こんにちは、内科医  ひとちゃんですニコニコ

 

「節分」を過ぎて、昨日の2月4日は「立春」でしたね

暦では春でも、まだまだ寒い日がありそうですね

 

本格的な春の季節がくるのを待ち遠しいですね

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

 

最近、「N M N (ニコチンアミド モノクレオチド)」がよく知られるようになったためかもしれませんが・・・

 

「そんなにヒトの遺伝子は、壊れやすいものなのか?」という質問をされることが多くなりました

 

なので、今回はヒトの遺伝子が多く存在する「DNA」の損傷についての話題にしてみたいと思います

 

ヒトのDNAは、本当に損傷を受けるのでしょうか?

 

自然発生的なDNA損傷は・・・1日当たり、1個の細胞に104-105個のオーダーで起こると報告されています

 

ヒトを構成する細胞の数は、約60兆個ですから・・・天文学的な数だけ、日々、DNA損傷が起きているわけですね

 

では、どのようなものが、DNA損傷引き起こすのでしょうか?

 

それは、紫外線、外因性の放射線障害や化学物質など外因性に起因するものと、代謝副産物や活性酸素種(ROS)などの内因性に起因するものなどがあるとされています

 

もちろん、ヒトを含めたすべての生物は、あらゆる種類の「DNA損傷」を感知し、修復のためのシグナルを送り、日常的に起こる多数のゲノム損傷を修正するメカニズムを持っているとされています

 

その「DNA損傷」が、すぐに修復されなかったり、修復できないほど深刻な場合が多くなればなるほど・・・「老化」が進行するのではないか?・・・という考え方もされているのですね

 

では、ヒトが経験する「DNA損傷」の量を左右するものは、どのようなものが考えられるのか?・・・といいますと・・・

 

抗酸化酵素をコードする遺伝子、エネルギーやミトコンドリア機能に関連する遺伝子、、サーチュイン、転写、複製因子などの無数の因子の発現によって左右される・・・と考えられているのだそうですね

 

このように考えますと・・・

 

細胞のサーチュイン遺伝子を活性化させ、サーチュインを増加させ、ミトコンドリアを正常化して、活性化することで「エネルギー(ATP)」を増加させる効果のある「N M N (ニコチンアミド モノクレオチド)」は、「DNA損傷」の量を減らす可能性も大いにある・・・と考えてよいかもしれませんね

 

「DNA損傷」の蓄積が「老化」である・・・とすれば・・・

あなたは、どうしますか?

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記 >  2月7日

 

今回は「DNA損傷」が、ヒトの「老化」に関係がある可能性について、お話をさせていただきました。

 

以前のブログの中で・・・「RNA」は、とても脆い(もろい)というお話をしたことがあったのですが・・・こちらは、1本鎖でしたよね。

 

これに対して、2本の鎖は、強固であるとお話をさせていただきましたね。

 

(DNAの構造:図はお借りしました)

 

「DNA」は染色体として、細胞の核に存在しています。この染色体をさらに詳細にみてみますと・・・2本鎖で構成されるDNAが折りたたまれる形で存在しているわけですね。

 

(図はお借りしました)

 

それなのに・・・なぜ、DNAが損傷を多く受けるのか?・・・と疑問に思う方も多くいらっしゃると思います。

 

自然発生的な「DNA損傷」は、1日当たり細胞当たり104-105個のオーダーで起こるという話をご紹介したのですが・・・

 

この数字は、1993年にLindahlらによって報告され、その後、2004年にも別の科学者のグループによって、同様のことが報告されています。

 

そのDNA損傷を引き起こす原因としては・・・本文内でご紹介したように紫外線、放射線障害や活性酸素種(ROS)などがあるのですね。

 

このうち、最も深刻なダメージの蓄積を生じるのは、活性酸素種(ROS)やフリーラジカルなどの内因性のものである可能性が高い可能性があると考えられているのです。

 

ヒトを含めた哺乳類では、取り込んだ酸素の数%が「活性酸素」に変化すると考えられています。「活性酸素」は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらすというお話を以前のブログで、ご紹介したことがありましたね。

 

少しだけ、詳細に見てみますと・・・「活性酸素」などで生じる異常は、次のようなものが多いとされています

 

一本または二本鎖切断、塩基置換などの異常を生じることが多いとされています。

 

では損傷を受けたDNAは、その後にどうなるのでしょうか?

