こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ 

 

時間が経つのは早いもので、あと数日もしますと2月も中旬になりますね。

暦をみますと・・・二十四節気では「立春(りっしゅん)」であり、

七十二候では「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」となっていますね。

 

「鶯(ウグイス)」は「春告鳥(はるつげどり)」と呼ばれていますよね。

春に早く現れて微妙な声で鳴くので、この名前がついたそうです。

 

微妙な声とは、解説するまでもないのですが・・・

「ホーホケキョ」という鳴き声になりますよね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

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今回は、免疫関連の話題にしたいと思います。

 

「免疫力(めんえきりょく)」をアップする◯◯◯・などとよく言われますよね。

 

では、この「免疫力」とは、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか?

 

例えば・・・「免疫力を上げる食品」,「免疫力を高める運動」,「免疫力低下」等の「免疫力」という言葉が非常に多く使われています。

 

実は、「免疫力」という言葉は、医学的用語ではありません。完全な造語(ぞうご)である・・・ということになります。

 

「免疫システム」を構成する細胞は、多くあるのですが・・・私自身が「免疫力」という言葉にぴったりであると思っているのが・・・

「ナチュラル・キラー(NK)細胞」となります。

 

「NK細胞」のことは、以前のブログ内でもご紹介したのですが、次のような特徴がありましたよね。
 
「NK細胞」は・・・生まれつきの「殺し屋」で、全身をパトロールしながら、「がん細胞」や「ウイルス感染細胞」などを見つけ次第、攻撃するリンパ球でした。
 
生まれながらに備わっている、からだの防衛機構である「自然免疫」に重要な役割を担うと考えられています。
 
「NK細胞」は・・・血液中に存在するリンパ球の10~30%を占めており、「癌細胞」や「ウイルス感染細胞」を見つけますと・・・
 
「パーフォリン」(標的細胞の細胞膜に孔を開けるタンパク)、「グランザイム(標的細胞に細胞死を誘導する一群のセリンプロテアーゼ)」などの細胞傷害因子を持っていまして、それらの細胞を丸ごと破壊してしまうのですね。
 
その破壊力は、極めて強いと言えます。
 
さて・・・「NK細胞」が破壊しなければいけないモノがあります。
 
それは・・・「老化細胞(ろうかさいぼう)」です。
 
例えば・・・ヒトの胎児から採取した細胞の分裂の限界は、どのぐらいなのでしょうか?
 
その答えは、およそ50回ということになります。
 
このように限界まで分裂した細胞を「老化細胞」と呼ぶわけです。
 
また、細胞分裂が50回の限界までいかなくても・・・何らかの要因で、DNAが傷害(しょうがい)されたり、コピーエラーなどが起きた場合、つまり、DNAが修復不可能なほど大きなダメージを受けたときに、細胞分裂を停止して、「老化細胞」になってしまうこともあるのですね。
 

『老化細胞』が、自分の体の細胞をがん化させないために、人間を含む高等動物が進化の過程で獲得した安全装置の1つであると言われるのは、このようなメリットもあるからなのですね。

 

古い細胞が分裂を停止して新しい細胞に置き換わるときには、自ら死んで壊れる「アポトーシス(細胞死)」を起こすか、免疫細胞に食べられて体内から消えるのが通常なのですが・・・
 
『老化細胞』の中には、なぜか死なずに、臓器や組織の中に残ってたまっていくものがあるのだそうです。
 
そして、この「老化細胞」が蓄積すると・・・
 
「SASP(サスプ:細胞老化随伴分泌現象)」という現象を引き起こしますというわけです。
 
「老化細胞」が炎症を起こす物質を出すのはよいのですが・・・
 
周囲の正常細胞の「老化」を加速させて、ダメージを大きくしていき、ついには、組織や臓器の機能を低下させてしまうのは、困ったことですよね。
 
そして、「老化細胞」の蓄積が多くなれば・・・
「SASP(サスプ)」の影響は、増大していき、そのことは加齢とともに発症率が増加していく「加齢性疾患」のリスクを高めてしまうのですね。
(図はお借りしました)
 
では、「老化細胞」を破壊する「NK細胞」は・・・・と言いますと・・・
「NK細胞」の数は、加齢とともに減少することが多いと言われ、確実にその「活性」は低下するとされているのですね。
 
通常の場合には・・・「NK細胞」に期待するのは難しい・・・と考えてよいのかもしれません。
 
あくまでも・・・通常の場合は・・・ですが・・・。
 
「私には、関係ないかも」・・・と思った方は、次の文章に驚くかもしれません。
 
それは・・・「老化細胞」から放出される「MMP」は、皮膚真皮層の「線維芽細胞」にダメージを与える・・・可能性が高い・・ということです。
 
皮膚の真皮層にある「線維芽細胞」と言えば・・・◯◯◯や◯◯◯を産生する重要な細胞でしたよね。
 
では、「老化細胞」に対して、どのような対策があるのでしょうか?
続きは・・・後日の話題にしたいと思います。
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またキラキラ
 
参考)
1.日経BP 

FEATURE ここまで進んだ「老化制御サイエンス」

老化細胞(ゾンビ細胞)の謎が分かった

 

2.健康長寿ネット 細胞の老化の原因と症状

など

 

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<ブログ後記  > 2月13日

 

気温も高くなり、気温も高くなったようで、本格的な春の到来を予感させる1日となりました。

 

同時にスギ花粉症の季節が始まったことにも気がついた方も多かったのではないでしょうか?

