夜明け前〜前期 | 土方歳三資料館日記 (Hijikata Toshizo Museum Blog)

土方歳三資料館日記 (Hijikata Toshizo Museum Blog)

土方歳三の生家跡に設けられた資料館にて運営に携わる子孫の綴る日記。

東京都写真美術館 「夜明けまえ~知られざる日本写真開拓史」展示。
関東、関西、九州&四国ときてついに!ついに!!!!!
北海道・東北編です。

早速見てきました。

土方歳三資料館日記-よあけまえ2

恵比寿ガーデンプレイスにあります
東京都写真美術館。

土方歳三資料館日記-よあけまえ1




皆さん写美のHPを見て、「前期は土方歳三肖像写真はレプリカだから、後期だけ行こう。」なんて思っていませんか!?



と~~~んでもありませんプンプンプンプン


じつは、出展表をじっくり見ると、
かなりの点数が前期後期で入れ替わってしまうんです。


前期のみ、後期のみ展示の写真も多数あり、
前期後期は別の展示と考えて訪れた方が良さそうです。


例えば、前期の旧幕軍兵士達の集合写真。
函館市中央図書館所蔵の写真って、さすがに図書館所蔵なだけに、
本物の原本を展示しているという機会はそうそうありません。

(原本見るとね、「ああ、あの集合写真はブリュネに一番ピントが合ってるな…とか
いろいろ伝わってきます。)






歳三さんの肖像写真は榎本さんの肖像写真の隣で展示されていました。


榎本武揚肖像写真は原本で、シルバーゼラチンプリント。


歳三肖像写真は原本ではなく今回の展示のために作成したレプリカのために
「複製」と表示されています。


しかし、ここまで古写真(台紙も含めて)複製の技術が進歩したんだ~


と目を見張るくらい、原本との違いが分かりませんでした。
(写真台紙裏もリアルです)


東京都写真美術館は古写真の展示に関してもパイオニアですから、
アクリル板に立てかけるようにして古写真が展示してあるんですね。


それは何故か?


古写真というのは台紙に貼られていて、その台紙の裏面に墨書き等で
由緒(どこで撮られたものか、誰の撮影か、誰の肖像写真か)等の
情報が記されている事が多く、

果ては、その台紙の紙質や厚さ等からもその写真がどの時代のものか
判明する事もしばしばで、
360度写真原本とともに貴重な情報を伝えてくれるのです。


勿論写真キャプションも、撮影された手法や年代等、厳密に記されています。
(例えば同じ古写真でも、後年に複写&紙焼されたものは
「後年のプリント」ときちんと明記してあります。)


そんな古写真一枚が持つ情報を
限りなく忠実に伝えようという展示方法をとっている点からも、
東京都写真美術館が如何に古写真展示に関して造詣が深いかを示しています。

展示の照明も50ルクスと、古写真の退色が進まないように配慮された明るさです。



そして、繰り返しになりますが、
前期展示の歳三さんの肖像写真複製、かなり良く出来ています。

私はまた、前期はこの個別タイプの写真の原本が展示され、
これとは別に旧幕軍諸士の沢山の写真が同じ台紙に貼り合わされたタイプの一枚が
後期の原本として展示されるのかと誤解して、
(函館市中央図書館には2種存在するので)
係員の方に訪ねてしまった程です。

(2種とも原本なのに何故~?と思い。私の誤解でした。)


後期は、前期展示された複製の原本が展示されます。


そして、私的にはこの前期で見た複製写真が
後期の原本と入れ替わって果たして分かるのか、も興味があります。

個人的には、これ一枚だけ展示されれば分からないけれど、
台紙のエンボスのマークの立体感が、
複製と原本の違いにしてあるのかな~と感じましたが、
どうでしょうか。

(複製を作成する場合、
必ず原本とは異なる点をわざと作っておくものなんです)



函館市中央図書館所蔵の土方歳三肖像は、
半身像写真に、明治当初より存在した修正技術と
楕円のマスク(楕円の複写写真用の飾り枠)を使用して、
おそらく撮影者と予測される田本研造、
もしくは彼の一門の門人によりプリントされたものと推測できます。


ですから、明治期より存在したプリント写真であり、
当時の複写写真の技術力をも推し量れる大変貴重な写真だと思います。


土方家にとりましては、ゆかりの地に伝えられる先祖の遺影の一枚として
かけがえのない写真です。


私にとっては、前期も後期も訪れて、
数々の幕末箱館写真の原本に出会う大変貴重な機会となります。

(何度も申し上げますが、何回直接函館に行っても
こんな風に間近で原本を拝見できる機会はないですからね)

1階のミュージアムショップでは、
図録が販売されています
(850円という良心的なお値段で、展示された古写真群だけでなく
結構な深さの田本研造関連史料の数々が掲載されていたりします。)

土方歳三資料館日記-よあけまえ図録

一枚の古写真のもつ情報量は凄まじいものがあります。


ゆっくり時間を取って一枚のお目当ての写真を眺めてみて下さい。



きっと新たな視点で歴史と出会えますよ

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