こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

気持ちのよい青空の広がる3月最後の休日となりました。

 

いよいよ明日からは4月となり、新年度が始まりますね。

そして、4月1日は「エイプリルフール」ですね。

 

4月1日になりますと・・・私は次にご紹介する動画を思い出します。

2008年4月1日 英国のBBCが放送した「進化の奇跡」というドキュメンタリーのような形で放送された映像で、当時、話題になりました。

 

何が奇跡の進化なのか・・・と言いますと「ペンギンが進化して、空を飛べるようになった」というのですね。

 

この画像は、英国だけでなく、世界各国で大きな話題になったのだとか。ご存知の方もいらっしゃると思いますが・・・ね。

 

 

 

いかがでしょうか?なかなか、よくできた画像で騙されて(だまされて)しまいますよね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

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今回は、「動脈硬化(どうみゃくこうか)」についてのお話をしてみたいと思います。

「動脈硬化」とは、どのようなものであったでしょうか?
 

「動脈硬化」とは、動脈が硬くなり、弾力性を失ってしまう状態です。

 

ヒトの血液は、心臓から全身「動脈」を使って、全身に運ばれます。

 

本来、「動脈」は弾力性(だんりょくせい)があって、血液をスムーズに末梢(まっしょう)の組織まで、運ぶ役割を担っています。

 

しかしながが、加齢や生活習慣などの影響で、次のような変化が起きてくると考えられています。

 

 

1.血管の内壁にLDL-Cなどの脂質が蓄積し、「プラーク」と呼ばれる粥状(じゅくじょう)の塊(かたまり)ができる

 

2. 血管壁が炎症を起こし、組織が傷ついていく

 

3. 血管壁が厚くなり、硬くなる

 

これらの変化によって、血管が狭くなったり、詰まったりしやすくなり、血液の流れが悪くなっていくというわけです。


では、「動脈硬化」の起こるメカニズムとは、どのようなものでしょうか?

 

以前にもブログ内でお話をしたかもしれないのですが・・・

 

 

「動脈硬化」の病態の進行は複数の段階を経ており、多様な因子が関与していると考えられています。
 

しかしながら・・・「動脈硬化」の初期段階は、動脈の最内層を覆う(おおう)「血管内皮細胞」が損傷することから始まります。
 

「血管内皮細胞」の損傷を起こす原因となるのが・・・高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満などということになります.



では、「血管内皮細胞」の損傷が生じると「動脈硬化」が進展していく理由は、どのようなものなのでしょうか?

血管内皮細胞が損傷を受けると、以下のメカニズムによって動脈硬化が発展します。

1) 炎症


血管内皮細胞が損傷を受けると、炎症が起こります。炎症は、血管内皮細胞の機能をさらに障害し、血管壁にダメージを与えます。


2) 酸化ストレス


血管内皮細胞が損傷を受けると、「活性酸素」が過剰に産生されます。「活性酸素」は、「血管内皮細胞」をさらに酸化することにより
血管壁にダメージを拡大します。

3)血管内皮細胞の機能障害
 

「血管内皮細胞」が損傷を受けると、一酸化窒素(NO)などの血管拡張作用を持つ物質の産生が減少します。
一方、「エンドセリン」などの血管収縮作用を持つ物質の産生が増加します。これにより、血管拡張・収縮のバランスが崩れ、血管が収縮しやすくなります。


4) 血栓の形成


「血管内皮細胞」が損傷を受けると、血管壁が剥離し、血小板が活性化されます。
血小板が活性化されると、血栓が形成されます。血栓が血管を詰まらせることで、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こします。

5) 血管平滑筋細胞の増殖


血管内皮細胞が損傷を受けると、血管平滑筋細胞が増殖します。血管平滑筋細胞が増殖すると、血管壁が厚くなる。

 

 

上記にご紹介したように「血管内皮細胞」がさまざまな形で損傷を受けることで、血管壁がダメージを受けるばかりでなく、血栓の形成や動脈の閉塞が生じるわけですね。

 

もちろん、こうした病態が心筋梗塞や脳梗塞などといった重大な疾患の発症に関与していくというわけですね。

 

その要因をあらためて、見直してみると・・・

 

血管内皮細胞の局所の炎症、活性酸素の過剰な産生などと、解決するには、相当な難問のように感じられますよね。

 

実は、次のような話題もあります。

 

「ミトコンドリア」の機能障害は、細胞内でのエネルギー生産不足、酸化ストレスの増加、炎症反応の誘発など、さまざまな経路を通じて「血管内皮細胞」の機能に影響を及ぼすことが知られています。
 

 

さて、ここまで話が展開してくると・・・

あなたは、「動脈硬化」をコントロールするのは不可能だ・・・と考えますか?

 

それとも、例えば、アンチエイジング医療の手法を応用して、「動脈硬化」を「血管内皮細胞」のレベルから、改善したいと思いますか?

