歳三さんが好きな方は、和泉守兼定がお好きな方が多いです。
歳三のものは、当時会津藩お抱え刀工であった十一代兼定が
慶応三年に鍛えたもので、二尺三寸(約70.3センチメートル)の
長さです。
しかし、他にも少なくとも一振りの兼定を所持していたようです。
「二尺八寸~」と書かれているものも手紙に登場していますので。
裏銘には「慶応三年二月日」とあります。
昔は「どうして○日」の日にちの部分がないんだろう?
間違いかな?」などと思っておりましたが、
これには理由があって、刀というのは
上半期に鍛えられたものは「二月日」
下半期に鍛えられたものは「八月日」
と銘をきる事がお定まりなんですね。
何でもその時期は水がいいから…とか。
さて、タイトルの本題なのですが、
私は現在までに、十一代和泉守兼定で
「慶応三年二月日」のものの所在を他に二振知っています。
どちらも幕末や歳三さんをお好きな方が特別な思い入れを持って
入手なさったようです。
よく、影打ちとか兄弟刀とかいいますが、その二振りはそう呼ぶものなんでしょうか。
しかし、面白いことに刀の要である「刀文(はもん)」や、
その長さは三振りとも全く違っていて、
すごく大雑把に違いを述べると
歳三さんのものは、三本杉の微妙に入った「互の目(ぐのめ)」、
一振りは、教科書どおりの「三本杉(さんぼんすぎ)」、
一振りは「直刀(すぐは)」。
同じ時期に鍛えるからといって、同じ特徴のものをひたすら作るわけじゃないんですね。
一本一本使う人のことを想像し、また細かい注文にも応じつつ、
またその刀工の美的感覚なども反映されつつ完成していくんですね。
刀って奥が深いです。
ちなみに、歳三ファンのかたがこぞって
「兼定(特に十一代)」を収集されているようなのですが、
皆さん結構ご来館くださったときに、
兼定をお持ちのことをカミングアウトしてくださいます。
(皆さん大切にされるようで流通量も少ない→
で、オークションなどに出回ると
その時には既に売約済みだったりすることも多い)
兼定がお好きな方とは
ひとしきり刀の話に花が咲いて、勉強にもなりますし、
本当にありがたくうれしく思っております。
これからもどしどし兼定情報をお寄せくださいまし…v(^-^)v
ちなみに、歳三さんの兼定の刀文(部分)はこちら