「レース中はまるで”クルージング”」ブリスター発生に悩むドライバー。来年に向けた改善を望む
メルセデスのバルテリ・ボッタスは、タイヤにブリスターが発生することを恐れ、レースではペースを上げることができずに”クルージング”をしているような状況に直面することがあると明かした。
ブリスターは、タイヤの一部がオーバーヒートすると発生する現象だ。熱でタイヤのラバー内部が沸騰するような状態となり、酷くなるとタイヤの接地(トレッド)面が壊れてしまうことになる。F1においては目新しい出来事ではないが、今年は複数のレースで問題となっていた。
F1にタイヤを供給するピレリは今年、タイヤのコンパウンドを昨年よりも柔らかくし、ハイパーソフトタイヤという最も柔らかいコンパウンドのタイヤを導入した。ボッタスは、2019年のタイヤ開発作業中に行われた実験によって、ブリスターの発生という問題を解決できることを期待している。
「今シーズンは、全てのレースでかなりのタイヤマネージメントが必要だった。特にこの数戦はブリスターの問題があった」とボッタスは話した。
「ある一定の温度までタイヤ温度を上げると、どこかのポイントで(ブリスターが)起こるというのは僕らもわかっている。だからその温度を超えないように管理していた」
「いくつかのサーキットでは、温度が高くなると(タイヤの管理が)とても難しい。理想的なことではないけれど、時には完全に”クルージング”状態で走っていると感じることもある」
「F1マシンには非常に高いポテンシャルがある。僕の考えとしては、もし1ストップ作戦のために全開でプッシュできるなら、面白くなると思う。でも現状では、これは全員にとっての問題だ」
「数週間前には、来年のタイヤの開発テストに参加した。彼ら(ピレリ)は全力で仕事に取り組んでいるし、もう少し状況が良くなることを願っている」
今年はシーズンの開幕前にバルセロナ、ポール・リカール、シルバーストンの3カ所で路面の再舗装が行われた。そのため、これらのサーキットでのレースではタイヤにブリスターが発生するのではないかと懸念された。
これに対してピレリは、この3つのサーキットでのレースのために、特別にトレッドの薄い特別なタイヤを用意した。チーム側は、この特別仕様のタイヤは非常に良かったと報告したが、この3カ所以外のサーキットでは苦戦していた。
ボッタスのチームメイトであるルイス・ハミルトンは、バルセロナとポール・リカールで優勝を飾った。彼は、2019年もこのタイヤを使用する価値があると考えている。
「ピレリは今年、本当に良い仕事をした」とハミルトンは語った。
「マシンはこれまでよりも速くなっているし、ダウンフォースもこれまで以上に増えている。タイヤを通してより力が強くなった」
「彼らにはトレッドの薄いタイヤがある。僕らがシーズンの前半に使用したものだけど、ブリスターは見当たらなかった」
「どうして彼らがあのタイヤを使い続けないのかわからない。でも、来年は僕らを魅了するような何かがあるのだろう」
またハミルトンは、現行のタイヤは、ペースの遅いレースを避けることには役立たないというボッタスの意見に賛同している。しかし、これは大きな問題でないと話した。
「タイヤが機能する状態を保ちながら、ペースを維持して可能な限り速度を落とさないようにするためには、技術が必要だ」
「もしレースを通してプッシュし続けることができて、リヤタイヤがオーバーヒートしないのであれば、僕たちはもっと長い間前のマシンについていくことができるし、もっと長くレースを走れるだろう」
「だけど、彼らは一貫してバトルをできるようにしているようだ」