ポルシェ、2026年に向けたF1参戦計画をついに凍結。マクラーレンとの交渉も決裂 | 北海熊の独り言

ポルシェ、2026年に向けたF1参戦計画をついに凍結。マクラーレンとの交渉も決裂

ポルシェのF1参戦計画がついに凍結され、今後数年間F1に参戦する可能性がゼロになったようだ。

 

レッドブルと提携し、F1参戦を目指していたポルシェだがその交渉は決裂。しかしポルシェは2022年9月の時点でも、F1は魅力的な環境であり引き続き注視していくという公式的な立場を取っていた。しかしポルシェのF1参戦を後押ししていたフリッツ・エンツィンガーが退任したこともあって、次第にF1参戦を目指す動きは鈍くなっていった。

 

 レッドブルと手を結べなかったポルシェがどんな道を選ぶのか、コミュニティやメディアによって様々なシナリオが予想された。ウイリアムズとの手を組むのか、F1参戦計画を公言しているアンドレッティと組むのではないかという憶測もなされたが、これらは根拠がないものだった。

 

また、ポルシェがワークスプログラムを立ち上げて、参戦を目指すという根も葉もない噂も流れたものの、むしろポルシェのF1プログラムは徐々に眠りについていったのだ。

 

 motorsport.comの姉妹サイトである『Motorsport-Total.com』の調べによると、フリッツ・エンツィンガーのリーダーシップのもと、F1参戦の準備を進める役割を担っていた従業員が、その後グループ内の他の業務に配置転換されたという。

 

そして今回ポルシェ自身が、同社のモータースポーツ活動の焦点は別のところにあるとして、F1プロジェクトは、少なくとも今後数年間は棚上げされることが明らかになった。

 

 ポルシェはF1計画について、次のように述べている。

 

「モータースポーツは、常に我々のブランド・アイデンティティの中核をなすものだ」

 

「F1は、我々にとって興味深いレースシリーズであり続けている。しかし”今後数年”は、フォーミュラEおよびWECとIMSAでのレースに集中する」

 

「そこでは総合優勝を目指して戦いたい。それが我々の伝統であり、最大の焦点だ」

 

F1に興味を持ち続けているというフレーズは、ポルシェのF1参戦の可能性を永遠に閉ざすものではないが、現在は現在F1プログラムを追求するための活発な取り組みがないことを明確にしている。

 

 新たに判明した事実としては、レッドブルとの交渉が失敗した後もプロジェクトが止まっていたわけではないということだ。ポルシェはその後、マクラーレンとコンタクト。これはレースをメインとしたものではなく、ポルシェがマクラーレンに資本参加し、共同で市販車のスペシャルエディションやSUVを開発するというアイデアだった。

 

 いずれにせよ、マクラーレンのF1チームは取引の焦点にはならなかっただろうが、コンセプトとしてはあり得たはずだ。2022年7月にF1チームの姉妹会社であるマクラーレン・オートモーティブのCEOにマイケル・ライターズが就任している。彼はフェラーリでCTO(最高技術責任者)を務めていたが、その前は13年間ポルシェにいた人物なのだ。

 

 そうこうしているうちにそうした接触も冷え込み、ポルシェのF1参入の試みはついに瓦解してしまった。結局、フォルクスワーゲン・グループからはアウディのみが、ザウバーと組んでファクトリー参戦することになったのだ。

 

ちなみに、アウディがザウバーと最終的に合意する以前、アウディとマクラーレンの間でもチーム株取得に関する真剣な話し合いが行われていた。これを主導したのは、ゲルハルト・ベルガーだった。彼は2022年8月、『Motorsport-Total.com』の質問に対し、「私はマクラーレンとのコンタクトを取りもった」と認めている。

 

 政府系ファンドを通じてマクラーレン・グループの株式を保有するバーレーン王室が、ベルガーを通じて連絡を取ったという。マクラーレンはF1においてアウディのパートナー候補にも挙がっていたが、数ヵ月に及んだこの話し合いも結局は結論が出ずに終わっている。