任者を務めた経歴を持ち、2023年シーズンからウイリアムズF1チームの代表に就任したジェームズ・ボウルズは、加入後に行なった組織改革が実を結びつつあると示唆している。

 

フランク・ウィリアムズが創設した名門F1チームであるウイリアムズは、ここ数年は慢性的な資金不足に苦しみ、F1のテールエンドを走ってきた。しかし再起に向けて2020年にはウイリアムズ家の手からチームは離れ、オーナーにはアメリカの投資ファンドであるドリルトン・キャピタルを迎えた。

 

 そして、転換期にあるウイリアムズに加入したボウルズには、チームの運命を好転させるという任務が課されている。

 

ウイリアムズは2022年シーズンのコンストラクターズランキングで10位。6シーズン中4回目の最下位となり、2018年から3年は連続で最下位を記録している。しかし、ボウルズはチームの将来には光が差していると言う。

 

「火花という言葉が一番しっくりくる」とボウルズは言う。

 

「火花が散っていて、それを目にするのはとても魅力的だ。肩の荷が下りて、顔を上げ、我々がどこへ向かっているのか、どのように前進できているのか、本当に方向性が見えてきた」

 

「見ての通り、このチームはとてつもなく困難な冬を過ごし、それより前の数年間も困難な日々を過ごしてきた。しかし、チームはトンネルの先にある光や我々が進むべき方向性を見ることができるようになったのだ」

 

2023年シーズンに向けては、ボウルズの前任だったヨースト・カピトと共に、テクニカルディレクターのフランソワ-グザビエ・デメゾンと空力チーフのデビッド・ウィーターがウイリアムズを去っている。これらの技術トップのポジションは今のところ空席のままだが、ボウルズは2023年シーズンを犠牲にしてでも、長期的にチームを前進させるために適切な体制を整える時間をかけると説明している。

 

 そのために、ボウルズはまず、組織の計画と運営を監督する最高執行責任者(COO)にフレデリック・ブルソーを起用した。

 

 ブルソーは、ジェットエンジンメーカーのプラット&ホイットニー・カナダに20年以上勤務し、その中で副社長にまで昇格。航空宇宙産業での豊富な経験を有している。

 

ブルソーの起用について、ボウルズは次のように語っている。

 

「F1マシンは1万5千ものパーツから構成され、数週間のうちに製造され、組み立てが行なわれる」

 

「彼はプラット&ホイットニーに20年以上務め、数千人……我々の場合は数百人もの人々を重要な局面で束ねる手段について、豊富な経験と知識を持っている」

 

「そして特に予算制限下では、それを効率的に行なうことができればできるほど、その後のマシン開発に使える資金が増える。それは、チームのあらゆる面で重要な要素だと思う」

 

 一方で、ボウルズはテクニカルディレクターと空力チーフに相応しい人材を探しており、担当者が正式に加入するまでは現在の技術部門のメンバーで補うこととなる。

 

「この先、技術的なリーダーが必要になる。今は沢山のスタッフがいて、素晴らしい仕事をしてくれているが、業界から豊富な経験を持つ人材を補う必要がある」とボウルズは認めている。