融庁が、企業向け保険料を事前調整していた問題を受け、損害保険大手4社に保険業法に基づく業務改善命令を月内に出すことが報じられました。

 

独占禁止法が禁じるカルテルに触れる恐れがある取引が横行するなど内部管理体制に不備があると判断したもので、企業側と損保のもたれ合いなど背後にある構造問題の是正に向け有識者会議も立ち上げると報じられました。

 

対象となる損保社は、東京海上、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の4社で、少なくとも100社超の取引先との保険契約で、独禁法の趣旨に反する行為をしていたと金融庁に報告していたものになります。

 

そこで、金融庁は「業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要と判断した場合」という保険業法132条の規定に基づき、業務改善命令を出すそうです。

 

損保の営業面での貢献度で契約シェアを調整したり、政策的に保有する持ち合い株の有無で優遇したり、契約内容と直接関係ない損保側の協力姿勢で保険取引を決めていたと指摘され、過剰な営業協力は保険業法が禁ずる「特別利益の提供」にあたる可能性もあるとも言われています。

 

金融庁の発表の前には、日本損害保険協会が、損保大手による企業向け保険料の事前調整問題を受け、独占禁止法順守のための指針を改定したと発表したことが報じられました。

 

保険契約に関する項目を新設し、「契約引き受けの際の競合他社との接触、情報交換は原則として行ってはならない」と明記したそうです。

 

改定した指針では、例外的に情報交換が必要になるケースについて、「公正な競争を制限しない」場合や「業務上正当な必要性がある」場合との考え方を示したそうです。

 

で、意向に反して情報交換する状況になった場合は「速やかにその場を去る、電話を切るなどの回避手段をとり、情報交換には応じないよう徹底する必要がある」としたそうです。

 

こんな内容をわざわざ文章にする必要性を全く感じませんが、こんなもんでしょうかね。

 

その上で、会員各社に改定した指針に基づく自主ルールづくりや見直しを促すとしていますが、共同保険をなくすことはできませんので、玉虫色の着地をどうするかでしょうか。

 

今年は、このカルテル問題やビックモーター問題、出向問題と損保の聖域にメスが入った1年でしたが、それでも損保は面白い業界ですよね。

 

先般もある機器の動産総合保険の見積をチェックしてみてくれと言われたので、保険料水準がわからないので他社見積を取ったら年間100万円ほど保険料が安くなりました。

 

まあ、普通、相見積もり依頼の際は現在手元にある見積書を提出するので、これより高い保険料を出す損保社は無いですよね。

 

ご承知の通り、動産総合保険はモノ保険ですので、基本レートは火災保険料率にその他危険の料率をオンさせて出す感じで、ベースの火災保険は各社一緒ですので、それで100万円も違うと単純に面白いなーと思ってしまいました。

 

これだけ保険料が異なっても、共同保険をお客様から求められたら安い保険料を出した損保社を幹事に、高い保険料を出した損保社は非幹事にして、安い保険料で契約できるのですから、なおさら面白いですよね。

 

これは損保会社の保険料が「幅レート」といって引受保険料自体に幅が設定されているから出来る芸当になります。

 

実効性は期待できないと思いますが、業務改善命令出ちゃうと、少々面倒臭くなりますね。

 

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