こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

今年 2023年も残り 1週間となっていますね。

 

そして、今日24日は、クリスマス・イブとなりますね。

 

私は、この時期になると思い出すものがあります。

それは、英国の小説家 チャールズ・ディケンズによって書かれた有名な小説「クリスマスキャロル」です。

 

内容は・・・次のようなものでした。

 

物語の主人公は、「エベネザー・スクルージ」という冷酷で利己的な老人です。

 

彼はクリスマスの祝いを軽蔑し、人々とのつながりを断ち切っていました。ある晩、スクルージは亡くなったビジネスパートナーのジェイコブ・マーリーの幽霊に出会います。マーリーはスクルージに、彼の利己的な生き方が後悔と苦しみをもたらすことを告げます。

 

その後、スクルージはクリスマスの夜に3人の幽霊、過去のクリスマスの幽霊、現在のクリスマスの幽霊、未来のクリスマスの幽霊に次々と出会います。

 

・・・と、ここまでにしておきましょうウインク

 
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
 

 

今回は、「DNAの守護神」とも言われる「p53遺伝子」と

「細胞周期の守り神(?)」と呼ばれるかもしれない「p21 遺伝子」の華麗(かれい)なる連携プレーのお話をしてみたいと思います。

 

では・・・「p53遺伝子」とは、どのような遺伝子であったでしょうか? 復習をしてみたいと思います。

 

「p53遺伝子」は、ヒトを含む多くの生物に存在する重要な遺伝子でしたね。

 

この遺伝子は、癌」の抑制に非常に重要な役割を果たしています。p53遺伝子がコードするタンパク質(p53タンパク質)は、「ガードナー(守護者)」や「ゲノムの監視者」とも呼ばれ、以下のような機能を持ちます。

 

1)DNA修復の促進

 

DNAが損傷を受けた場合、p53タンパク質は細胞周期を一時停止させ、DNA修復の機会を与えます。

 

2)細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)の誘導

 

DNA損傷が修復不可能な場合、p53は細胞の自殺プログラムを活性化し、損傷細胞の除去を促します。

 

3)細胞周期の調節

 

p53は細胞分裂の過程を監視し、異常がある場合には細胞周期を停止させることができます。

 

このような重要な働きが「p53遺伝子」にはありましたね。

 

では・・・「p21遺伝子」とは、どのようなものなのでしょうか?

 

「p21遺伝子」から作られる「p21 タンパク質」は、細胞周期の調節に関与する重要な分子なのですね。

 

「細胞周期」とは、次のようなものなのでしょうか?

 

(図はお借りしました)

 

G1期 → S期 → G2期 →  M期  と進行しまして、再び、G1期に戻るようにぐるぐると回るように進行するので「細胞周期」と呼ばれているわけですね。

 

1つの細胞が、M期になると・・・2つの細胞になるわけですね。

 

実はこの「細胞周期」の中で、DNAのコピーミスをしていないかをチェックしているのが「p21 タンパク質」というわけです。

 

 

「p21タンパク質」は、「サイクリン依存性キナーゼ(CDK)」の阻害剤として機能し、細胞分裂の進行を一時的に停止させることで、DNA損傷の修復をするための時間かせぎをするというわけです。

 

なぜならば・・・「サイクリン依存性キナーゼ(CDK)」は、細胞周期を進行させるエンジンとして働くからですね。

 

 

(図はお借りしました)

 

では、「p53遺伝子」と「p21 遺伝子」が華麗(かれい)な連携プレーをする・・・とは、どのようなことなのでしょうか?

 

(図は一部お借りしました)」

 

上の図は「p21遺伝子」から 「p21タンパク質」ができる過程を示しています。

 

「p53タンパク質」が「転写活性領域(プロモーター )」にくっつきますと、そこに「RNAポリメラーゼ II」という分子がくっつきまして、「p21 mRNA」 が作られて、その後、「p21タンパク質」ができるのですね。

 

「転写」とは、DNAから、mRNAを作り出すことでしたよね。

 

 

「p53遺伝子」からできる「p53タンパク質」は、「p21遺伝子」の発現を調節する重要な「転写因子(てんしゃいんし)」のひとつであり、p53タンパク質は、DNA損傷やストレス応答があると活性化され、p21遺伝子のプロモーター領域に結合します。これにより、p21の発現が促進されます。

 

このように、p53とp21は細胞のDNA損傷応答と細胞周期の調節において密接に連携しています。

 

p53の変異や機能不全は、p21の発現調節に影響を与え、細胞の異常増殖やがん化を促進する可能性があると考えられているのですね。

 

では、これらの遺伝子異常が起きると・・・いったい、どのような不都合なことが起きてくるのでしょうか?

