幼児教育と小学校の連携が、子どもの登校渋りや学びへの不安を減らす可能性として注目されています。小学校入学前後の支援について考えます。
(※2026年1月24日の朝日新聞の記事を参考にしています)


■小学校入学前後をつなぐ「架け橋期」


文部科学省は、幼稚園や保育園などの5歳児クラスと小学1年生の2年間を「架け橋期」と呼び、学びの連続性を意識した連携を進めています。

2022~24年度には19自治体をモデル地域に選び、調査研究を行いました。

幼児教育では遊びや体験を通した学びが中心ですが、小学校では一斉授業や座学が増えます。

この変化は、大人が思う以上に子どもにとって大きいのかもしれません。

私も、入学後すぐに「小学生らしさ」を求めすぎると、戸惑う子がいても不思議ではないと感じました。


■登校渋りの減少につながった取り組み


報告書によると、モデル地域の小学校では2024年度、管理職の20.0%が登校渋りの子が減ったと回答しました。

自治体担当者では53.1%が「減った」と答え、その他の自治体の4倍超だったとされています。

園と小学校の教員らが交流し、教育観の共有やカリキュラム作り、評価などに取り組んだことが背景にあります。

子どもの主体性や協働的に関わる姿が増えたという成果もありました。

先生同士が子どもの姿を共有することで、入学後の環境が少しやわらかくなるのだとしたら、とても意味のある取り組みだと思います。


■遊びを通して学ぶ小1の授業


モデル地域だった横浜市立東本郷小学校では、1年生の授業に遊びの要素が取り入れられていました。

算数では、子どもたちがバケツにお手玉を投げ、入った数を確かめながら足し算でゼロの感覚を学んでいました。

音楽では、曲に合わせたゲームを行い、子どもたちは床に寝そべったり足を伸ばしたりしながらも、集中した表情を見せていました。

「座って静かに聞くこと」だけが学びではないと考えると、小学校の授業の見方も変わります。

堂腰康博校長が話すように、学びの土台を作る時期だからこそ、子どもの興味をもとに授業を作ることが大切なのだと感じます。


■子どもの声を生かす学校づくり


東本郷小学校では、さまざまな場面で子どもの声を取り入れていました。

読み聞かせを薄暗い廊下で行うクラスは、「廊下が落ち着く」という子どもの声がきっかけでした。

生活科で育てる植物も、ホウセンカ、アサガオ、ヒマワリなどから、一人ずつ育てたいものを聞いたそうです。

植物観察中に子どもが掃除を提案すると、急きょ掃除を行い、その後また観察に戻りました。

担任の中津川明子教諭は、終わる時間を意識させるだけで、一方的な指示ではなく子どもの提案を大事にしています。

保育士や幼稚園教諭との議論を通じて、こうした自由な展開ができるようになったことは、保育と小学校教育のつながりの大きな成果だと思います。


■安心できる環境が学びの力になる


不登校は近年、小学校低学年で増えており、2024年度に不登校だった小中学生は約35万4千人でした。

このうち小学1、2年生は計約2万3千人で、2019年度の3倍以上になっています。

東本郷小学校では不登校の子が大きく減り、不登校でも大半が学校と関わる時間を増やしたということです。

神戸女子大の伊藤美奈子教授は、園や小学校の先生同士が互いを理解したことで、子どもの不安感の減少や居心地の良さにつながったのではないかと話しています。

幼保小の連携は、形が整うまで労力がいる取り組みです。

それでも、今の大変さが先の困難さを防ぐという考え方は、保育や教育の現場だけでなく、保護者にも伝わってほしい視点だと思います。