学校や保育の現場では、保護者からの要望にどう向き合うかが大きな課題になっています。
過剰な要求への対策が必要な一方、必要な相談まで遠ざけてしまわないでしょうか。
教員と保護者の声から、子どものための関係づくりを考えます。
(※2026年3月30日の朝日新聞の記事を参考にしています)
苦情を言えば「モンスターペアレント」なの?
東京都教育委員会は、都カスタマー・ハラスメント防止条例を受け、過剰な干渉や要求をする保護者への対応手順をまとめました。
教員を守る仕組みが必要である一方、昨年度まで大阪府豊中市の小学校で働いていた女性教員は、少しでも苦情を言う保護者を「モンスターペアレント」と見る風潮を懸念しています。
教員が忙しく、面談する時間を確保できない背景には人員不足があり、保護者だけに原因を求めるべきではないという考えです。
保護者の立場になれば、「こんなことを相談したら迷惑だろうか」と悩むこともあると思います。
特に子どものこととなれば、心配だからこそ何度も確認したくなる気持ちも理解できます。
過剰な要求と必要な相談を同じものとして扱わない視点が大切だと感じます。
子どものトラブルに大人はどう関わる?
名古屋市の小学校で非常勤講師として働く女性は、行政が保護者を「カスタマー」と位置づけることに違和感を示しています。
子ども同士でトラブルが起きた際、「あの子と遊ばせないで」と保護者から求められるケースも増えたと感じているそうです。
関東地方の公立小学校の副校長からも、子ども同士のけんかに保護者が介入し、問題が複雑になることが増えたという声が寄せられています。
もちろん、けがやトラブルを心配するのは保護者として自然なことです。
一方で、子ども同士が関係を修復したり、自分たちで折り合いをつけたりする経験まで大人が奪ってしまわないかという疑問も残ります。
学校や保育の現場と家庭が一緒になって、子どもの成長を支える方法を探すことが理想ではないでしょうか。
保護者からの相談には切実な事情もある
一方、保護者が繰り返し学校へ相談せざるを得ないケースもあります。
滋賀県の女性は十数年前、小学3年生だった娘が同級生から毎日のように嫌がらせを受け、学校に相談を続けました。
筆記用具を取られたり、虫を目の前に出されたりすることが続き、娘は「学校に行きたくない」と訴えるようになったといいます。
女性自身も、何度も相談することで「モンスターペアレントのように思われるのでは」と苦痛を感じていました。
この話を読むと、相談の回数だけを見て保護者を判断することの難しさを感じます。
表面的には小さく見える出来事でも、それが繰り返されれば子どもにとって大きな負担になることもあるからです。
要望の奥にある気持ちを考える
私立奈良学園中学校でいじめを受けた女性の母親も、学校側の対応について思いを語っています。
女性は部活動仲間から暴言を受け、中学2年生の夏に被害を訴えましたが、最終的には内部進学をあきらめて別の高校へ進学しました。
母親が望んでいたのは、被害を受けた側が不登校や別室に追い込まれず、安心して学べる環境でした。
母親は、保護者から要望があったとき、その言葉だけでなく背景にある思いまで想像してほしいと話しています。
これは学校だけでなく、保育士と保護者の関係を考えるうえでも大切な視点だと思います。
すべての要望を受け入れることと、相手の気持ちを理解しようとすることは同じではありません。
大人同士がすぐに敵味方に分かれるのではなく、意見が違っても折り合える姿を見せることが、子どもの人間関係や社会性を育てることにもつながるのではないでしょうか。
