こんにちは、内科医 ひとちゃんです
暦のうえでは「立春」となり、いよいよ春の季節となりましたね。
とは言っても、ここ数日は雪模様というニュースもありますし、次のような和歌もあります。
春きぬと 人はいへども うぐひすの なかぬかきりは あらじとそ思ふ
「もう春が来た(立春だ)」と人が言ったとしても、鶯が鳴かない限りはまだだと思う。
確かに・・・春だ、春だと浮かれてばかりもいられないかもそれませんね。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
(写真はお借りしました)
「花粉症」のある方は、どのくらいの方がいるのでしょうか?
花粉症を患う(わずらう)ヒトは、2019年の統計によると49.2%と日本国内に居住する方の約半数が花粉症になっているそうです。
花粉症の原因の38.8%が「スギ花粉」なのだそうです。
では・・・春の時期には、どの程度のスギ花粉が飛散するのでしょうか?
日本国内には、1年間に500万トン(50億kg)のスギ花粉が、主に2月~4月の間に飛散するのだそうです。
花粉症のメカニズムを簡単にお話をしますと・・・
最初は・・・
スギ花粉が、目や鼻から入ってしまったということから始まります
この「スギ花粉」が、免疫システムに「異物、または、侵入者」として認識されることに始まります。
その結果、「スギ花粉」に対する「IgE(アイ ジー イー)」という抗体が作られます。
この「IgE(アイ ジー イー)」抗体は、病原体などが体内に入ったとき、それと特異的に反応する物質なのですね。
そして、「IgE(アイ ジー イー)抗体」は、「肥満細胞(マスト細胞)」という細胞の表面に付着します。
(図はお借りしました)
そして、再び「スギ花粉」が体内に侵入しますと・・・
「肥満細胞(マスト細胞)」からは、「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などのアレルギー誘発物質を放出するのですね。
これらの物質は、鼻や目の神経や血管に作用して、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙などの症状を引き起こします。
さらに、スギ花粉の抗原と「IgE抗体」の反応は炎症細胞を呼び寄せて、鼻や目の粘膜を腫れさせたり、過敏にしたりします。
・・・というメカニズムからしますと・・・
私は「スギ花粉症」がないから、ラッキーだと思っている方も・・・
今年から発症する可能性もあることになりますね。
治療については、後日の話題にしたいと思います。
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
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<ブログ後記>2月6日
今回は、もうすぐ症状が出るかもしれない「花粉症」のお話をさせていただきました。
花粉といっても「スギ」の花粉でして、少し時期を遅らせて、「ヒノキ」の花粉に対するアレルギーによる症状が出現するかもしれません。
本文内でもご紹介した「肥満細胞(マスト細胞)」は、
体中の血管周囲、特に皮膚や皮下組織、肺、消化管、肝臓などに広く存在しているとされています。
「肥満細胞」の表面には、「IgE(アイジーイー)」と呼ばれる免疫グロブリンが付着しているのですが・・・
このときにIgEを「肥満細胞」の表面に付着させるために「高親和性IgE受容体(FcεRI)」というものがあります。
(これを「IgEとFcεRIの架橋(かきょう)形成」された状態と呼びます。)
つまり、「スギ花粉症」のある方の体内には、「スギ花粉」に反応する「IgE」をのせた「肥満細胞」が存在しているわけですね。
「スギ花粉」のない状態では、「ヒスタミン」は、不活化(働かない)した状態で存在し、「肥満細胞」のなかに静かに眠って(???)いるわけです。
しかしながら、春になれば・・・イヤでも「スギ花粉」は、体内に入ってきますよね。
そして、「スギ花粉」は「肥満細胞」の表面の「IgE抗体」に結合します。
そうしますと・・・眠って(???)いた「ヒスタミン」は、すぐに「肥満細胞」から出てきて、活性化するというわけです。
この現象を「脱顆粒(だつかりゅう)」と呼ぶのですが・・・先にあげた「ヒスタミン」ばかりでなく、他にも「血小板活性化因子(PAF)」や「ロイコトリエン」、「トロンボキサン」なども放出されることが知られており、
これらは、「化学伝達物質(ケミカルメディエーター)」と呼ばれています。
では、「花粉症」の治療薬には、どのようなものがあるのでしょうか?
内服薬は、全身に作用して花粉症の症状を緩和する薬です。主な種類としては、以下のようなものがあります。
1)ケミカルメディエーター遊離抑制薬
2) 第2世代抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)
3)ロイコトリエン受容体拮抗薬
4)トロンボキサンA2阻害薬
5) ステロイド薬
具体的な薬品名の紹介は、またの機会にしたいと思いますが・・・
多くの薬剤が「肥満細胞」から放出される「化学伝達物質(ケミカルメディエーター)」をターゲットにしているのがお分かりいただけると思います。
その他、吸入薬や点鼻薬などもありまして、花粉症の症状や重症度によって、適切な薬剤を選択していく必要があることが、ご理解いただけると思います。
また、当然のことですが・・・薬剤の使用方法や副作用についても注意して必要がありますよね。
春の陽気は、うれしいのですが・・・春のそよ風で「スギ花粉」が運ばれている可能性を考えますと・・・気持ちは、ビミョー出会ったりまします。
今回も最後までお付き合いいただきまして
誠にありがとうございました
( 筆者撮影)
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理事長、院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
新潟大医学部卒
<JTKクリニック・アンチエイジング治療>
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