お久しぶりです。
最近は月一に薄い記事を上げるばかりなのですが、有段者としてそれらしい考察を久々にきちんと載せていこうと思います。
「三間飛車は急戦に強い」という通説があります。
しかし多くの方は三間飛車を指してみて、実際に「三間飛車は急戦に強い」のか?と疑問に感じたことがあるのではないでしょうか。
私の所感では『四間飛車よりマシ』というのが現状での結論です。
もちろん正確に指せば互角の捌き合いになりますし、そうなると美濃の堅さが活きて振り飛車側が勝ちやすい将棋にしやすいです。
わかりやすく図面を使って説明していきます。
上図がエルモ急戦での基本図と言って差し支えないと思います。
昔ながらの金無双急戦や流行りのへなちょこ急戦もありますが、三間飛車側の基本方針は変わりません。
またシンプルな棒銀や右四間は当記事では割愛していますので、もしそれらの厳密な手順を知りたいという方は各々調べていただければと思います。
話を戻すと、居飛車側からは①△64歩~65歩の△65歩早仕掛けと②△64銀~△75歩の斜め棒銀の2つの狙いが考えられます。
まずは①△65歩早仕掛けを見ていきましょう。
基本図以下
△6四歩 ▲6七金 △7三桂 ▲8八飛
△6五歩 ▲同 歩 △同 桂 ▲2二角成
△同 金 ▲6六銀 △6四歩 ▲5八飛
かなり駆け足ですが、一例としては上図となります。
ポイントは△64歩に▲67金が受けの形です。
これで7筋を厚くしながら後の飛車の5筋転換を見ています。
居飛車は△73桂と溜めますが、角交換に備えて▲88飛と転換。
△65歩には強く▲同歩と応じて、仮に△77角成には同桂でOK。
▲67金の効果で居飛車の手が難しく、一歩得を活かして桂頭攻めなどを見て振り飛車が指せます。
△65同桂は一瞬ヒヤリとしますが、振り飛車からの角交換で両取りは無効ですね。
△22同玉だと77角のラインが残ったり、桂馬を拾って▲46桂と設置する手などが見えるため、形が悪いながらも△同金とさせて、壁金の形を押し付けることができます。
あとは手順に両取りを避けながらの▲66銀が桂取り。
我慢の△64歩で桂取りを受けますが、▲58飛が当初からの狙いで、△86歩と攻め合う手は手抜いて▲55歩で攻めている個所が違うを体現する展開となります。
以下一例ですが、△87歩成▲54歩に①△62銀には▲63歩△同銀▲53歩成で銀取りが約束されますし、②△44銀には▲73角が88飛と64歩を狙って受けづらいです。
続いて②斜め棒銀を見ていきます。
基本図以下
△6四銀 ▲6八飛 △8六歩 ▲同 歩
△7五歩 ▲6五歩 △7七角成 ▲同 桂
△5三銀引 ▲8五桂
これはこれで難解ですが、▲64角が振り飛車の次の狙いです。
多少遅くとも着実な攻めが通れば、堅さの優る振り飛車が指しやすい形と言えます。
△64銀には▲68飛が形で、手順中の▲65歩が狙いです。
居飛車は△86歩の突き捨てでスピードアップを狙ってきますが、丁寧に応じて▲65歩を実行します。
△53銀には△76歩と攻め合ってくる展開もありますが、▲64歩と先に銀得して振り飛車良し。
以下△77歩成▲65飛△64歩▲同飛△51金▲54飛△86飛▲51飛成△同銀▲95角が飛車と銀の両取りです。
もちろん途中の変化は色々ありますが、やはり堅さと先に飛車が捌けている点を踏まえても振り飛車が指せると考えてよいでしょう。
結果図が最も難解で△77角や△76歩が残っており、しばらくは振り飛車は我慢しながらカウンターを狙う展開です。
とはいえ何度も言いますが、堅さもあるので勝負どころは残っており、手元のソフトの評価値では500点ほど振り飛車に振れています。
というわけで私の結論として「三間飛車は急戦に強いというほどではないがそれなりに指せる」とさせていただきます。
ポイントとしては、
①早仕掛けには▲67金
②斜め棒銀には▲68飛
この2点は三間飛車を指すうえでは絶対に覚えておきたいところですね。
そして三間飛車が対急戦で優れている理由としては、
①▲57銀型を素早く作れるため7筋を攻められた時の当たりが弱い
②▲57銀型が美濃にくっついているため堅く、強い形に応じやすい
③▲46角のラインが強力で、打ち換えの他、▲68角~64角と転換を見据えている
この3点にあるかと思います。
もっとも③については今回の記事ではあまり登場しませんでしたが、三間飛車を指すなら急戦、持久戦問わず頻出の手筋ですので覚えておく価値は高いでしょう。
以上、かなりシンプルにまとまったので悪くない出来かなと思います。
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