 

そして、p53タンパク質に対する「抗p53抗体」が出現してくる意味とは・・・どのような意味があるのでしょうか?

 

この答えは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>12月26日

 

昨日までの街のイルミネーションは、クリスマスの雰囲気に溢れる(あふれる)ものでしたが、今宵(こよい)は、その一部はなくなり、イルミネーションも少し雰囲気が落ち着いたものになっていると

感じるのは、私だけでしょうか?

 

今年もあと数日を残すのみですね。

 

今回は「p53遺伝子」と「p21遺伝子」の絶妙なコンビナーション

がある・・・というお話をさせていただきました。

 


「p53遺伝子」は、本文内でもご紹介したとおり、「がん抑制遺伝子」として知られており、細胞内で異常な増殖やがんの発生を防ぐ役割を担っています。その活性化は、細胞内でDNA損傷や細胞ストレスなどの異常な状態を感知することで起こることが知られています。


一方、「p21遺伝子」はと言いますと・・・「p21遺伝子」から作られる「p21タンパク質」が、DNA異常のある細胞の

「細胞周期の停止」を引き起こす役割を持っています。

 

「細胞周期の停止」が、とても意味を持つのは・・・
 

異常細胞のDNAなど遺伝子の修復は、その多くが、細胞周期の回転をストップしてからでないとできないから・・・ということが理由となります。


もし、「p53遺伝子」「p21遺伝子」のどちらか一方の遺伝子の異常がある場合には、DNAの修復をすることができず、その結果として・・・遺伝子の異常が積み重なり、癌化するばかりでなく、癌細胞の細胞周期の回転を止めることもできないために、癌の増殖スピードが大幅にはやくなる可能性もあると考えられています。

ところで、早期癌のマーカーとも言われる「抗p53抗体」が、ヒトの血液中で、上昇するメカニズムとは、どのようなケースが考えられるのでしょうか?

遺伝子変異を起こした「変異p53タンパク質」は、通常のp53タンパク質と異なった構造をしていると考えられます。

 

なぜかと言いますと、ちょっと、難しいのですが・・・

 

「p53遺伝子」の中の遺伝子(塩基)の一部が変異を起こしますと・・・そこから、作られる「アミノ酸」が変化してしまうことがあります。

 

 

例えば・・・GCA という塩基配列は「アラニン」というアミノ酸なのですが・・・GAAという塩基配列は「グルタミン酸」というアミノ酸に変化してしまうのですね。

 

タンパク質は、アミノ酸の鎖が立体構造をとることで、タンパク質本来の機能を発揮できます。

 

例えば、変異p53タンパク質は、正常なp53タンパク質とは違う立体構造となる可能性があるのですね。

 

こうした「変異p53タンパク質」は、「正常なp53タンパク質」と同様の機能を持たないばかりでなく、制御する遺伝子の発現を調節する能力を失ったり、異常な遺伝子の発現を引き起こしたりすることがあると考えられています。

そればかりでなく、「変異p53タンパク質」が免疫システムに「異物」と認識されて、免疫系による攻撃を引き起こすことが知られています。
 

このようなメカニズムにより・・・「変異p53タンパク質」の存在によって、「抗p53抗体」の産生が増加する可能性が出てくるというわけです。

ただし、次のようなことも実際にはあります。

 

実際に癌を発症している型の癌組織をみると、「p53遺伝子」の変異などの異常が起きている方も多くいるのですが、この場合でも
必ずしも、「抗p53抗体」が陽性になるとは限らないので、おおまかな目安と考えた方が良いかもしれませんね。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い
 

 

参考)

1.Cell. 2005 Jan 14;120(1):7-10.

P53 and prognosis: new insights and further complexity

Karen H Vousdenら

 

2.Nature Review Cancer. 2009 Jun;9(6):400-14.

p21 in cancer: intricate networks and multiple activities 

Tarek Abbasら

 

 

(ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町 BARラウンジ

:筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

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