こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

暦の二十四節気(にじゅうしせっき)を見ますと、昨日1月20
に「大寒(だいかん)」になっていることに気がつきました。

暦の「大寒」の文字が目に入ってきますと、冬の寒さは一層厳しさをましていくのだろうか・・・なんて、考えてしまいますね。

皆さまの体調は、いかがでしょうか?
 

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この寒さに「血圧」が高くなってしまった・・・と嘆いていらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。
どうして、寒いと血圧が上がるのか?・・・よく聞かれます。

この理由は、次のようなものになります。

冬は寒いために、体内の熱が外部へ逃げることを阻止(そし)しようとし、血管が収縮して細くなります。
すると、血管断面の面積が小さくなり、血液を送るために大きな力が必要になります。

末梢血管の抵抗が大きくなり、これに逆らって、血液を押し出さなければならないので、血圧が上昇するわけですね。この大きな力がかかることによって血圧が上昇することが多いわけです。

もちろん、ベースに「動脈硬化(どうみゃくこうか)」が存在するから・・・ということになるのですが・・・。

「人は血管とともに老いる」という言葉を残したのは、120年以上前に医学教育の基礎を築いた米国の医師「ウィリアム・オスラー博士(1849-1919)」です。

オスラー博士の言葉を借りれば、「動脈硬化」の進行を抑制することが、「老化」のスピードを落とすひとつの方法となりうると言えるかもしれませんね。

 

今回は、血管の最も内側にある「血管内皮細胞(けっかんないひさいぼう)」に焦点に当てて、「動脈硬化(どうみゃくこうか)」を考えてみたいと思います。

 

まずは、「動脈硬化」の構造に「血管内皮細胞」は、どのような役割を果たしているのでしょうか?

 

「血管内皮細胞」は、「動脈硬化」において重要な役割を果たします。

これらの細胞は血管の内側を覆い、血液と血管壁の間の障壁として機能します。

 

正常な「血管内皮細胞」は、血管の拡張や収縮を調節し、血液の流れをスムーズに保つことができます。

 

しかし・・・「炎症」,「高血圧」,「高コレステロール血症」などの要因により「血管内皮細胞」が損傷を受けると、動脈硬化の進行に繋がる(つながる)と考えられています。

 

そして、損傷した「血管内皮細胞」は、脂質や白血球の血管壁への蓄積を促進し、さらなる動脈の硬化や狭窄を引き起こす原因となると考えられています。

 

では、損傷を受けた「血管内皮細胞」を回復させることは不可能なのでしょうか?

 

それは・・・さすがにムリだろうと考えられがちなのですが・・・

「オレゴン州立大学リナス・ポーリング研究所」のウェブサイトには、次のような報告がありました:

 

 

「血管内皮細胞」の損傷を正常化するために有効な物質として・・・次のようなものが挙げられています。


1. マグネシウム

 

マグネシウムは「血管内皮細胞」に有害な炎症性状態を軽減する。

とくに冠動脈性心疾患患者の「血管内皮細胞」の機能を改善する可能性がある。

2. ビタミンC 

 

抗酸化物質として、「血管内皮細胞」を酸化ストレスから保護し、

血管拡張に重要な「一酸化窒素(NO)の利用性を高める。

3. コエンザイムQ10

 

抗酸化物質として知られ、酸化ストレスを軽減し、一酸化窒素の利用性を高め、「血管内皮細胞」の機能を助ける。

これらの物質は、「血管内皮細胞」に損傷を与える重要な危険因子、つまり、「酸化ストレス」と「炎症」を管理する役割を果たすと考えられているようです。

 

しかし、「動脈硬化」がある程度の進行を認める段階において「血管内皮細胞」の損傷をなくし、機能を正常化することに意味はあるのでしょうか?

