メルセデス代表トト・ウルフ「フォーミュラEが成功するなんて、信じられなかった」 | 北海熊の独り言

メルセデス代表トト・ウルフ「フォーミュラEが成功するなんて、信じられなかった」

メルセデスはフォーミュラEに、2019-2020シーズンから参戦することを決めた。9月11日(水)にフランクフルト・モーターショーで体制発表会が行われ、マシンのカラーリングが披露。またドライバーとして、昨シーズンHWAから参戦したストフェル・バンドーンと、現在F2選手権を戦いランキングをリードしているニック・デ・フリーズを起用することも併せて発表された。
 

 メルセデスは近年のF1をまさに席巻。2014年から5年連続でドライバーズとコンストラクターズのダブルタイトルを獲得し、今季の特に前半も圧倒的な強さを見せた。

 そんな中でも、メルセデスがフォーミュラEに打って出ることを決めた理由は一体何なのか? それを尋ねられたメルセデスF1チームの代表であり、同社のモータースポーツ部門を率いるトト・ウルフは、motorsport.comに対して次のように語った。

「まず第一に、フォーミュラEが成功することなど信じられなかったんだ」

 ウルフはそう語った。

「アレハンドロ(アガグ/フォーミュラEのCEO)とジャン(トッド/FIA会長)がこのチャンピオンシップを始めた時、それほどチャンスはないだろうと思っていた」

「しかしその後、選手権は見事に成長している」

「そしてそのことがメルセデスにアピールした理由は、エキサイティングなスタートアップだということだ。電化に関する全て、そして電気自動車についてもそうだろう。テクノロジー面では、まだ初期段階にあるのかもしれない。しかし完全電動車でのシリーズには、マーケティング的な魅力がある」

「都市の中心部でレースを行うのは、魅力的なことだ。そしてフォーミュラEが売り込んでいるのは、筋金入りのモータースポーツファンではなく、より多くの観客に向けてなのだ」

「レースイベントには、多くのフェスティバル的な要素がある。そして、全てが真剣に観るのに値するモノだ。これが、今我々がやっていることなんだ」

 メルセデスはF1とフォーミュラEの両方を手がける唯一のチームだ。ルノーもかつてはフォーミュラEに参戦していたものの、F1にリソースを集中させるため、同アライアンス内の日産にプログラムを引き継いだ。

 フォーミュラEは、参戦コストの高騰を避け、そしてチーム間の競争を激しくするため、レギュレーションによって様々な規制が行われている。これは、近年のF1が苦労している部分だ。

 ウルフはこれについて、「フォーミュラEは長い歴史を持つ他のレースシリーズで機能不全となっているモノから学んだが、明らかに複雑なガバナンスを中心に成長している」と語った。

「そして我々はF1において、そのことの影響を少し被っている。そしてそのことを、我々は知っているんだ」

「その一方で、F1のような大規模な組織では、その遺産に対する責任を負わなければいけない」

「我々は毎年20億人もの視聴者を抱えている。おそらく新しいシリーズほど、自然な意思決定を行うことはできない」

「我々はそれを誤るというリスクを冒すことはできない。そしてフォーミュラEでは、他の新しいシリーズと同様に、リスクを冒すことができ、色々なことを試してみることができる。多くの批判を得ることもあるだろう。しかし最悪なケースは、二極化させたり、いくつかの見出しを作ろうとしてしまうことだ」

「だがフォーミュラEには、F1とは全く異なる責任と、全く異なる遺産があるのだ」