こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

よく晴れた、青空の広がる休日となりましたね。

 

 

暦の七十二候(しちじゅうにこう)に目をやりますと、今日4月9日までは、「玄鳥至(つばめきたる)」となっておりまして、明日4月10日からは、「鴻雁北(こうがんかえる)」となっています。

 

玄鳥は、ツバメのことですよね

 

ツバメは、北半球が冬の間は、南の島で過ごしているそうですが・・・この時期に数千キロもの旅をして、日本にやってくると聞いたことがあります。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

今回は「活性酸素」についての話題にしてみたいと思います。

 

私たちの体は、「酸素(O2)」を利用して「エネルギー」を作りだしていますが、それと同時に「活性酸素」は常に体内で生じています。

 

この「活性酸素」は、私たちの身体には不可欠なものでもあるのですが、それが過剰になると、ヒトの細胞やDNAを傷害するという厄介(やっかい)な側面を持っています。

 

具体的には・・・「活性酸素」は老化、がん、シワ、しみ、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因となると言われていますね。

 

 

ちょっと、大袈裟(おおげさ)ではないのか?・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

 

では、「活性酸素」がDNAに傷害を与えるメカニズムは、どのようなものなのでしょうか?

 

それは、次のような機序が考えられています。

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1)直接的な攻撃

「活性酸素」が、直接DNA分子に反応して、その塩基を酸化したり、一部を切断を引き起こしたりします。

 

これにより、DNA鎖の切断や塩基対の変更が生じ、遺伝情報の損失や変異が引き起こされるとされています。

 

2)間接的な攻撃

「活性酸素」が、細胞内の脂質やタンパク質と反応して、過酸化脂質や酸化タンパク質を生成します。

 

これらの酸化物質がさらにDNAと反応し、DNAに損傷を与えることがあります。

 

3)DNA修復機構の阻害

活性酸素種がDNA修復関連タンパク質に影響を与え、修復機能が低下することがあります。

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これにより、通常は修復されるべきDNA損傷が蓄積し、細胞機能の低下やゲノム不安定性が生じることがあるとされています。

 

 

都合が悪いことに、ヒトのDNAに好ましくない性質を持つ「活性酸素」は、加齢とともに増加すると言われています。

 

では、こうした「活性酸素」を消去することは、可能なのでしょうか?

 

それは、「抗酸化力」を高めることが重要とされています

 

「活性酸素」は、「抗酸化物質」と反応すると無毒化されるという性質があるのですね。

 

そのためには、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどの「」抗酸化物質」が含まれる食品を摂取することがよいとされていますし、

タバコや大気汚染、紫外線など、「活性酸素」を生成する要因をできるだけ減らすことが重要というわけですね。

 

それから、ストレスを減らしたり、良質な睡眠をとることも「活性酸素」を低下させるために重要であるとされています。

 

最後に「活性酸素」以外で、どのような物質がDNAを傷害し、損傷を与える可能性があるのか? を以下にご紹介したいと思います。

 

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1)紫外線(UV)

DNAの塩基対に損傷を与えることが知られています。特に、UV-Bは遺伝子変異や皮膚がんの原因となることが知られています。

 

2)過剰な量の放射線

イオン化放射線(X線、ガンマ線、アルファ線、ベータ線など)は、DNAの二重鎖切断や塩基の損傷を引き起こし、細胞機能に影響を与えることがあります。

 

3)アルキル化剤

シクロフォスファミドやニトロソウレアなどのアルキル化剤は、DNAの塩基にアルキル基を付加し、塩基対の誤りやDNA鎖切断を引き起こします。

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どうでしょうか?可能であれば、すべて、できることなら、避けたい物質ということになるのではないでしょうか?

 

もちろん、程度の差もあるでしょうが・・・ね。

 

上に示した物質と同様に「DNA」に損傷を生じるとされる「活性酸素」は、可能な限り、消去したいと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

では、この「活性酸素」の量を減らすために医療は、どのような手段を持っているのか?・・・というお話になって行くわけですが・・・

こちらは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月11日

 

今回は、「活性酸素」についてのお話をさせていただきました。

 

「活性酸素種」ではないのか?・・・と思われた方もいらっしゃるかと思います。

 

「活性酸素」と「活性酸素種」は、しばしば同じ意味で使われることがありますが、実際には、「活性酸素種」の方がより広い範囲の化合物を指します。

 

少しだけ、その違いを詳しくお話をしておきますと・・・

 

「活性酸素(Reactive Oxygen)」は、通常、酸素分子(O2)が不安定な状態であるときに発生する化学物質を指します。例えば、スーパーオキシド(O2-)や過酸化水素(H2O2)が活性酸素に含まれます。

 

一方、「活性酸素種(Reactive Oxygen Species、ROS)」は、「活性酸素」に加えて、酸素を含む他の活性化合物を含みます。活性酸素種には、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル(OH•)などが含まれます。

