こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

暖冬であると聞いていても、最近では寒さを感じることが多くなりました。

 

暦に目をやりますと、七十二候(しちじゅうにこう)では

「金盞香(きんせんかさく)」となっていることに気がつきました。

 

「金盞(きんせん)」とは、黄色い冠を持つ「水仙(すいせん)」の別名なのですね

 

水仙の学術名は「ナルキッソス」と言うそうですが、これはギリシア神話に登場する美少年ナルキッソスにちなんで名付けられたそうです。

 

神話の「ナルキッソス」は、池の水に映る自分の美しい容姿に恋して水に抱きつき、池に落ちて死んだとされ、これが「ナルシスト」の語源になっているのだとか。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

 

さて、今回は「生姜(しょうが)」について、お話をしてみたいと思います。

 

「生姜(しょうが)」は、英語では「ginger」ですが、昔から世界各地で香辛料や生薬として利用されてきた歴史があります。

 

ちょっと前になりますが・・・

 

「生姜(しょうが)」は、自己免疫疾患に関連する体内の炎症のコントロールに役立つかもしれない。自己免疫疾患のマウスや健康なヒトを対象とした研究の結果、ショウガ成分は、白血球の一種である好中球の機能に影響を与えることが判明したというのですね。

 

米コロラド大学医学部准教授のKristen Demoruelle氏らの報告で、「JCI Insight」に2023年9月22日掲載されています。

 

この研究では、免疫を司る白血球の一種である好中球が活性化したときに生じる、「好中球細胞外トラップ(NET)」形成という現象に着目したそうです。

 

「好中球細胞外トラップ(NET)」は、好中球から排出される微細なクモの巣状の構造物なのですが、過剰に形成されると炎症や血栓形成を促進し、抗リン脂質抗体症候群(APS)や関節リウマチなどの自己免疫疾患の病態悪化の原因になるのではないかとも考えられているのですね。

 

健康なヒトが1週間にわたり1日1回、100mgのショウガ抽出物(ジンゲロール約20mg含有)を服用すると、好中球の内部でcAMPという化学物質の増加が認められた。この高レベルのcAMPは、疾患に関連する刺激に対するNET形成の反応を抑制したと論文の中では報告されています。

 

上に示した論文に限らず、「生姜(しょうが)」には、多くの健康効果があると言われています。

 

どのような作用が報告されているのでしょうか?

以下に「生姜(しょうが)」の効果をご紹介したいと思います。

 

 

1)消化促進作用

生姜に含まれるジンゲロールとショウガオールが消化を助け、胃腸の動きを活性化させます。

 

2)抗炎症作用

生姜の抗酸化成分が炎症を抑制する効果があります。これは関節炎や筋肉痛の緩和に役立つ可能性があります。

 

3)吐き気の軽減

妊娠中の悪阻や手術後の吐き気、乗り物酔いに対して生姜が効果的であるとされています。

 

4)免疫力アップ

生姜に含まれるビタミン、ミネラル、抗酸化物質が免疫力を高めるのに役立ちます。

 

5)血行促進作用

生姜は血流を改善する効果があり、冷え性の改善にも効果的です。

 

6)抗菌作用

生姜には自然な抗菌作用があり、口腔内の健康維持に役立ちます。

 

 

多くの「生姜(しょうが)」の持つ効果に驚かれた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そして、「免疫」のバランスの調整効果についても多く報告がされているのですが・・・

 

このお話は、「生姜」を含む漢方薬エキス製剤のご紹介と併せて、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月21日

 

暖冬であると聞いていても、朝晩の冷え込みが気になる日もあると感じるのは、私だけでしょうか?

今回は「生姜(しょうが)」についてのお話をさせていただきました。
「生姜(しょうが)」は、古くから生薬(しょうやく)として様々な疾患の治療に用いられてきた
歴史がありますよね。

「生姜(しょうが)」には、多くの有益な成分が含まれています。主な成分は以下の通りです:

1) ジンゲロール 
生姜特有の辛味成分で、抗炎症作用や抗酸化作用があります。

2)ショウガオール 
生姜を乾燥または加熱すると、ジンゲロールが変化してショウガオールになります。
ショウガオールには、消化を助ける効果があるとされています。

3) テルペノイド 
生姜に含まれる芳香成分で、リラックス効果や抗菌作用があります。
これに加え、ビタミン類やミネラル、食物繊維などが含まれています。

では、「生姜(しょうが)がヒトの体を温める効果があるのは、なぜなのでしょうか?


