こんにちは、内科医 ひとちゃんです![]()
月日が経つのは早いもので、6月も半ばになろうとしていますね。
「円安」は、ジリジリと進行していて、すべての物の値段が高くなってきたなあ・・・と思う毎日です。
日本の製品を海外輸出するためには、我慢(がまん)すべきと考えていましたが・・・円安は輸出企業にはプラスと言われてきたからですね。
しかしながら、実際は、昨年下半期の輸出額を見ると、日本はイタリア、韓国にも抜かれ、世界5位から7位に転落しているそうで、とても不思議な気がしました。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
今回は、メディカルダイエット目的で使われることが多くなり、それと同時に社会問題化している「マンジャロ(一般名:チルゼパチド: GIP/GLP-1受容体作動薬)」について、お話をしてみたいと思います。
「マンンジャロ」は世界初のGIP受容体+GLP‑1受容体のデュアル作動薬(ツインクレチン)となります(参考1)
1)Cardiovasc Diabetol. 2022 Sep 1;21(1):169.
Tirzepatide, a dual GIP/GLP-1 receptor co-agonist for the treatment of type 2 diabetes with unmatched effectiveness regrading glycaemic control and body weight reduction
Michael A Nauckら
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)は、栄養素の摂取に応答して腸管内分泌細胞(L細胞およびK細胞)から分泌される「インクレチン」です。
「インクレチン」が作用するGIPレセプターとGLP-1レセプターは。いずれも膵β細胞に発現し、「食後高血糖時」にインスリン分泌を増強するとされるとされています。
このため、高血糖状態になりにくい「メディカルダイエット」目的の場合は、「低血糖」にはなりにくいとされています。
また、「インクレチン」と呼ばれるホルモンは、膵β細胞でインスリン分泌を高めるだけでなく、脳の摂食調節回路にも働きます。
その結果、食欲低下と摂取カロリー減少を起こすことになります。
GIP・GLP-1は視床下部などの「満腹(サティエティ)センター」のニューロンを活性化し、満腹感を高め摂食を減らすわけですね(参考2)。
2)Front Endocrinal(Lausanne)
Mechanisms of action and therapeutic applications of GLP-1 and dual GIP/GLP-1 receptor agonists
Qiyuan Keith Liu
(AIを用いて画像を作成)
本来は、「2型糖尿病」の治療薬であるはずですが・・・
なぜ「肥満」の治療薬に使用されるケースが出てきたのでしょうか?
「肥満治療」における新たな到達点を示したのが、「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)の第3相試験であるSURMOUNT-1試験であるとされています。
この試験では、糖尿病を伴わない肥満(BMI ≥ 30)または体重関連合併症を有する過体重(BMI ≥ 27)の成人2,539例を対象としています。この試験の中で、以下のようなことが確認されています。
BMI≥30、またはBMI≥27かつ体重関連合併症あり、糖尿病なしの成人を1:1:1:1で5/10/15 mgまたはプラセボに無作為に分け、全員がカロリー制限(約−500 kcal/日)と週150分以上の運動の指導を受けたのだそうです(参考3)
3)Diabetes Obes Metab. 2025 May;27(5):2720-2729.
Body composition changes during weight reduction with tirzepatide in the SURMOUNT-1 study of adults with obesity or overweight
Michelle Lookら
そして、主要評価項目はベースラインから治療終了までの体重%変化したかを見たわけですね。
A)体重減少効果
72週間の皮下投与(週1回)により、5 mg群で16.0%、10 mg群で21.4%、15 mg群で22.5%の平均体重減少を達成した。15 mg群では参加者の約3分の1が25%以上の減量に到達している
B)選択的な体組成改善
機序的に特筆すべきは、減量の大部分が脂肪組織に由来する点である。脂肪量が33.9%減少したのに対し、除脂肪量の減少は10.9%にとどまったそうです。
筋肉だけではなく、水分や骨、臓器も含めた脂肪以外のすべて
が「除脂肪量」ということになります。
これに伴い、血圧、ウエスト周囲径、脂質プロファイル、インスリン抵抗性、CRPといった心血管リスク因子が包括的に是正され、SURMOUNT-1では「臨床的に意味のある持続的な体重減少」が得られたと報告されています。
ここで、炎症の指標である「CRP」が含まれることに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
これらの中で「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)の持つ効果として、特に重要なのが「抗炎症作用」であることが報告されているのですね。
GLP-1受容体を作動させる性質は、「腫瘍壊死因子α(TNF-α)」や「インターロイキン-6(IL-6)」などの「炎症性サイトカイン」の産生を抑制し、C反応性蛋白(CRP)を低下させる。低悪性度の慢性全身性炎症は「動脈硬化」の進展や「心不全」を引き起こすリスクであるため、この抗炎症作用は双方の疾患に共通する強力な保護機序となると考えられているのですね。
フレイルや加齢の観点から見ると、GLP-1/GIP系は単なる血糖調節ホルモンではないと言えます。
近年は、
- 慢性炎症(inflammaging)の抑制
- ミトコンドリア機能改善
- 脂肪組織炎症の軽減
- インスリン抵抗性改善
- 心血管保護
などが報告されており、加齢関連疾患への応用が期待されているのですね。
では、心血管系には、どのような影響を及ぼすのか?
そして、気になる「副作用」は?・・・となっていくわけですが、
このお話の続気は、後日の話題にしたいと思います
素敵な1週間をお過ごしください![]()
それでは、また![]()
(東京スカイツリー)
(筆者撮影)
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理事長・ 院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
(新潟大医学部卒)
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