およそ34年ぶりに史上最高値を更新し、ついに4万円台に乗せた日経平均株価。

 

その東京市場で存在感を高める海外投資家が日本企業に関心を寄せる背景に、「政策保有株」の売却など、資本効率を意識した企業経営の広がりを指摘する見方があることが報じられました。

 

機関投資家からの批判を受けながらも長年続いてきた、資本関係をめぐる日本独特の慣習を、なぜ今、企業は大きく見直そうとしているのでしょうか。

 

去年12月、金融庁は損保大手4社に対し、企業向け保険の保険料を事前に調整していたとして、業務改善命令を出しました。

 

その中で金融庁は、政策株式の保有割合が保険契約の配分に影響を及ぼす場合があると指摘し、適正な競争を実施するための具体策を立て、数値目標を設定してただちに実行するよう求めました。

先月13日に、鈴木金融担当大臣が会見で、4社に政策保有株の売却を加速するよう求めたことが伝わると、保険業界の株価が大きく上昇。

そして、2日後にはSOMPOホールディングスが、損害保険ジャパンの政策保有株について最終的に残高ゼロを目指すと公表し、その後、ほかの3社も先月末に、政策保有株をゼロにする方針を相次いで示しました。

取引先と相互に保有する「持ち合い」の場合も多く、買収防衛策としての効果を期待して保有する例もあり、日本企業の間で広く浸透しました。

ただ機関投資家の間では、資本効率を低下させる要因になっているとの指摘が出て、「不透明な取引慣行の象徴」ととらえる見方が広がるなど、厳しい評価も多くありました。

こうした背景もあり、金融庁と東証は、中長期的な企業価値の向上に向けたコーポレートガバナンス・コードの中で、政策保有株について、縮減に関する考え方など保有の方針を開示すべきなどとして、投資家への説明を行うよう企業に求めていました。

野村資本市場研究所によりますとバブル期の1989年には、政策保有株を持っている企業の割合が50%程度でしたが、企業統治の改革が進むにつれて保有率は減少傾向で、去年3月には11.7%まで減少していたということです。

 

さらに、市場では、去年3月に東証がプライムとスタンダードに上場する企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請したことが、政策保有株の縮減や持ち合い見直しの動きを加速させたという見方が広がっています。
 

そこに今回の金融庁による損保大手への政策保有株の売却加速の要請と、各社が示した保有ゼロの方針で、こうした一連の動きが、投資家に日本企業の変革への期待として映り、日本株上昇の要因の1つとなっていると、専門家は分析しているそうです。


バブル期の史上最高値を更新し、新たなステージに入った日本の株式市場の次なる起爆剤となるか、政策保有株に対する企業の姿勢と行動が問われている形です。

 

#政策保有株