私には地獄のような所だった。
取引のない企業に毎日、毎日電話をして
アポを取る!右も左もわからない
新米社会人には余りにも難しい課題だった。
その後、企画グループに配属になった。
ここでは、営業と違ってクリエーティブな
仕事をさせてもらい、私はようやく仕事の
楽しさを覚えた。
大学卒業後も当時の彼氏だった旦那様との
交際は順調に続いていた。
そして、もちろん「結婚」の二文字も
チラホラと見えていた。
さて、そろそろ本腰を入れて自分達の
将来の話を両親にしようと思った矢先に
父から「美大の夢はどうした?」と聞かれ
母からは「そんな20代半ばで結婚するの?」
と、猛反対された。
母のいい分は、もっと自分のやりたい事に
時間をかけるべきではないかと!
旦那様には、高校生の時の夢を自分は
まだ諦めきれていない事は告げていた。
結婚してもその夢を追えば良いと言ってくれた。
…が、本当に結婚後自分はその夢を
追求する事が出来るのだろうかと考えた。
独り身の方が身軽で責任がないのでは…。
妻としての責任
嫁としての責任
そんな大きな物を背負って自分の夢を
追えるのか…自分の性格からして
絶対に無理だ!

そうわかったら話は早かった。
結婚は延期!
延期して私は留学する事にした。
当然、旦那様を説得するのは大変だった…。
「ほら、あなたのせいで私は自分の夢を
叶える事が出来なかったじゃない!」と
将来、絶対に言いたくなかったから、
私は必死で彼を説得した。
大学卒業後「0」=ゼロの状態で留学して
いたらもうちょっと楽だったと思う。
人は、一度手に入れた物を手放すとなると
色々と不安になる。
例えば、毎月のお給料、年2回のボーナス、
福利厚生、健康保険…etc.
そして…大事な人の存在。
私は、高校生の時からの夢を追うために
大事な人と一時離れる事にした。
…つづく