ビッグモーターによる保険金の不正請求問題で、損保ジャパンの対応について調査委員会がまとめた最終報告書が公表されたことが報じられました。

 

コンプライアンス体制が機能不全を起こしていたことが要因だったとした上で、親会社についても主体的・指導的姿勢が乏しく、リスクへの感度が低かったなどと厳しく指摘していて、今後は、経営責任を含めた対応が焦点となります。

 

この問題では、おととし7月に損害保険ジャパンの経営陣がビッグモーターに不正の可能性があることを認識していながら、追加調査をせずにいったん中止していた取り引きを再開したことなどが明らかになっています。

1月16日に公表された外部の弁護士による調査委員会の最終報告書では、役員らのリスク認識が決定的に乏しかったとした上で、コンプライアンス体制が機能不全を起こしていたことが最大の制度的要因だったとしています。

また、問題が発生した場合でも親会社のSOMPOホールディングスをあてにすることなく自己完結的に解決を図ろうという志向が強かったとしました。

さらに、SOMPOホールディングスについても、特段の追及や主体的な情報収集も行わず、受け身の姿勢に終始しており、主体的・指導的姿勢が乏しく、リスクへの感度が低かったと指摘しています。

金融庁は両社に対して月内にも保険業法に基づいて業務改善命令を出す方向で調整していて、経営責任を含めた対応が今後の焦点となります。

 

損保ジャパンは、2004年11月から2023年3月までの間、ビッグモーターに43人を出向させていて、今回の問題と関係があるかどうかも焦点の一つとなっていましたが、これについて、報告書では「関係資料等の精査やヒアリング等の結果、出向者が本件不正請求に関与していた事実は認められなかった」と結論づけています。
 

報告書では、親会社のSOMPOホールディングスとの意思疎通のあり方にも言及していて、「損保ジャパンは問題が発生した場合でもその自負によりSOMPOホールディングスをあてにすることなく自己完結的に解決を図ろうという志向が強かった。他方、SOMPOホールディングスは祖業である損保ジャパンに対する過信があったことも、両社間の適時・適切な意思疎通が不十分になっていたことに影響していたであろうことは想像に難くなく、こうした意思疎通の在り方がグループガバナンスの実効性を阻害する要因となっていた」と強調しているそうです。

72ページに及ぶ報告書では「結語」として、次のように総括しています。

「担当者などから、ビッグモーターによる不正請求の兆候を指摘する声が以前からあったにも関わらず、そうした声は経営層まで伝わることはなく、結果として顧客本位の発想に立った経営判断ができなかった。損保ジャパンにおいて、SOMPOグループが掲げる『お客さま視点』はうわべだけのものにすぎなかったのではないかとの見方をされても致し方ない。『お客さま視点』とは何かを見つめ直し、経営トップを始め、従業員および役員が一丸となって再発防止に励み、常に真の顧客本位を実現できる企業ないしグループとなることを強く期待したい」。

 

『お客様視点』。。。。

 

ここが原点ですよ。

 

『うわべだけ』、『形式的にだけ』になっていませんか。

 

常にお客様のためになるかを考えて行動していきましょうね。