 

細胞内の核にあるDNAは、いわば、細胞機能の設計図であるわけですね。これが損傷したままでは、さすがにマズイですよね。

 

すべての生物は、あらゆる種類のDNA損傷を感知し、日常的に起こる多数のゲノム損傷を修正する強固なメカニズムを持っている(2009年 Hoeijmakersらの報告)ことが知られています。

 

この仕組みは、「DNA損傷応答(DDR)」と呼ばれ、DNAの損傷を検知すると、すぐに作動する性質を持っています。

 

例えば、ヒトを含めた哺乳類では、DNAの完全性を守るために150以上のタンパク質を直接コードしていると、2006年にFriedbergらによって報告されています。

そして。これらの遺伝子は、常に核ゲノム(DNA)の質を監視し、修復していると2004年にSancar らによって報告されています。

 

それならば・・・「DNA損傷」が蓄積し、「DNA損傷応答(DDR)」が「老化」につながっていくのでしょうか? 不思議ですよね。

 

しかしながら、慢性的な「DNA損傷」が絶え間なく生じて、それが蓄積していると・・・この修復が、うまくできなくなる可能性が指摘されているのですね。

 

「老化の柱」という概念が、2014年にKennedy  らの研究グループにより、提唱されています。

 

「老化の柱」とは、老化を制御する方法を説明するものです。

 

その内容は、ミトコンドリアの完全性と機能、幹細胞機能、ストレスへの適応、エピジェネティック制御などが挙げられています。

 

これらの「老化の柱」全体が、慢性的な「DNA損傷」の影響を受けてしまうと考えられているのですね。

 

最後に「DNA」の損傷と「老化」の考え方の変遷(へんせん)をふりかえってみましょう。

 

老化の最初の分子的説明は、細胞分裂のたびに起こる進行性の「テロメア」の短縮であり、1990年に Harleyらが報告しています。

 

しかし、その後、多くの細胞は、複製、ミトコンドリア、酸化、代謝、または遺伝毒性ストレスのために、テロメア短縮とは無関係に老化を起こすと多くの研究グループ(Parrinelloら、2003;Christoffersenら、2010;Correia-Meloら、2016;Nairら、2015)が、最初のHarleyらの説は、間違いであることを証明している

 

さらに「老化細胞」は、傷ついたDNAの複製を防ぐために、細胞周期の進行を積極的に抑制しています。

 

そして、「老化細胞」は、代謝、形態、および老化関連分泌表現型(SASP)と呼ばれる分泌プロファイルが変化しています。SASPには炎症性サイトカイン、ケモカイン、プロテアーゼが含まれていることを2008年にCoppé らが報告しているのですね。

 

「老化細胞」は、傷ついたDNAの複製を防ぐために、細胞周期の進行を抑制するという話題は、またの機会にさせていただきますが・・・

 

「老化」、そのものの考え方が、時代の流れとともに変わってきていることがわかりますね。

 

そして、今すぐにでもできることは・・

「老化の柱」を積極的に強化していくことなのかもしれません。

 

ミトコンドリアのDNAの損傷を防ぎ、ATPを産生を正常にする

そして、各種臓器の「幹細胞」の枯渇を防ぎ、正常な機能を維持する、「活性酸素」などのストレスに適切に対処する、そして、DNAをのメチル化やアセチル化といったエピジェネティック制御を正常に維持することが・・・「老化」に対抗していく手段になるということに

なりますね。

 

この続きは、またの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

(参考)

1. eLife, 2021: 10 e62852

DNA damage—how and why we age?

Matt Yousefzadehら

 

2.Blood; 2018 Feb1; 131(5); 488-495

DNA damage responses and p53 in the aging process

Hui-Ling Ou et al

 

3.Cells,2020 Jul; 9(7): 1665.

DNA Damage: From Threat to Treatment

Antonio Carusillo et al

 

 (筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

新潟大医学部卒

 

 

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