こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

昨日は、雨模様の寒い1日でしたが・・・

今日も休日は、青空の広がる穏やかな(おだやかな)春らしい陽気となりました

 

「三寒四温(さんかんしおん)」という言葉は、3月の気候を表す言葉であると言っていた方がおりましたが、確かにそのような気候になっているような気もしますね

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

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今回は、「動脈硬化」と「メタボリックシンドローム」についてお話をしたいと思います


「動脈硬化」とは、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態を示しますね
 

「動脈硬化」が生じると・・・血管内腔に(ないくう)にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなる

 

中高年の方に起こる症状だと思われがちですが、実は若い頃から徐々に進行していくと考えられています

以前は、内に余分な「脂肪」が蓄積されることが原因であると考えられていました

しかし、最近では、「メタボリックシンドローム」などによる血管の慢性的な「炎症」が、血管壁を肥厚させ、硬化させることにより引き起こされることが分かっています


この「メタボリックシンドローム」は、一般的に「メタボ」と略されることが多いのですが・・・「内臓脂肪型肥満」に加えて、高血圧、高血糖、脂質代謝異常が重なった状態を示します


ある論文では・・・「内臓脂肪型肥満」と「メタボリックシンドローム」との関連を調べたものがあります


その論文の中で、著者らは「内臓脂肪」自体が、インスリン抵抗性、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDL-コレステロール、低HDL-コレステロール血症、高血糖などの代謝異常を引き起こすことを明らかにしています

 

 

「内臓脂肪」があることで、「メタボリックシンドローム」の諸症状を誘発される可能性があり、さらに「動脈硬化」が誘発される・・・というわけです

 

 

実際に「内臓脂肪」を減らすことは、「メタボリックシンドローム」のリスク因子を改善し、さまざまな健康問題を予防するための重要なステップとなりそうです

 

一般的には、「内臓脂肪」を減らす方法として、以下のような生活習慣の改善が推奨されています

 

 

1.適切な食事

バランスの取れた食事を心がけ、特に糖質や脂質の摂取量に注意する野菜や果物、全粒穀物、魚、豆類などの健康的な食品を選ぶ

 

2.定期的な運動

週に150分以上の中程度の有酸素運動(例: ウォーキング、自転車)や、週に75分以上の高強度の有酸素運動(例: ジョギング、スイミング)を行うことが推奨される

筋力トレーニングも週に2~3回取り入れるとよい

 

3.ストレスの管理

ストレスが内臓脂肪の蓄積に影響を与えることがあります。リラクセーション技法や十分な睡眠、適度な休息を取ることでストレスを軽減する

 

4.禁煙と節酒: 

タバコは動脈硬化を引き起こすリスクを高める

また、アルコールの過剰摂取は、「内臓脂肪」の蓄積を促進することがあるため、適度な飲酒量を守り、禁煙することが重要

 

 

上記の1.〜4.が問題なく、ラクラクとこなせる方は、まったく問題はないのですが・・・ね

 

 

あなたは、どうですか?

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

 

参考)

1.Review Arterioscler Tromb Vasc Biol. 2008 Jun;28(6):1039-49. 

Abdominal obesity and the metabolic syndrome: contribution to global cardiometabolic risk 

Jean-Pierre Despresら

 

 

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<ブログ後記>3月21日

 

「春分の日」は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日ともされていますね。

 

今回は、動脈硬化や糖尿病、高血圧、高脂血症などを引き起こす可能性のある「内臓脂肪型肥満」について、お話をさせていただきました。

 

「内臓脂肪型肥満」は、以下の図で示すような「リンゴ型」の肥満ということになりますね

 

「メタボリックシンドローム」の定義を再確認しておきたいと思います。

 

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ウエスト(臍部での腹囲径)が、男性85cm以上/女性90cm以上
 

その中で

  • 最高血圧130mmHg 最低血圧85mmHg以上
  • 中性脂肪150mg/dL以上
  • 空腹時における血糖値110mg/dL以上
  • HDLコレステロール値40mg/dL以下

以上のうち2項目以上を持つ人をメタボリックシンドロームと定義する

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ウエスト(臍部での腹囲径)は、「内臓脂肪」の蓄積と共に増加していくとされていますので、実質的には「内臓脂肪型肥満」の程度を示していると考えてもよいというわけですね。

 

「内臓脂肪型肥満」を放置すれば・・・動脈硬化や糖尿病、高血圧、高脂血症などの脂質異常につながってしまいますので・・・

 

そうなる前に・・・ダイエットなどで体重の減量をして、健康管理をしていきましょうという注意喚起(かんき)や警告に「メタボリックシンドローム」は、なっているというわけです。

 

 

