こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

いよいよ8月も残り1日となっていますね。

先週はクリニックから自宅に戻る際に「夕焼け」を眺めながら

なんとなくですが・・・もう夏も終わりかなと思いました。

 

忍者であったという説もある松尾芭蕉(まつおばしょう)は、

「奥の細道」の中でつぐのような句を残しています。

 

  あかあかと日はつれなくも秋の風

 

「日はなお赤々と、そしらぬ顔で照りつけているのに、吹く風にはもう秋がある。」

 

たしかに風のなかにも秋の気配を感じるようになっているような気にします。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIを用いて画像を作成) 

 

今回は「内臓脂肪型肥満」である場合に「NMN」サプリの服用や「NAD+」の投与をしても効果が減弱する可能性がある・・・というお話をしてみたいと思います。

 

早速ですが・・・、「内臓脂肪型肥満」を伴わない「通常の加齢」における「NAD⁺」低下のプロセスを見てみたいと思います。

 

「内臓脂肪型肥満」を伴わない「通常の加齢」における「NAD⁺」低下のプロセスを見る。もちろん加齢によっても「NAMPT(ニコチナミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)を介したNAD⁺合成は漸減します。

 

 

しかし、それ以上に影響が大きいのが消費経路の亢進であることが分かっています。

近年の研究により、「NAD+」の消費亢進の引き金が「慢性炎症」であることが明らかになっています。

 

加齢に伴う「慢性炎症」といえば・・・そうですね。「老化細胞」ということになりますね、

 

加齢に伴い組織に「老化細胞」が蓄積すると、それらが分泌する炎症性物質である「SASP:老化関連分泌形質が組織常在性のマクロファージを刺激し、「CD38」を強力に誘導することが知られています(参考1,2)[2,3]。

 

1)Nature Metab. 2020 Nov;2(11):1265-1283. 

Senescent cells promote tissue NAD+ decline during ageing via the activation of CD38+ macrophages

Anthony J Covarrubiasら

 

2)Nat Metab. 2020 Nov;2(11):1284-1304. 

CD38 ecto-enzyme in immune cells is induced during aging and regulates NAD+ and NMN levels

Claudia C S Chiniら

 

実際に・・・加齢した組織では「CD38」を高発現するM1型の炎症性マクロファージが集積し、これが組織内のNAD⁺を枯渇させることが示されている(参考1)。

 

老化細胞」SASPを除去すると「CD38」の発現が低下し、「NAD⁺」量が部分的に回復することも示されており(参考2)、加齢型「NAD⁺」低下のメカニズムは「インフラメイジング(炎症を伴う老化)」による消費の亢進にあるといえるわけですね。

 

image

(AIを用いて画像を作成) 

 

では、「内臓脂肪型肥満」の状態にあると・・・「NAD⁺」低下のメカニズムが変化するのでしょうか?答えは「Yes」ということになります。

 

 

「内臓脂肪型肥満」においては、これが「産生経路の顕著な減弱」「複数の消費経路の同時亢進」という二重苦の様相を呈すると考えられています。

第一に、「産生経路の減弱」についてですが、以下のようなメカニズムとなります。

 

高脂肪食負荷モデルや肥満患者の脂肪肝の組織では・・・「代謝ストレス」によって「NAMPT(ニコチナミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)の発現が著しく低下し、「NAD⁺」の合成能が損なわれることが動物実験等でも示されています(参考3)。


3)Cell Metab. 2011 Oct 5;14(4):528-36.

Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice

Jun Yoshinoら

 

ヒトにおいても、遺伝的背景が同一である一卵性双生児の体重不一致ペアを用いた研究でも、肥満している側の脂肪組織ではNAD⁺/サーチュイン経路の発現が有意に低いことが示されています(参考4)[5]。

 

4)J Clin Endocrinol Metab 2016 Jan;101(1):275-83. 

Obesity Is Associated With Low NAD(+)/SIRT Pathway Expression in Adipose Tissue of BMI-Discordant Monozygotic Twins

Sakari Jukarainenら

 

このことは、加齢とは独立して、「肥満そのもの」「NAD⁺」合成を阻害することを証明していますね。

 

さらに「内臓脂肪型肥満」では、「NAD⁺」の「複数の消費経路の同時亢進」という2つ目の現象が起きているわけですが・・・

 

この続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

 

(夜のスカイツリー)

(筆者撮影)

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大学医学部卒)

    

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