こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

青空が広がり、気持ちの良い休日となりました。

温かい(温かい)日が続いているせいか、「師走(しわす)」とは思えないのは、私だけでしょうか?

 

この時期になりますと、次のような和歌を思い出します。

 

かぞふれば 年の残りも なかりけり
老いぬるばかり 悲しきはなし

 

数えてみれば、今年もわずか
こうしてまた一年が終わっていく
年を取ってしまうことほど、悲しいものはない

 

という意味でして、恋愛遍歴が多かったとされる「和泉式部(いずみ しきぶ)」の和歌ですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?
 

 

 

「エクソーム」の投与で、亡くなった方が出たという報道で、かなりの衝撃(しょうげき)があったのですが・・・「誤報」であったことが判明して、ホッとしています。

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11 月 15 日、日経バイオテクにてエクソソームを用いる医療に関しての記事が掲載され、厚生労働省関係者や日本再生医療学会、医療機関への取材範囲において死亡事例が確認されなかった旨が報道されました。
当社での調査におきましても、提携先での死亡事例を含む重大な事象が発生していないことを確認しております。

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なので・・・「エクソソーム」に関する話題にしようと思ったのですが・・・今回は「心臓」に関する話題にしてみたいと思います。

 

 

冬の時期に多い疾患として、感染症があるのですが・・・心臓に関する疾患、とくに「心筋梗塞(しんきんこうそく)」が増加してきます。

 

まず、「心臓」とは、どのような臓器なのか・・・を整理してみたいと思います。

 

「心臓」は、ヒトの循環器系において中心的な役割を果たす臓器ですね。

その主な機能は、「血液」を体全体に送り出すことにあります。以前のブログでもお話をしましたが、ヒト1人の血管の長さは、毛細血管を含めると・・・地球2周半の長さ(約10万キロメートル)があるわけです。

 

この血管すべての血液の流れを作り出しているのが、「心臓」ということになります。

 

では、「心臓」は、どのような構造になっているのでしょうか?

 

(図はお借りしました)

 

上の図に示したように・・・「心臓」は、大きく分けて4つの部屋から成り立っています。

 

この4つの部屋とは・・・「左心房(さしんぼう)」「左心室(さしんしつ)」「右心房(うしんぼう)」「右心室(うしんしつ)」となります。

 

「右心房」は、体全体から酸素を使い果たした血液を受け取り、それを「右心室」に送ります。

 

「右心室」からは、この血液が「肺(はい)に送られ、酸素と二酸化炭素のガス交換が行われます。

 

酸素を取り込んだ血液は「左心房」に戻り、「左心室」に送られます。左心室は非常に強力な筋肉で構成されており、酸素豊富な血液を「大動脈(だいどうみゃく)を通じて体全体に送り出すというわけです。

 

「心臓」は、一生涯(いっしょうがい)にわたって絶えず収縮と弛緩を繰り返すことにより、血液を全身に送り出すわけですから、

いかに重要な臓器であるかが、ご理解いただけると思います。

 

では・・・「心筋梗塞(しんきんこうそく)」とは、どのような疾患なのでしょうか?

 

心臓の筋肉(心筋)への血流が、一部 または 完全に遮断されることによって発生する深刻な状態を指します。

 

では、心臓の血流を維持するメカニズムとは、どのようなものなのでしょうか?

 

実は、「心臓」自体が送り出す血液の流れがないと・・・機能が維持できません。

 

心臓の筋肉(心筋)への血流は、心臓周囲に張りめぐらされた「血管」で保たれているのですね。この血管を「冠状動脈(かんじょうどうみゃく)」と呼びます。

 

        (図はお借りしました)

 

この「冠状動脈」は、心臓の筋肉に「酸素」と「栄養」を供給する重要な血管です。

 

主に2つの主要な「冠状動脈」があり、それぞれが心臓の異なる部分に血液を供給します。

 

1)   左冠状動脈(Left Coronary Artery, LCA)

 

  • 左前下行枝(Left Anterior Descending artery, LAD): この枝は心臓の前面を縦に走り、心臓の前壁と一部の側壁、心室中隔(心室を分ける壁)の大部分を供給します。              

 
  • 左回旋枝(Circumflex artery, LCx): この枝は心臓の左側を回り込み、心臓の側壁と背面の一部を供給しますこの動脈は心臓の左側を供給し、さらに2つの主要な枝に分かれます。

 

2) 右冠状動脈(Right Coronary Artery, RCA)

 

この動脈は心臓の右側を供給し、心臓の右壁、一部の背面、および心房と心室の間の一部を供給します。また、多くの場合、心臓の電気的活動を制御する心臓の伝導系の一部に血液を供給します。

 

上に示した「冠状動脈」の血流の遮断(しゃだん)が起こることを

が「心筋梗塞」と呼ぶわけですね。

 

この血流の遮断は通常、冠状動脈の一つが血栓(血液の塊)によって塞がれることで起こります。

 

心筋梗塞の主な原因は、「動脈硬化」ということになります。

 

これは、「冠状動脈」の内壁に脂肪、コレステロール、カルシウムなどの物質が蓄積し、「プラーク」を形成することによって起こります。

 

         (図はお借りしました)

 

「プラーク」が大きくなりますと・・・

これが破裂して「血栓(けっせん)」が形成されます。

 

この「血栓」が動脈を塞ぐと、心筋への血流が遮断され、心筋細胞が酸素不足に陥り、損傷または死滅します。

 

この状態を放置しますと・・・「心不全(しんふぜん)」になることもあることから、すぐに循環器内科などの専門医の治療を受ける必要があります。

 

「心不全」は、心臓が体の要求するだけの血液を効率的にポンプできない状態を指します。

 

では、実際に「心筋梗塞」を生じると、どのような症状が出現するのでしょうか?

