マクラーレンCEO「F1予選で赤旗や黄旗を出したドライバーのタイム抹消ルールが必要」 | 北海熊の独り言

マクラーレンCEO「F1予選で赤旗や黄旗を出したドライバーのタイム抹消ルールが必要」

マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンが、今後F1の予選で不正行為を行うドライバーが出ることを防ぐために、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は速やかに対策をとるべきだと主張している。

 

2022年のF1第7戦モナコGPではフェラーリ勢が予選で最前列グリッドを確保したものの、予選Q3で3番手タイムを出していたセルジオ・ペレス(レッドブル)がわざとクラッシュし、チームメートのマックス・フェルスタッペンがそのタイムを更新することを妨げていたようだとの噂がささやかれている。

 

また、降り出した雨により刻々と路面状況が変わりつつあった第21戦ブラジルGPの予選でも、Q3で3番手タイムを刻んでいたメルセデスのジョージ・ラッセルがコースアウトしてセッションが中断。その後路面が完全にウエットとなってしまったことからほかのドライバーたちはタイム更新のチャンスを失い、伏兵ハースのケビン・マグヌッセンがポールポジションを獲得するという展開となっていた。

 

実際のところ、2006年のF1モナコGP予選Q3では、その時点で最速ラップタイムを刻んでいたフェラーリのミハエル・シューマッハがコース上にマシンをストップさせたことで、ほかのドライバーたちがタイムを更新することができないという事態が発生。FIAはその後シューマッハが意図的にほかのドライバーの走行を妨害したと認定し、シューマッハの予選タイムをすべて抹消するペナルティーを与えたという例もあった。

 

そのときのシューマッハは、不自然にコーナーで減速してコース上にマシンを止めていたのだが、もしそのとき実際にウォールに軽くでもヒットしていたとしたら、それが故意だったのか本当にミスだったのかを判定するのは非常に難しいだろう。

 

予選中に赤旗や黄旗を出す原因を造ったドライバーに対して何らかの措置をとらないと不公平ではないかとの声は、実際のところかなり以前からあったものの、2022年にもそうしたケースがあったことを受け、ブラウンはそうした場合にはそのドライバーの最速ラップタイムを抹消するのが最善の方法だと主張している。

 

例えば、ブラウンの出身国であるアメリカのインディカー・シリーズなどでは予選セッション中に赤旗の原因を作ったドライバーはそのセッションでの最速タイムが抹消されるルールとなっている。この場合、ドライバーが故意にそうしたのか、そうではなかったのかは関係がない。

 

「赤旗あるいは黄旗を出し、ドライバーたちが周回するのを事実上妨害した場合にはそうすべきだと思う」

 

そう語ったブラウンは次のように続けた。

 

「ほかのモータースポーツでもそうだが、そのセッションの最速ラップを失うことになる。すべてのドライバーは1ラップを走行しようとしているわけだから、故意であろうがなかろうが、そのドライバーにペナルティーを科すことになるんだ」

 

「誰かのラップを台無しにしたのだから、それが簡単な解決策だと私は思うし、すぐにでも導入できるだろう」

 

しかし、アルピーヌのCEOを務めるローラン・ロッシは、それとは異なる解決策の方がいいと考えているようだ。

 

つまり、赤旗や黄旗を出したドライバーの最速ラップを抹消しただけでは、それによってタイムを出すチャンスを奪われてしまったほかのドライバーを救済することはできないためだ。

 

そのため、ロッシは、そうした場合には予選セッションを延長し、ほかのドライバーたちがアタックラップを終えることができるようにすることが望ましいと考えている。

 

「私個人として言えるのは、いずれにしても彼らは自分たちにペナルティーを科すことになるということだ」

 

『RacingNews365.com』を含むいくつかのメディアにそう語ったロッシは、次のように続けた。

 

「だから、例えば、セッションを1周か2周延長し、ほかのドライバーがアタックラップを終えることができるようにすることもできると思う。そして(赤旗原因などを作った)そのドライバー自身は何のペナルティーもなく続行することはできないだろうからね」

 

「しっかりと再検討することが必要だ。しかし、ドライバーやチームを性急に非難するべきではないよ」

 

 

一方、アストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックは、この問題に関しては、最終決定を下す前にまずこのテーマについて多くの調査をする必要があると考えている。

 

「私はこの件に関して、白か黒かといった明確な意見は持っていないんだ」

 

かつてBMWのモータースポーツ責任者を務めていた50歳のクラックはそう語ると、次のように付け加えた。

 

「私はスポーツ委員会に諮って、過去10年間の状況を調べ、ケース・バイ・ケースで検討する必要があると思っている。というのも、何かよくないことがあったときに誰かを裁判の前に有罪するのはかなり性急に過ぎるからね」