そんな「肥満」のことなんて・・・各個人が運動や食事を減らして、努力すればいいものなんじゃないの・・・という方もいらっしゃることと思います。

 

本来は、そうなのかもしれませんね。

 

しかしながら、先日のBBCのニュースサイトに次のようなニュースがありました。

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世界肥満連合(WOF)は3月2日、肥満防止の措置を講じなければ、2035年までに世界の人口の半数以上が肥満または過体重に分類されることになると警告した。

 

同報告書は、2035年までに「肥満」がもたらすコストは年間4兆ドル(約540兆円)を超えると予測している。

 

報告書はまた、世界中で肥満率が上昇すれば、世界経済に世界の国内総生産(GDP)の3%に相当する大きな影響が及ぶことになると警告。

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もちろん、BBCは、肥満がもたらす経済的影響について、「肥満状態にある人々への非難を反映するものでは決してない」と強調しているわけですが・・・

 

肥満がもたらすコストの中には、動脈硬化によって生じる心血管に関連する疾患や糖尿病、高血圧、高脂血症などの疾患に対する医療費が含まれていることは、明らかですよね。

 

医学の分野には、「予防医学」というものがあります

 

この分野は、1953年に米国の医学者 レベルとクラークにより提唱されたものなのですね

 

彼らの提唱した「予防医学」の定義を見てみると・・・

 

「病気を予防し、生命を延長し、身体ならびに精神の健康と能力を増進する科学と技術である」

 

とされています。

 

「肥満」とくに「内臓脂肪型肥満」は、病気を誘発し、生命を延長させない可能性がある・・・となるわけですので・・・

 

各個人のダイエットや努力も任せて、放置・・・は、「予防医学」の精神には反するかな〜なんて、思います。

 

ところで、「皮下脂肪型肥満」のリスクは、どうか?・・・といいますと、ある論文では。「皮下脂肪」と「内臓脂肪」は構造的および機能的な違いがあり、「内臓脂肪」の方が心血管疾患や代謝症候群のリスクを高めることを述べています。

 

 

では、なぜ「内臓脂肪」の蓄積が、多くの疾患の引き金になるのでしょうか?

 

その理由は、「内臓脂肪」は、様々な「サイトカイン」や「アディポカイン」と呼ばれる炎症や代謝に関与する物質を産生するからということになります。

 

これらの物質は、全身の炎症反応やインスリン抵抗性、動脈硬化などを引き起こすリスクがあるとされています。

 

主なサイトカインやアディポカインは、以下のとおりです

 

1.レプチン(Leptin)

 

食欲抑制やエネルギー消費を調節するアディポカインですが、炎症反応にも関与しています。内臓脂肪が増えると、レプチンの血中濃度が上昇し、炎症反応を促進することがあります。

 

2.アディポネクチン(Adiponectin)

 

インスリン感受性を向上させるアディポカインで、抗炎症作用があります。内臓脂肪が増えると、アディポネクチンの産生が減少することが知られており、これが炎症反応やインスリン抵抗性の悪化につながります。

 

3. ティー・エヌ・エフ・アルファ(TNF-α)

 

炎症反応を促進するサイトカインで、内臓脂肪の蓄積とともに産生量が増加します。TNF-αはインスリン抵抗性の発症や動脈硬化の進行に関与しています。

 

4.インターロイキン6(IL-6)

 

炎症反応に関与するサイトカインで、内臓脂肪からの産生が増加することが知られています。IL-6は、インスリン抵抗性や動脈硬化に関与するとされています。

 

5. 単球走化性タンパク質-1 (MCP-1)

 

炎症細胞の動員を促進するサイトカインで、内臓脂肪から産生されます。MCP-1は、動脈硬化の初期段階である動脈の内皮障害に関与しています。

 

すべて、何らかの形で「炎症」に関与していることに驚かれる方もいらっしゃることと思います。

 

いかがでしょうか?

 

「内臓脂肪」が蓄積する肥満(内臓脂肪型肥満)を放置することが、いかに健康にリスクを与えるのか・・・をご理解いただけたでしょうか?

 

ここから、肥満を伴う「糖尿病(2型糖尿病)」に対して、どのような薬剤を用いるか?・・・という治療戦略も考えられるのですが、

この話題は、またの機会にしたいと思います。

 

 

今回のブログも最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

 

         (モニターB様の記録)

 

(参考)

1.  Obes. Rev. 2010 Jan;11(1):11-8.

Subcutaneous and visceral adipose tissue: structural and functional 

M Mohdrn Ibrahimら

 

2. Nat Rev Immunol.2011 Feb;11(2): 85-97.

Adipokines in inflammation and metabolic disease

Noriyuki Ouchiら

 

  (丸の内仲通り:筆者撮影)

 

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

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