 

突然の、締め付けられるような強い胸の痛み(主に胸の中央部~胸全体)や胸部の圧迫感が心筋梗塞の代表的な症状です。

 

「狭心症(きょうしんしょう)」の症状に似ていますが、安静にしても症状がおさまらない点が異なります。

 

また、「心筋梗塞」の随伴症状として、肩や腕、首に痛み、歯の痛みがひろがったりすることもあります。

 

高齢の方や糖尿病があるとはっきりとした症状を示さない事があり注意が必要であると言われています。

 

「心筋梗塞」は、日本人の死因の第2位にランクされており、病院で治療を受けた方でも5−10%は救命できない事が報告されている疾患です。

 

しかしながら、そのスタートは・・・血圧が高い,悪玉コレステロールが高い、内臓脂肪型の肥満を指摘されたなどという軽い(?)話であったりもするかもしれませんね。

 

実際は・・・「動脈硬化」が中等度以上に進行している可能性が大きく、何らかの対策を取らなければ、いずれ「心筋梗塞」を生じる可能性がある・・・と考えてもよいかもしれません。

 

では、「心筋梗塞」を起こさないためには、どのようなことを心がければよいのでしょうか?

 

心臓の健康を保つためには、以下のような生活習慣が重要であると言われています。

 

1)バランスの取れた食事

 

心臓に優しい食事には、野菜、果物、全粒穀物、低脂肪のタンパク質源(魚、豆、鶏肉など)が含まれます。

飽和脂肪、トランス脂肪、過剰な塩分や砂糖の摂取は避けましょう。

 

2)定期的な運動

 

週に少なくとも150分の中程度の有酸素運動(歩行、ジョギング、自転車など)を行うことが推奨されます。

 

3)禁煙

 

喫煙は心臓病のリスクを大幅に高めます。禁煙は心臓の健康にとって非常に重要です。

 

4)体重管理

 

適正体重を維持することで、高血圧、高コレステロール、糖尿病などのリスクを減らすことができます。

 

5)血圧とコレステロールの管理

 

定期的な健康診断でこれらの数値をチェックし、必要に応じて医師の指示に従って管理しましょう。

 

6)ストレス管理

 

ストレスは心臓に負担をかけることがあります。リラクゼーション技法、趣味、適度な運動などでストレスを管理しましょう。

 

7)十分な睡眠

 

質の良い睡眠は心臓の健康に不可欠です。毎晩7-9時間の睡眠を目指しましょう。

 

いかがでしょうか?

 

すべて、あたりまえのことに聞こえるかもしれませんね。

 

なぜなら、これらの生活習慣は「心筋梗塞」の予防だけでなく、全体的な健康維持にも必要なことだから・・・ですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>12月12日

 

今回は「心筋梗塞」のお話をさせていただきました。

 

心臓の表面にある冠状動脈の血管内が、「プラーク」や血栓などで詰まり、冠動脈内の血流がなくなってしまい、心筋に栄養と酸素が十分に届かず、心筋そのものが壊死をおこした状態を「急性心筋梗塞」と呼びます。

 

時間とともに心筋が壊死が起こり、拡大していくために・・・いかに治療を開始できるかが、その後の予後(よご)を左右するために・・・心筋梗塞の発症から、診断、そして、治療の開始までの時間が、患者さんの予後(よご)を決定することになります。

 

もちろん、心電図(ECG)にも変化は出るわけですが・・・なかなか判断が難しい場合もあります。

 

その場合には、採血検査を施行しますと・・・WBC(白血球)の上昇,CK(CPK)の上昇,  GOT(AST)の上昇, LDH値の上昇に加え、

心筋トロポニン値の上昇などのデータ異常が見られるのですが、早急にデータを確認する必要があるのですが・・・残念ながら、救急外来があるような医療機関でないと・・・なかなか、難しいと言えます。

 

なので、例えば小規模の医療機関では、心電図(ECG)のみで、「心筋梗塞」だけで診断して、循環器内科などの専門の医療機関に搬送(はんそう)できるかが重要というわけですね。

 

ところで、このような「心筋梗塞」の原因は?・・・

と言いますと、先に「プラーク」という言葉をあげていますけれども

答えは、「動脈硬化」ということになりますね。

 

「動脈硬化」とは、文字どおり、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態を指しますね。

 

実は、「動脈硬化」には、いくつかのタイプがあります。

 

比較的太い動脈に粥腫(じゅくしゅ)ができるのが、「粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)」です

これは血管の内膜に「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」などが沈着するなどして「粥状物質(プラーク)」となります。

 

「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」」の値が高いままで放置すると血管が狭くなり、血流が悪い状態になります。

 

さらに時間が経過すると・・・「プラーク」が破綻してそこに血栓ができますと、血管が詰まってしまい、そこから先の血流がなくなってしまうのですね。

 

「心筋梗塞」や「脳梗塞」などを引き起こすのは、このタイプとなります。

 

そのほかのタイプには脳や腎臓の中の細い動脈が硬化してしまうことを「細動脈硬化」と呼びます。加齢や高血圧が原因で起こり、進行すると血管が破裂して脳出血に至る恐れがあります。

 

また、動脈の中膜にカルシウムがたまって硬くなる「中膜硬化(メンケルベルグ型硬化)」などがあります。

 

しかしながら、どのタイプの「動脈硬化」であっても、喫煙・LDL-Cコレステロール高値・高血圧・肥満(内臓脂肪型肥満)・運動不足などの「危険因子」が重なることによって発症しやすくなることには変わりはない・・・というわけですね。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

     (表参道ヒルズ クリスマスツリー

                 :筆者撮影)

 

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医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

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