 

今回は、「ゾンビ」にも例えられる(たとえられる)「老化細胞」のお話をさせていただきました。

 

体内に残った「老化細胞」がなぜ、「ゾンビ」のように恐れられる(?)のか・・・と言いますと・・・「SASP」と呼ばれる炎症性サイトカインを周囲に撒き散らし(まきちらし)正常な細胞にさまざまな傷害(しょうがい)を与えていくからです。

 

この「SASP」の内容もある程度、分かっていまして、次のような物質があります。

 

1)炎症性サイトカイン

IL-1α, IL-1β, IL-6,IL-8,TNF-α など

これらは、免疫細胞の活性化や炎症反応の誘導に関与します。

 

2)ケモカイン

MCP-1,MIP-1α, MIP-1β,RANTESなど

これらは、細胞外マトリクスの分解や組織の破壊を引き起こします。

 

3)増殖因子

IGF-1,EGF,VEGF, PDGF

これらは、細胞の増殖や血管新生を刺激します。

 

4)その他

TGF-β, PAI-I

これらは、細胞の分化や線維化、細胞死などの様々な生物学的効果を持ちます

 

MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)

コラーゲン、エラスチンからなる細胞外マトリックスを分解する

上に示したようなさまざまな物質を放出するわけですね。

 

このような「SASP」は、「老化細胞」の周囲にある正常な細胞にも細胞老化を誘導することで、老化の伝播を引き起こす可能性があります 。

 

「老化」の伝播(でんぱ)と聞くと、違和感を感じる方もいらっしゃると思いますが・・・

 

その内容は、テロメアの短縮やDNA損傷などの老化の原因となるストレスを与えたり、老化細胞の特徴的な遺伝子発現パターンを伝達したりすることも知られています。

 

本文内でもご紹介したように皮膚についても同様の現象が起きていると考えられています。

 

真皮層に存在し、「コラーゲン」や「エラスチン」を産み出す「線維芽細胞」についても、「老化細胞」の蓄積によって周囲の細胞をも老化させ、その機能を低下させることは重要な研究課題となっています。

 

「線維芽細胞」が次から次へと「老化」していくようでは、皮膚のハリを支える「コラーゲン」や「エラスチン」が減少してしまいますから、シワやタルミが出てしまいますよね。

 

このため、皮膚科的にも・・・この連鎖的な「老化細胞」の蓄積を防ぐためには、発生を減らす手段を見つけることが重要と考えられているのですね。

 

現在、世界各国「老化細胞」を除去することや、「老化細胞」から放出される「SASP」を除去するなど、これらのコントロールをしようとしている理由がお分かりいただけると思います。

 

本文内でもお話をしたのですが・・・「NK細胞」は「老化細胞」を破壊することができます。

 

しかしながら、「NK細胞」の数には個人差が大きく、新型コロナの感染後には、その数が大きく減少する方もいると報告されています。

さらに加齢とともに「NK細胞」自体の活性も低下していくことも知られています。

 

では、どうしたらよいのでしょうか?

 

ひとつの方法が「α-グルカン」を摂取することになります。

「α-グルカン」は、以前のブログでもご紹介したのですが・・・

キノコ類に含まれる成分ですね。

 

「αグルカン」は、「NK細胞」を増殖させ、活性化させるということが研究で示されています。

「αグルカン」は、「AHCC」という医療用サプリとして知られています。

 

この話をしますと・・・「老化細胞」自体をコントロールする方法はないのか?・・・とおっしゃる方が多くいます。

 

確かに・・・どのような方法を使うにしても「老化細胞」自体をコントロールしなければ、意味がない・・・というわけですね。

 

実は、そこまでも世界の研究の知見(ちけん)は、進みつつあります。

 

「老化細胞」のDNAは、「メチル化」が低下している。

また、ヒストンの「アセチル化」が高度になっていると報告されています。

 

なんのこっちゃ・・・と思いますよね。

 

 

DNAの「メチル化」が低下しますと・・・mRNAが作られやすくなります。

 

また、「ヒストン」というボールにDNAは巻きついているのですが、この「ヒストン」が「アセチル化」をすると・・・DNAの巻き付けが緩み、mRNAが作られやすくなる・・・というわけですね。

 

「老化細胞」では、下の図のようにさまざまな遺伝子が発現しやすくなっている可能性が高い・・・というわけです。

 

このような状態が「老化細胞」が「SASP」を放出する原因なのではないか?・・・というわけです。

 

ならば・・・どうしたらよいのでしょうか?

実は、解決できるヒントがあります。

 

長くなりますので・・・続きは、またの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

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( 以前のphoto:筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

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