「世界一美しいJZA80スープラ認定」もはや芸術の域! 次元が違いすぎる・・・ | 北海熊の独り言

「世界一美しいJZA80スープラ認定」もはや芸術の域! 次元が違いすぎる・・・

◼️ボルト一本位まで拘った究極のカスタムスタイル

SEMAが認めた各部のディティールは必見

 

フェラーリのロッソコルサに染め抜かれたJZA80スープラ。オーナーのエンリケ・ムニョスは、テレビゲームのCGクリエイターを生業としている。エンジニアだった父親の影響を受け、子供の頃から身の回りにコンピュータがある環境で育った。専門誌に掲載されたコードを打つことに没頭する少年だったと言う。

そんなエンリケを夢中にさせた、もうひとつの宝物がクルマだ。高校生になると、友人達とロングビーチで夜な夜な行われていたストリートレースを見物。ある時、その友人が持っていたポスターに描かれたレーシングカーにハートを奪われる。

当時のJGTCに参戦していた2台のスープラ。ハイテクを象徴するジャパニーズカーに強烈な衝撃を受け、いつかそのクルマを手に入れたいという夢を抱くようになった。資金を貯め、ようやくパーフェクトな条件を備えた車両と巡り合ったのが23歳の頃。すぐさま購入して夢のファーストステップを踏んだ。

チューニングは、カリフォルニアの気鋭チューナー“ツインズ・ターボ”に依頼。エンリケが最も拘ったのは、JDMであるスープラをホットロッドの精神を元にモディファイすること。

多くの日本人にとって『ホットロッド』というと「旧いアメ車をベースにしたカスタム」といった漠然としたイメージしか浮かばないものだが、それは「最先端テクノロジーと伝統のクラフトマンシップを駆使し、とことんディテールにも拘った美しくて速いクルマ作り」という、確固たる思想と手法を指す。

丸2年を費やして完成したJZA80は、チューニングカーという枠では収まりきらない、宝石のような輝きを放つ。

心臓部の2JZは、Full Race製のEXマニと4インチダウンパイプを使用し、インタークーラーは上部に取り外し可能なダクトを載せたVマウントレイアウトを実現。HKSハイカムやID2000インジェクターが投入され、エタノール燃料のE85に対応するボッシュ製フューエルポンプとフレックスフューエルセンサーも取り付けられている。

エンジンベイを構成するメタルワークやワイヤリング、カスタムハーネスで接続するモーテックのチューニングなどは、それぞれ専業の職人の手に委ねられた。ネジ1本からクランプに至るまで、細部の品質に拘ったのも、エンリケが言う「ホットロッドの精神」なのである。

組み合わせるタービンは、大径のプレシジョン6766。インコネルの遮熱板を含め、2JZを美しく引き立てるパーツチョイスとのことだ。

足回りはHKSハイパーマックスMAX IV GTを軸に構築。各部に調整式アームが導入され、ブッシュ類もフルピロ化済み。適度に落とされた車高が好印象だ。

ホイールは、BBSモータースポーツのコンペティションスペックであるE88をリバレル。ピアスボルトとバルブキャップはすべてARP製だが、中でもバルブキャップは世界に2セットしかないうちのひとつで、SEMA出展時にエンジンルーム内のボルトが全てARPだったことに感動した関係者からプレゼントされたものだとか。タイヤはトーヨーのプロクセスR888だ。

ブレーキはフロントにブレンボ6ピストンモノブロックキャリバー&スリットローターを、リヤに4ピストンキャリパーをセットする。

エクステリアは日本から直輸入したRIDOXのボディキットを投入。JGTCのスープラに魅せられてカスタマイズに目覚めたエンリケにとって、夢をそのまま形にしたようなスタイリングが生み出された。

ボンネットとディフューザーもJDMを代表するトップシークレット製で、ドアミラーはガナドール製。カスタムLEDで製作したターンシグナルは、純正よりも細身でクールなところがお気に入り。

室内も凄まじい。インパネ全面とクロモリのロールケージには手縫いのレザーを丁寧に張り合わせ、ルーフライナーにはアルカンターラを採用。メーターはTRD製でフルLED化される。ペダル類は絶版のヴェイルサイド製で揃える。

モーテックm800をはじめとする制御ツールは助手席の足元にマウント。クリアのフットレストを被せ、魅せる演出も完璧だ。

リヤボードの蓋を開けると、ドライバッテリーやカスタムオーディオのリレーが顔を出す。整備性も追求されているのである。

ブラックレザー製のレカロシートの背面と座面には、ビンテージのピンバッジを取り付けたカスタムレザーを追加した。

ホットロッドの哲学に基づき、パーツのクオリティ、素材や色の使い方、仕上がりの美しさなどなど、時間と費用をかけた分、妥協のないモディファイを施したスープラは、2015年のSEMAショーにおいて、栄えあるバトル・オブ・ザ・ビルダーズ・トップ10に選出された。全米のカスタム業界で最も栄誉ある賞を獲得したのである。

情熱を糧に憧れを現実のものとしたエンリケ。彼のスープラは、カスタムには強い信念が必要であることを教えてくれる。