 

そのような疑問を持たれる方も多いと思います。

 

その答えは、次のようなものになります。

 

「動脈硬化」による血管壁の硬化があっても、「血管内皮細胞」の機能が正常化されれば、「血管の拡張」や「活性酸素」の排除などの機能の回復が一部可能になることが多いと考えられています。

 

正常化された「血管内皮細胞」は、適切な血管の拡張機能を取り戻し、炎症を抑制し、血液流動性を改善する役割を果たすことができるとも考えられています。

 

しかしながら・・・「動脈硬化」が、かなり進行して、血管壁が大きく損傷している場合、例えば、動脈壁の高度な石灰化などは、完全な機能回復は困難かもしれないとされています。

 

したがって、血管の健康を維持するためには、「動脈硬化」の予防と早期治療を積極的に行っていくことが、重要です・・・ということになっていくわけですね爆  笑

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>1月23日

 

今回は、「動脈硬化」の形成にも関与する「血管内皮細胞」のお話をさせていただきました。

 

これまでにも「血管内皮細胞」の話題に触れてきました。

 

「血管内皮細胞」は、血管の最も内側を覆う(おおう)細胞であり、一酸化窒素(NO)やエンドセリンなどの多くの血管作動性物質(血管に働きかける因子)を放出しており、血管壁の収縮・弛緩(血管の硬さ・やわらかさ)をはじめとして、血管壁への炎症細胞の接着、血管透過性、凝固・線溶系の調節などの重要な機能を持っています。


しかし、この機能を低下させていく要因もあるわけです。


その要因とは、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満などに加え、メタボリックシンドロームなどの様々な生活習慣病ということになります。

 

これらの要因により、「血管内皮機能」が低下した状態が続けば、動脈硬化の進展、さらにはプラーク(粥腫)の不安定化を引き起こしますとされています。

 

しかし、動脈硬化の初期段階であれば・・・「血管内皮機能」の低下は、改善する可能性があるというのですね。

 

なぜなら、「血管内皮細胞」の機能は、可逆的であることから、この「血管内皮機能」の低下した状態を早期に発見し、なんらかの治療を施行したり、さらにはその機能を高める介入をすることができれば、

「血管内皮細胞」の機能は改善させることができれば、動脈硬化の進展を予防できるだろう・・・と考えられているのですね。

 

もちろん、当院でも『血管内皮細胞』の健全化・・・というものは、目標にしています。

 

動脈硬化の進展を予防できるのではないか?・・・ということで、糖尿病、脂質異常症、肥満などに加え、メタボリックシンドロームなどの状態を脱却するために・・・ダイエット漢方による体重を減量し、

BMI 22以下にする。運動を習慣化させる。食事の総カロリーを適正に保つ。LDL-Cを低めに保つための治療・・・などを行っています。

 

最近、私が興味を持っているのは・・・「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」の「血管内皮細胞」への効果です。

 

「NAD+」の前駆体(ぜんくたい)は・・・そうです。

「N M N(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」でしたよね。

 

現在、「NAD+」は、血管内皮細胞に影響を与え、これらの細胞の機能や健康に重要な役割を果たしています。

 

ある研究によると、血管内皮細胞におけるNAD+のレベルは、心血管疾患や急性心臓死と関連する心血管疾患の治療において重要な研究対象になっているなどという話もあるのですね。

 

また、「血管内皮細胞」の機能と「NAD+」の濃度の関係に関する研究では、加齢に伴う「NAD+」の減少が血管内皮細胞の機能不全に寄与する可能性が示唆されています。

 

最後は、おきまりの「N M N」のお話となってしまいましたが、

地球2周半分の長さを持つ、ヒト1人分の血管が血流を維持できるから、健康な良好な状態を保つことができる。

 

そして、「血管内皮細胞」が持つ多くの機能があることから考えれば・・・まずは・・「血管内皮細胞」が良好である状態を取り戻すことが重要なことなのかもしれませんね。

 

なぜなら・・・「血管内皮細胞」の機能は、可逆的であるわけですから、今は少し機能が低下していても、生活の習慣を見直すことで、回復できるチャンスがあるからですね。

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1. Signal Transduct Target Therapy. 2020 Oct 7;5(1):227.  NAD+ metabolism: pathophysiologic mechanisms and therapeutic potential

Na Xiら

 

2. NPJ Biofilms Microbiomes. 2023; 9: 31.

Dissecting the impact of dietary fiber type on atherosclerosis in mice colonized with different gut microbial communities

Evan R. Hutchisonら

 

など

 

(東京駅丸の内駅舎: 筆者撮影)

 

 

(東京駅丸の内北口ドーム型天井

:筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング治療>

 

 

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