【全日本F3】新天地でシーズン前半を終えた三浦愛「自分のレベルがまだまだだと気付いた」 | 北海熊の独り言

【全日本F3】新天地でシーズン前半を終えた三浦愛「自分のレベルがまだまだだと気付いた」

全日本F3選手権で唯一の女性ドライバーとして奮闘を続けている三浦愛が2019シーズンの前半戦を振り返った。
 

 今年はTHREEBOND RACINGに移籍した三浦。昨年ランキング3位を獲得した名門チームへ加入し注目を集めた。さらに開幕前のテストでも好調な走りを見せており、今年は彼女が目標としているシリーズ初表彰台の可能性も高まっているのではないかと見られていた。

 しかし今年は、世界中のレーシングシーンで活躍する名門チームであるモトパークやカーリンが全日本F3への参戦を開始。ドライバーもサッシャ・フェネストラズやエナム・アーメドなどヨーロッパで実績のある若手ドライバーが揃い、全日本F3選手権のレベルは一気に上がることとなった。

 その中で三浦も全力を尽くしたが最高位は第2戦鈴鹿での9位。ポイント圏内が遠い状況となっている。さらに第6戦岡山からはセッティングの面でも悩みが出始めている模様だ。

 第10戦SUGOを終え、ちょうどシーズンの折り返しに差し掛かったところで、三浦は前半戦をこのように振り返った。

「すごく中身が濃いシーズン前半でしたし、改めて……自分が今までどれだけ何も考えずに走ってきたのかということを痛感しました」

「12月のテストでけっこう調子が良くて、今年は行けるかもという手応えがあったけど、フタを開けてみれば、そんなに甘くはなかったです。特に気温が上がっていくにつれて調子が落ちてきている状態です」

「ある時は速いけど、ある時はそうでもない。そういう波がある時点で、一流じゃないなと思います。クルマの限界を常に掴めていれば、そんなに大きな波は出ないはずだから、今こういう結果しか出ていないことに……自分のレベルがまだまだなんだなと気付きました」


 そう語った三浦。今シーズンのハイレベルな全日本F3を戦っていく中で、どこか今までのスタイルに満足していた自分に気付いたという。

「今年のF3のレベルがかなり高いのは確かですが、正直(昨年までは)、入賞したりとそれなりのポジションで走れていたことで、どこか満足していたのかもしれない。ホッとしていた自分がいたのかもしれません」

「本当はもっと上を目指さなきゃないのに、その情熱が足りていなかったことに気付きました」

「レベルの高いF3で戦うことに対しての危機感(が足りなかった)というか、自分がいかにぬるま湯に浸かっていたのかがわかりましたし、多分、レベルの低いところで結果を出して喜んで“井の中の蛙”になっていたし……それでは成長できないです」

「F3も4年目で、もうルーキーと言える立ち位置ではないですが、気持ちは勉強中というか、まだまだたくさん学ぶことがあって修行中という感じです」

「今はすごく苦戦しているけど、自分の中で毎戦何かを持ち帰ることができていて、成長というよりは……単純にもっと速くなり、勝ちたいという気持ちが強くなっています」

 こういった危機感や自分自身の未熟さに気付くきっかけになったのは、今年のチーム体制が大きく関係しているという。THREEBOND RACINGは今年2台体制で参戦。13号車を三浦が駆り、12号車はスーパーGT(GT300クラス)で活躍中の大津弘樹がドライブしているが、大津は第5戦オートポリスで3位表彰台を手にした。

 さらに道上龍がチームのアドバイザーとして全戦に帯同し、両ドライバーのドライビング面をサポート。こうした環境面が新しい刺激になっていると三浦は語った。

「基本的に同じパッケージでやっているチームメイトは、ライバルでもあり仲間でもあるんですけど、私にとっては今までそういう環境があまりなかったです」

「競い合ってお互いを高め合うという環境を初めて味わって、その大切さというか、そういう環境にモチベーションを感じたし、上を目指そうと感じました」

「経験豊富なドライバーさんが近くにいることで、自分が知らなかったこともあったり、刺激になっていることも多いです」

「速さを追求するということに対しては、周りを見ても劣っていないのかもしれないです。あとは、それ以外のトータルで見たレースの組み立て方、自分が勝つために今やるべきことを少し違った視点から見て、色々トライして、何とかひとつ結果を残したいです」

 2019シーズンも4大会10レースを残すのみとなった全日本F3選手権。また現在使用しているダラーラF312~317シリーズで参戦できるのも今年限りになる予定で、ひとつ節目のシーズンとなる。

 三浦にとって、このダラーラF312~317シリーズは自身を成長させてくれたマシンでもあり、思い入れが大きい様子。それだけに、何としても納得いく結果を残したいと意気込みを語った。

「F312シリーズ最後の年なので、なんとか結果を残したいというか、自分はこのクルマに育ててもらったから、ひとつ良い思い出になるような、そして結果の残るレースをしたいですね。F312シリーズ最後という意味で思い残すことがないシーズン後半にしたいです」