【WRC】第2戦スウェーデンDay2 : クレイグ・ブリーンが総合首位。勝田はデイリタイア | 北海熊の独り言

【WRC】第2戦スウェーデンDay2 : クレイグ・ブリーンが総合首位。勝田はデイリタイア

2月10日、WRC世界ラリー選手権第2戦『ラリー・スウェーデン』デイ2のSS2~8が、スウェーデン北部のウメオを拠点に行われ、ヒョンデ・シェル・モビスWRTのクレイグ・ブリーン(ヒョンデi20 Nラリー1)が、前日の7番手から総合首位に浮上した。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)はSS4でステージベストを記録するなど好走を見せていたが、SS5でのクラッシュによって車両にダメージを負い、続くSS6でデイリタイアとなっている。

 

 夜明けから日没までよく晴れた北欧の空模様とは対照的に、順位が目まぐるしく変わっていく一日だった。ラリー・スウェーデンの競技2日目はサービスパークの北側のエリアで、新ステージを含む3本のステージを各2回走行し、一日の終わりに行われたSS1の再走ステージSS8によって締めくくられた。

 

 7本のSS、合計106.76kmで争われたこの日最速だったのは、総合7番手で競技2日目を迎えたブリーンだ。ダニ・ソルドとヒョンデの3台目のマシンをシェアしながらシーズンを戦う彼は今回が2023年シーズン初参戦。ヒョンデi20 Nラリー1の経験も浅いブリーンだが、この日のオープニングステージとなったSS2ではいきなりのベストタイムをマークし総合2番手にジャンプアップしてみせる。

 

 さらに、午後のループで行われたSS2の再走ステージSS5ではふたたびのステージ優勝で総合トップに立つと、夕暮れ時に行われたSS6で連続ベストを刻み、午前中のリーダーだったオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)を10.5秒引き離した。

 

 一方、順位を奪われたタナクは日没後にペースアップ。ギャップを築かれた直後SS7でMスポーツ移籍後初のステージ優勝を飾ってライバルの貯金を4.1秒を削り取ると、デイ2最後のSS8でも2番手タイムでブリーンを上回り、その差を2.6秒に縮めている。

 

 一日の終わりにライバルからプレッシャーを受けながらも首位の座を守ったブリーンは、「間違いなく、僕にとって最高の一日だった」と笑みをこぼしながら語った。

 

「昨年は逆さまになっていたり、どこかの生け垣に(クルマを)引っ掛けたりしていたので、今夜首位に立てたことがうれしいよ。マッド・ハッターのティーパーティに招待されたようなものだ。明日が待ち遠しいよ」

 

 熾烈なトップ争いを繰り広げる両名の後ろでは、SS3とSS7で2番手タイムを記録し、総合3番手に順位を上げたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が表彰台圏内に位置している。トップから11.2秒の後れを取る彼は、SS6のジャンクションでスピンを喫したがミスらしいミスはこの一度きりで、総合4番手のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)を15.3秒リードしている。

 

【オット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)】

【SS5で雪壁にヒットした後、ロールしてダメージを負った勝田貴元のトヨタGRヤリス・ラリー1】

 

トヨタ勢最上位となったエバンスは、序盤で苦戦し一時は総合7番手まで順位を落としたものの、徐々にペースを取り戻していった。総合4番手で迎えたSS6ではセカンドベストを記録。その後のふたつのステージでもポジションを守っている。

 

 チームメイトの勝田がSS5“ブラットビー2”でロールをともなうクラッシュを喫したこともエバンスの上昇に関連している。SS4で今季初のステージウインを飾った勝田は、ミッドデイサービスを挟んで迎えたSS5終盤の左コーナーで速度を落としきれず、右側(アウト側)のスノーバンク(雪壁)に激突。クルマは反動でロールしフロントからリヤにかけて大きなダメージを負ってしまう。それでも同ステージを走りきり、残りのステージでの競技続行を目指した勝田だったが、ダメージがラジエーターにも及んでいたことからSS6の途中でストップし、そのままデイリタイアとなった。

 

初日を首位で終えたロバンペラは総合5番手にダウン。緩い雪がコースにあるコンディションはディフェンディングチャンピオンにとって望んでいたものではなく、グリップ不足により苦戦を強いられた。しかし、そのなかでもSS3でベストタイムを刻んだ22歳のフィンランド人は、一日の最後のSS8でもステージウインを飾り僚友エバンスとのギャップを4.6秒に縮めている。

 

開幕戦モンテカルロで3位表彰台を獲得したティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)は、チームメイトのブリーンとラッピが好ペースを発揮するなか苦戦を強いられている。彼はクルマのアンダーステアに悩まされたうえに、スノーバンクへのヒットによってフロントとリヤのエアロを失ったことで、よりその症状に悩むこととなった。デイ2のベストはSS8のステージ4番手。総合順位は前日からひとつダウンの6番手だ。

 

 Mスポーツのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)はトップから1分16秒遅れて総合7番手でデイ2を走破した。彼の後方にはWRC2クラスを戦うオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)、サミ・パヤリ(シュコダ・ファビアRSラリー2)、ヤリ・フッツネン(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)のシュコダ勢が並びトップ10リザルトを形成している。

 

 競技3日目となる11日(土)は、サービスパークの北側で3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。オープニングのSS9と再走ステージとなるSS12“ノルビー”は新登場のステージだ。デイ3はSS9~15までの計7本で争われ、その合計距離は126.22kmと4日間で最長に。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は468.50kmに上る。

 

【エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)】

【エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)】

【ピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)】

【カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)】

2023年WRC世界ラリー選手権第2戦ラリー・スウェーデン暫定結果 SS8後

Pos. No. Driver Machine Gap
1 42 C.ブリーン ヒョンデi20 Nラリー1 57’05.5
2 8 O.タナク フォード・プーマ・ラリー1 +0’02.6
3 4 E.ラッピ ヒョンデi20 Nラリー1 +0’11.2
4 33 E.エバンス トヨタGRヤリス・ラリー1 +0’26.5
5 69 K.ロバンペラ トヨタGRヤリス・ラリー1 +0’31.1
6 11 T.ヌービル ヒョンデi20 Nラリー1 +0’36.8
7 7 P-L.ルーベ フォード・プーマ・ラリー1 +1’16.2
8 20 O.ソルベルグ(WRC2) シュコダ・ファビアRSラリー2 +2’56.8
9 28 S.パヤリ(WRC2) シュコダ・ファビアRSラリー2 +3’09.8
10 24 J.フッツネン(WRC2) シュコダ・ファビア・ラリー2エボ +3’31.9
20 37 L.ベルテッリ トヨタGRヤリス・ラリー1 +5’09.7
R 18 勝田貴元 トヨタGRヤリス・ラリー1 SF6