 

「活性酸素」を含む「活性酸素種」と整理した上で、以下は、「活性酸素種」と言い換えて見ますね。

 

「活性酸素種」は、マイナスの部分ばかりでなく、本来は、ヒトの身体にとってメリットとなるものなのですね。

 

どのようなメリットがあるかを簡単にご紹介しますと、以下のようなものになります。

 

1)免疫機能の強化

 活性酸素は、細菌やウイルスなどの外来の病原体を攻撃するために、免疫細胞によって生成される。

 

2)細胞シグナル伝達

活性酸素は、細胞内でシグナル伝達分子として機能します。

 

3)血管拡張

活性酸素は、血管内皮細胞が一酸化窒素(NO)を生成するのを助けます。一酸化窒素は、血管を拡張する効果があり、血流を改善し、高血圧を予防することができます。

 

上に示すように・・・人の身体にさまざまなメリットがある訳ですが・・・

 

「活性酸素種」が、過剰に生成されると「酸化ストレス」を引き起こし、DNA損傷、タンパク質変性などの細胞損傷を引き起こすというわけです。

 

としますと・・・重要なことは、「活性酸素種」を適切なレベルに保つことが重要であると言えますね。

 

では、「活性酸素種」を減らす薬剤やサプリメントには、どのようなものがあるのでしょうか?

 

以下にご紹介してみたいと思います。

 

1)ビタミンC(アスコルビン酸)

水溶性の抗酸化物質で、活性酸素種を中和し、細胞を保護する効果があります。

 

2)ビタミンE

脂溶性の抗酸化物質で、細胞膜の脂質の酸化を防ぎ、細胞を保護します。植物油、ナッツ、種子などに含まれています。

 

3) ベータカロテン

ビタミンAの前駆体であり、抗酸化作用があります。ニンジン、カボチャ、モロヘイヤなどの緑黄色野菜に含まれています。

 

4)リコピン

トマトやスイカに含まれるカロテノイドで、抗酸化作用があります。

 

5)レスベラトロール

ブドウの皮や赤ワインに含まれるポリフェノールで、抗酸化作用があります。

 

6)コエンザイムQ10(CoQ10)

抗酸化作用を持ち、細胞のエネルギー生成に関与している補酵素です。肉、魚、ナッツに含まれています。

 

その他にも、ウコンに含まれるポリフェノール「クルクミン」やカテキン: 緑茶やカカオに含まれるポリフェノール「カテキン」、抗酸化物質であるグルタチオンの前駆体である「N-アセチルシステイン(NAC)」や「アルファリポ酸」,「クエン酸」,「セレン」なども抗酸化作用があるとされています。

 

多くのものが、サプリメントによって、摂取することも可能であったりもしますよね。

 

JTKクリニックの治療では、次のようなものがあります。

 

7) 高濃度ビタミンC点滴療法

 

活性酸素種を中和し、細胞を保護する効果があります。また、「抗酸化作用」を利用して免疫システムのサポートや疲労回復、美容目的で用いられます。

 

8) 白玉点滴(グルタチオン点滴)

グルタチオンは、活性酸素種を無害な水や酸素に変換する能力を持っていますし、肝臓の解毒作用をサポートしたり、免疫システムを強化する作用もあります。

 

9) N M N(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)

 

活性酸素や活性酸素種による酸化ストレスは、サーチュイン遺伝子の活性化を通じてある程度改善する可能性があります。

 

 

 

最後の「N M N」 は、少しだけ性質が違っているかもしれません。

 

なぜなら・・・NMNは、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)活性化するわけですが・・・

 

このサーチュイン遺伝子活性化が、すべての活性酸素を含む「活性酸素種」などによる「DNA損傷」を完全に防ぐわけではないという考え方もあります。

 

それよりも、「活性酸素種」による「DNA損傷」が生じてしまった後に・・・「DNA損傷」の効率的に修復されることが「N M N」の大きな特徴だとする考え方が多いのですね。

 

これらのことから、「N M N」に加えて、過剰に産生された「活性酸素種」を消去できる「抗酸化作用」を持っているサプリや薬剤を併用した方が・・・

 

結果的に・・・これから起きる「DNA損傷」を予防し、さらに過去に生じた「DNA損傷」を修復するためには、有効なのでは・・・なんて考えています。

 

今回も最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(参考)

1.Oxid Med Cell Longev. Published online 2017 Jul 27 Oxidative Stress: Harms and Benefits for Human Health Gabriele Pizzinoら

 

2. Cochrane Database of Systematic Reviews 2012(3) Antioxidant supplements for prevention of mortality in healthy participants and patients with various diseases 

Goran Bjelakovら

 

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                                 (以前のphoto:  筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

新潟大医学部卒

 

 

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