 

もちろん、私は後者の考え方ですが・・・

世界各国の研究者たちも、同じように後者の考え方で基礎研究をすすめているようです。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>4月2日

 

都内では、桜も開花しているようです。

平年より遅い開花となったようですが、今後数日で続々と開花の便りが届く見込みなのだとか。

 

さて、「動脈硬化」と言いますと、いわゆる「悪玉コレステロール(LDLーC )」の値が高いから生じるのではないか?・・・

 

なぜ「血管内皮細胞」が関係あるのか?・・・と疑問に思われる方も多いかもしれませんね。

実は、悪玉コレステロール(LDL-C )の高値が原因で生じる「動脈硬化」も初期の段階は、「血管内皮細胞」の障害であると考えられています。

もちろん、その他の高血圧、糖尿病、喫煙なども「血管内皮細胞の損傷を与える原因となるわけですね。

さまざまな原因で、「血管内皮細胞」の損傷が生じた状況があって、さらに「LDL-C」が高値であると次のような変化が起きてきます。

 

「LDL-C」は、肝臓で生成されたコレステロールを全身に運ぶ働きを担っています。「LDL-C」正常値であれば問題ありませんが、過剰に増えると・・・動脈壁内に侵入しやすくなります。

 

さらに「LDLーC」は、「活性酸素」の影響で酸化されると、

さらに有害となり、これをマクロファージが取り込むことで「泡沫細胞」と呼ばれる細胞が形成されます。


最終的に血管の中にコレステロールたっぷりの軟らかい「プラーク(粥腫)」を作り上げていくます。


この「プラーク」は、脂質、炎症細胞、線維組織、カルシウムから構成され、動脈壁を厚くし、その柔軟性を損ないます。
このような状態になりますと、炎症反応はさらに進行し、「プラーク」の成長をさらに促進すると考えられています。


その後、「プラーク」周囲には線維帽というものが形成され、これが一旦は、「プラーク」を安定させますが、この線維帽が破れると血栓が形成され、「心筋梗塞」や「脳血管障害」を引き起こす可能性があるというわけです。

上記のように「プラーク」を形成するタイプの「動脈硬化」も、そのきっかけになるのは「血管内皮細胞」の損傷であるというわけですね。

また、動脈硬化において、非常に重要と考えられているのが、「一酸化窒素(NO)」ということになります。

なぜ、「一酸化窒素(NO)」が重要なのでしょうか?

「一酸化窒素(NO)」は、「血管内皮細胞」から産生されるガス状の分子で、血管の拡張、血圧の調節、血小板の凝集抑制、白血球の血管壁への付着抑制など、多くの生理的プロセスに関与していることが知られています。

この「一酸化窒素(NO)」は、「血管内皮細胞」が損傷を受けた状態では、その産生が低下してしまいます。

「動脈硬化」における「一酸化窒素(NO)」の役割は以下のとおりとなります。

1)血管の拡張
 

「一酸化窒素(NO)」は、平滑筋細胞に作用して血管を弛緩させ、血管の拡張を促します(うながします)。

これにより、血流が増加し、血圧が低下します。
血管の拡張能力の低下は、動脈硬化の初期段階で見られ、「一酸化窒素(NO)」の産生または作用の低下が関与していることが多いと考えられています。

2)抗炎症作用

「一酸化窒素(NO)」は、「血管内皮細胞」機能の維持に重要な役割を果たし、炎症性細胞の血管壁への付着や移動を抑制します。
 この抗炎症作用により、動脈硬化の進行が遅らせられます。

3) 抗酸化作用


「一酸化窒素(NO)」は、酸化LDLの形成を抑制することにより、動脈壁の脂質蓄積と泡沫細胞の形成を抑えることが知られています。

上記のように「一酸化窒素(NO)」の産生と機能は、動脈硬化の予防と進行の抑制において中心的な役割を果たします。


しかし、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などのリスクファクターは、NOの産生や作用を低下させ、動脈硬化の進行を促進させる可能性があるというわけです。

 

これらの問題の解決につながる可能性を示した海外の論文が増えています。

最も興味深いのは、次のような報告です。

 

「サーチュイン」は、多くの加齢関連疾患や慢性疾患の新規治療標的となると考えられているわけですが・・・

 とくに「サーチュイン1(SIRT1)」遺伝子の活性化は、様々な機序によって動脈硬化を緩和または予防することが証明されている。 

 

「サーチュイン1(SIRT1)」遺伝子とは、「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド )」から誘導される7つの「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」のひとつでしたよね。

 

そして、「NAD+」の前駆体が・・・「N M N(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」ですね。

 

もちろん、最適なSIRT活性化剤の投与量を決定し、健康効果と生物活性化合物の投与との間に、より強い相関関係を確立するためには、さらなる研究が必要である・・・とも述べられていますが・・・ね。

 

もうひとつの論文は、次のようなものです。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者さんでは、心血管関連疾患が死亡原因の1位なのだそうです。

これまでの研究で、慢性間欠的低酸素症(CIH)と高コレステロール食(HCD)がアテローム性動脈硬化斑の異なる特徴を誘導することが示されており、CIHによる「血管内皮傷害」に関与する特異的な機序が強調されてきたそうです。

 

結果として、次のようなことが推測できた・・・というのですね。

 

「慢性間欠的低酸素症(CIH)」の状態では、「血管内皮細胞」が傷害されており、「NAD+」の減少が生じており、さらに「NAD+」の減少が、「ミトコンドリア」の機能障害と関連している可能性がある。

 

「 NAD+前駆体」を補充してそのレベルを上昇させることは、CIH誘発の「血管内皮傷害」を改善する手段になり得ることが報告されています。

 

もちろん、こちらも研究段階ではあるのでしょうが、結果が楽しみですよね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1.Curr Artheroscler Rep.2023; 25(12): 979–994.

Natural Sirtuin1 Activators and Atherosclerosis: an Overview

Karolina Lanoszkaら

 

2Eur Rev Med Pharmacol Sci 2023; 27 (21): 10749-10762

Specific role of NAD+ biosynthesis reduction mediated mitochondrial dysfunction in vascular endothelial injury induced by chronic intermittent hypoxia

Z.-T, Fanら

 

 

(筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

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