金融庁は、損害保険会社各社に対し、「自動車整備業者に支払う事故車の修理工賃の計算方法」を見直すよう要請することが報じられました。

 

価格交渉力が弱い中小整備業者から、物価上昇分が工賃に十分反映されていないとり声があがっているためで、これにより損害保険各社は工賃の引き上げを迫られることになります。

 

本件の発端は、ビックモーター事件で、損保各社と事故車の修理を手掛ける同社とのもたれ合い構図が問題視された一方で、中小の整備工場に対しては工賃を十分に引き上げてこなかったと金融庁がみたからです。

 

工賃算出の基礎指数《CPI 、2.5%の上昇》を下回るケースが目立ち、金融庁はCPIに加えて高騰する人件費の上昇が続く中、損保会社が主導する価格交渉を放置していては経営が立ち行かなくなる整備業者が出る可能性があると判断したものです。

 

損保会社と整備業者の力関係は損保会社の方が強く、中小の整備業者の声は工賃に反映されにくく、且つ、金融庁の調査によると整備業者の8割が価格交渉について「申し出たところで変わらない」として苦情の申し出をしたことがないと回答したしたところが多かったそうです。

 

金融庁は工賃の設定はあくまで民間企業同士の問題で、価格決定は最終的に市場に委ねるべき」との立場で直接的な引き上げ要請はしない考えですが、金融庁の要請で損保各社は動くと思います。

 

ビックモーター事件から色々な動きがありますが、古い体質の是正につながっているので、良い切っ掛けになりましたね。