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今日のテーマは「長沼町の活性化 その1」
北海道夕張郡長沼町。
長沼町は就業人口の約3割が農業に従事する農業の町で、かつては稲作が中心でしたが、近年は転作が進み、作農対象となる農作物の多様化が進んでいます。
転作田では、生産量日本一の大豆を筆頭に、小麦や白菜、長ネギ、タマネギ、 ブロッコリーなどが作付けされています。
白菜や長ネギは道内で3本の指に入るほどの農業産出額を誇り、町内に十数店舗ある直売所では土付きで販売され、多種多様な農産物を求めて札幌市などから多くの観光客が訪れます。
町内には、地方独立行政法人北海道立総合研究機構中央農業試験場をはじめ、民間の農業研究機関も点在し、研究に適した気候や地質、立地などが多様な農作物の生産を可能にしていることを裏付けています。
新型コロナウイルスは、影響が少ないと思われていた農業生産者にとっても無関係ではありませんでした。
外食や会合の機会がなくなり、飲食店などでの需要が減少したからです。
なかには収穫したものの、残念ながら大量廃棄を余儀なくされる青果物もありました。
長沼町は、農産物の供給基地としての役割を担ってきましたが、加工施設の充実など農産物の付加価値を高めるための取り組みが後手に回っていたことは否めません。
このため町は、農産物を無駄なく加工処理できる食品製造業の誘致にも力を入れ始めています。
そこで、1軒のイチゴ農家がそれまで廃棄していたイチゴを冷凍保存し、キッチンカーで販売するビジネスを立ち上げました。
長沼町は、札幌市から車で片道50分圏内に位置しており、道の駅マオイの丘公園、 ながぬま温泉を中心に観光入込客数が多い土地柄。
町内には農家レストランやおしゃれなカフェが点在し、田園風景が人々を魅了しています。
特筆すべきは、コロナ禍でもほとんど入込客数が落ちなかった点。
令和元年と令和2年を比較した入込客数の減少比率は、全道平均43.7%に対して長沼町はわずか3.6%。
人口の多い札幌圏から密を避けて自家用車で気軽に訪れることができる距離感や、小規模ながらもカフェなどの観光資源が数多くあることが要因と考えられます。
先ほどのイチゴ農家のキッチンカーも道の駅マオイの丘公園などで売り上げを伸ばしており、今では町内産イチゴのブランディングにも貢献しています。
このように、町内の既存の生産資源に着目して付加価値を高めることは、さまざまな事業への相乗効果につながり、これらに関係して人口流入も活発化している様子。
特に、観光関連事業者の進出が企業個人問わず増加。
飲食店の進出や農産物の加工開発、農業体験の企画などを通じた農業生産者との接点も多くなってきています。
次回は、農業以外の側面から。
ほはば飯塚