来館者の方が決まってされる
質問のひとつに
「ひじかたとしぞうのひじかたの『土』に、
点はつくのですかつかないのですか?」
というものがあります。
歳三さんの頃、
全戸が土方姓だった石田村。
当家の墓所「石田寺(せきでんじ)」には、
無数の「土方家墓所」があります。
きっと案内板がなければ、
どれが歳三の墓石のある
当家のお墓なのか判らなくなってしまうほど。
お水を汲みに行くと、檀家の桶が並んでいますが、
見事に「土方家」としるされた巴紋の桶ばかり…。
私も毎回探すのに苦労します(;^_^A
そして、
その土方の表記の方法には2通りあります。
土方の「土」に点があるものとないものです。

私も前々から気になっていて、
機会があるごとに
書家の先生、古文書の先生、郷土史に詳しい方など
様々な方のご意見を伺ってきましたが、
う~ん、はっきりとした結論は出ていません。
児玉幸多先生の「くずし字用例辞典 普及版(東京道出版)」
で「土」の字を引くと、

などのくずし方が載っています。
つまり、点があるものもないものも、
昔は同じ字の異なるくずし方というだけで
両方が使われていましたので、
どちらが正解ということはないのです。
現在「土」に点がつく字を用いているのは
そのくずし方の名残かもしれません。
筆で書く場合、必要がなくとも
最後に右上辺りに点を打って
調子を整える(=筆の勢いを点を打つことで治める)
こともよくあります。
また、土方は「どかた」とも読めるために、
失礼に当たらないよう、
区別する意味をこめて点を打ったのではないか
と推察する人もいます。
歳三さんの手紙にも二通りの土の字が出てきます。
直筆の豊玉発句集、鉢金送り状他の書状は
てんがありません。
しかし、興味深いことに
新選組には代筆者がいて、
幹部が年賀状など一度に沢山の手紙を書くときなど
代筆者が書いてあるものも多数あるのですが、
代筆の書状や
安富才介が土方隼人宛に書いた歳三戦死の手紙の
「土」には点があるのです。
小野湖山、大沼枕山が歳三を偲んだ弔歌にも
それぞれ点がついています。
やはり、自分で書く分には「土」でよくても、
「人様に向かって点もつけないなんて、失礼な…!」
というくずし方に対する常識があったのでしょうか。
例外もあるのですが、
歳三さんの手紙を見たら
『土』に点がないものが直筆、
点がついてるのは代筆。
ひとつの目安にしてみて下さい。
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