これは、上記にあげた「ジンゲロール 」に体内の血行促進作用があるからと考えられています。
血流が良くなると、体温が上昇し、体が温まるということになりますね。

また、生姜の各種成分が代謝を活性化させることも、体温の上昇に寄与しています。
代謝が活発になると、体内でのエネルギー消費が増え、それに伴って熱が発生し、体が温まるというわけですね。

さらに免疫細胞の活性化や調整機能では、多くの報告がされています。


いくつかの「生姜」に含まれる「ジンゲロール」や「ショウガオール」は、炎症を引き起こす物質である「プロスタグランジン」や「ロイコトリエンかの合成を阻害することで、抗炎症作用を示します。 これにより、関節炎や筋肉痛、歯肉炎などの炎症性の疾患の痛みや腫れの緩和が期待できます。


実際に自己免疫疾患のひとつである「関節リウマチ」に「生姜」を投与し、その効果を検討した論文もあります(以下の論文1.)

その論文の内容は、活動性リウマチ患者における生姜サプリメントの免疫および炎症関連遺伝子の発現への影響を調査したものです。
 その方法は、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、70人のリウマチ患者に毎日1500 mgの生姜パウダーまたはプラセボを12週間投与した結果、「生姜」を投与した群では、「FoxP3遺伝子」の発現が有意に増加し、「T-bet遺伝子」と「RORγt遺伝子」の発現が有意に減少させることが確認されたそうです。これにより、「生姜」がリウマチの疼痛症状を改善させる可能性が示唆されたというものです。

抗酸化作用も報告されています。「生姜」の摂取は、「グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)活性」を有意に増加させ、全抗酸化能(TAC)を有意に増加させるというものとなります。

最後に「生姜(しょうが)」を含む漢方エキス製剤のいくつかをご紹介したいと思います。東洋医学では「生姜(しょうきょう)」と呼ばれています。

1. 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう:生姜(しょうきょう)の量 1.0g/7.5g  (1日分の漢方薬の量)

2. 呉茱萸湯 (ごしゅいんとう;1.5g/7.5g)
3.  真武湯(しんぶとう:1.5g/7.5g)
4.  六君子湯(りっくんしとう:0.5g/7.5g)
5.  大建中湯(だいけんちゅうとう:5.0g/15g)
6.  柴胡桂枝湯(さいこけいしとう:1.0g/7.5g)
7.  当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう:1.0g/7.5g)
8.   加味逍遥散(かみしょうようさん:1.0g/7.5g)
9.  半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう:1.0g/7.5g)
10. 補中益気湯(ほちゅうえっきとう:0.5g/7.5g)
11.  葛根湯( かっこんとう:2.0g/7.5g)
12. 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん:0.3g/7.5g)
13. 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう:1.0g/7.5g)

とまだまだ、「生姜(しょうが)」を含む漢方薬は存在するのですが・・・書ききれないので、
またの機会にしたいと思います。
JTKクリニックでは、「ツムラ」のものと「太鼓堂(たいこどう)」の漢方薬を日々の診療で用いている
のですが、上記の1日分の漢方薬の量は、「ツムラ」のものでご紹介しました。

以上のように、生姜には多くの医学的な効果がありますが、摂取量や方法には注意が必要です。 
 

一般的に「生姜」は、一日に3~10g程度が適量とされています。 

 

また、生姜は加熱すると、ジンゲロールがショウガオールに変化し
、辛味や体温上昇効果が強くなります。 そのため、生の生姜は血行促進や発汗作用に、加熱した生姜は体の冷えや消化促進に効果的です。 

 

しかし、生姜には血液をサラサラにする効果もあるため、血液の凝固を阻害する薬を服用している人や、出血性の疾患がある人は、摂取量を控えるか、医師に相談する必要があります。 また、妊娠中や授乳中の人も、生姜の摂取には注意が必要です・・・ということは、最後に付け加えておきたいと思います。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い


参考)
1.Gene. Vol. 698, 25. 2019, Pages 179-185
The effect of ginger supplementation on some immunity and inflammation intermediate genes expression in patients with active Rheumatoid Arthritis.
Naheed Aryaeianら

2. J Food Biochem. Vol.45, February 2021
Effect of ginger (Zingiber officinale) supplementation on oxidative stress parameters: A systematic review and meta-analysis
Mojgan Morvaridzadeh ら

 

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     (丸の内仲通りイルミネーション:筆者撮影)

 

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

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