こんにちは、内科医  ひとちゃんですニコニコ

 

3月最初の休日の午後になっていますね

 

暦を見ますと3月5日の七十二候(しちじゅうにこう)では、

蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」となっています


戸を啓いて(ひらいて)顔を出すかのように、冬ごもりをしていた生きものが姿を表す頃を示しているのだとか

 

いよいよ、本格的な春の季節の到来ということでしょうか?

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか

 

 

 

今回の話題は「亜鉛(あえん):Zn 」としてみたいと思います

 

「亜鉛」は、ヒトが体内で作ることができない「必須微量ミネラル」で、体内に約2~4g存在し、歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれいるとされています

 

各種の酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調整、DNA合成、タンパク質合成、免疫反応の調節などに作用することも知られています

 

では、この亜鉛が不足すると、どのような症状が出てくるのでしょうか?

  • 味覚が感じにくい(味覚障害)
  • 風邪をひきやすい
  • 傷が治りにくい
  • 疲れやすい
  • 髪の毛が抜ける

どうでしょうか? このような症状があるかも・・・と思う方は少なくないかもしれません

 

「味覚障害」とは・・・味に対する感度が低下したり、味を感じなくなったりする症状全般を指します

 

この原因は、次のようなメカニズムで生じるとされています

 

 

         (図はお借りしました)

 

 

私たちの味を感じるメカニズムは、舌の表面にある「味蕾(みらい)」という構造が生まれています

 

この部分が、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味などの味を認識する役割を担っているのです

 

「味蕾」には、「味細胞」というものがあるのですが・・・この細胞は化学物質である味を受け取り、神経を伝達して脳に味の種類を伝える働きがあるのですね

 

「亜鉛」は、「味蕾細胞」の細胞膜に存在するイオンチャネルや味覚受容体の機能に必要な栄養素であり、不足するとこれらの機能が低下することが知られています

 

さらに、「亜鉛」が不足しますと・・・不足では、味覚につながる神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの合成や放出が低下し、味蕾細胞の分化や再生も低下してしまうとされているのですね

 

 

 

長くなりましたが・・・もうひとつだけ、「亜鉛」が低下すると免疫が低下するのは、本当なのか?・・・というお話をしたいと思います

 

先に示した「亜鉛」不足のサイン 風邪をひきやすい・・・に関することになりますね

 

 

「亜鉛」が、免疫反応に与える影響は、主に以下の2つになります

 

1. 「免疫細胞」の活性化 

 

「亜鉛」は、T細胞やB細胞などの免疫細胞の成熟や活性化に必要な栄養素であると言われています

 

「亜鉛」が不足している場合、免疫細胞の機能が低下し、感染症にかかりやすくなると言われています

 
2. 抗炎症作用 
 
「亜鉛」は、炎症反応を調節することが知られています
 
「亜鉛」が十分に摂取されている場合、炎症反応を抑制し、免疫細胞の過剰な活性化を防ぐことができるとされているのですね
 
 
「亜鉛:Zn」という「必須微量ミネラル」というものが、いかに重要な働きを持っているのかが、お分かりいただけるかと思います
 
 
「亜鉛:Zn」不足が、影響を与えるものには・・・「爪(つめ)」などもあるのですが・・・これは、後日の話題にしたいと思います
 
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ
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< ブログ後記 >3月7日

 

今宵は、満月となっていますね。

 

「ワームムーン」と呼ぶそうです。

「ワーム」とは、イモ虫などの虫を指しているようですが・・・

虫たちも出てくる「春」がきたということでしょうね

 

 

さて、今回は「亜鉛(あえん)」についてのお話をさせていただきました。

「亜鉛」と言いますと、滋養強壮のためのサプリと思われがちですが・・・実際には、それ以上に重要な働きがあるのですね。

 

「亜鉛」は、人体に約2〜3gある生活する上で欠かせないミネラルと言われています。

 

しかしながら、「亜鉛」を意識して摂取していない人も多く、特に妊婦の方や運動している人は、亜鉛が不足した状態になりやすいと言われています。

 

では、「亜鉛」が欠乏すると・・・どのような症状が出てくるのでしょうか?

 

本文内では、味覚障害や疲れやすくなるということをご紹介したのですが、さらに詳しく見てみると・・・

 

食欲減退・まだら状の脱毛や下痢などの症状が出現するとされています。また、爪にも症状が現れることがあります

 

では、爪にどんな変化が生じるかというと・・・爪の周囲が赤くなる 爪囲紅斑、その後白色帯や 下図のようなBeau’s line(ボー線)が出ルことが多いとされています。

 

           (図は、お借りしました)

 

爪の周囲には甘皮があり爪を感染しないよう保護する役割がありますが、亜鉛不足によって甘皮の生成が遅れ感染しやすい状態になり、爪の周りが赤くなってしまうことが多いとされているのですね。

 

「亜鉛」の欠乏状態があると、影響を受けるものは他にはないのでしょうか?

 

実は、免疫機能にも影響を与える可能性が指摘されているのです。

 

すべては、ご紹介できないのですが・・・一部をご紹介したいと思います。

 

ヒトの血清中の「亜鉛」」濃度が低いと・・・顆粒球やNK細胞の数が減少し、マクロファージの貪食能が低下することが報告されています。

 

顆粒球とは、細菌に対する防御力を発揮する細胞ですし、NK細胞は

ウイルス感染細胞や癌細胞を破壊する能力を持っています。

 

マクロファージの貪食とは、ヒトの体に異物が侵入した時に、それを

無害化すると同時に免疫細胞を動員する細胞ですよね。

 

つまり、「亜鉛」が欠乏すると・・・これらの免疫細胞の能力が低下してしまうわけです。

 

さらに・・・そのような「亜鉛」欠乏の状態では、NK細胞の細胞毒性が阻害される・・・というのですね。

 

NK細胞の数が減少しているのに、NK細胞がウイルス感染細胞など異常な細胞を破壊する能力「細胞毒性」が低下してしまうのでは、異常な細胞を破壊できない可能性も出てくる・・・というわけですから、

ますます、NK細胞の能力は低下してしまいます。

 

では、「亜鉛」を補充すれば、その能力は回復するのでしょうか?

 

答えは、「Yes」となります。

 

「亜鉛」の欠乏からMK細胞の数が減少していたとしても

「亜鉛」の補給(5mg/kg)を4週間行うと、NK細胞の数が有意に増加することが示されています。

 

NK細胞は、ウイルス感染細胞や癌細胞などの「標的細胞」を直接殺すだけでなく、免疫反応を刺激するシグナルを送るという重要な役割を担っていますので、いかに「亜鉛」というミネラルが重要であるかが理解できますよね。

 

ただし、「亜鉛」を漫然と摂取していればよいというものでもありません。

 

キノロン系などの抗菌薬と「亜鉛」のサプリメントを摂取すると、体内に吸収される亜鉛と抗菌薬の量が減少したり、

また、摂取しすぎれば、倦怠感や神経障害・嘔気・下痢などの副作用が出てしまうこともありますので・・・注意が必要ですね。

 

「亜鉛」には、が炎症を抑制するメカニズムもあるのですが、こちらは、またの機会に・・・

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

 

(参考)

1. Nutrients. 2019 Oct; 11(10): 2273

Role of Zinc in Immune System and Anti-Cancer Defense Mechanisms

Dorota Skrajnowskaら

 

2.厚生労働省 eJIMより

 

 

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 (筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

新潟大医学部卒

 

 

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