こんにちは、内科医  ひとちゃんですニコニコ

 

とても暖かな陽射しが感じられる休日の午後になっています

 

春に似た陽気だと思いながら、暦を見ますと・・・

二十四節気では「小寒(しょうかん)」となっています

 

1年のうちで最も寒いという「大寒(だいかん)」は、まだ先ということですから、寒さはまた戻ってくると警戒しておいた方がよさそうですね

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 
今回の話題は、「ストレス」の話題としてみたいと思います
 
皆さまは、何かしらのストレスを感じていますか?
 
こんな質問をしますと・・・「あるに決まっているだろう」と怒り出す方もいらっしゃるかもしれませんね
 
新型コロナウイルス、円安による物価高・・・等々とストレスを感じることを挙げたら、キリがないかもしれません
 
「ストレス」を感じながらも、これといった解決策がない・・・という状況に感じられ、時間ばかりが過ぎていく・・・・
 
そのことに、更に「ストレス」を感じるという方も少なくないはず・・・などとも思います
 
でも、それらの「ストレス」は、あなたの「免疫力」を低下させてしまうかもしれません
 
さらに・・・その「ストレス」は、あなたの老いを早めてしまうかもしれません
 
なぜなら・・・次のような報告があるからです
 
米南カリフォルニア大学のEric Klopack氏らの研究によれば・・・
 

衝撃的な出来事や仕事の重圧、日々のストレスや不当な扱いなどの経験は、「免疫システムの老化スピード」を速めることが示されたというのですね

 

この研究結果は、2022年6月13日に「PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences)」という科学誌に論文が掲載されています

 

「免疫機能」は加齢に伴い大きく低下し、老朽化した白血球が増える一方で、感染と闘える新しい白血球の数はわずかとなるとされています

 

こうした現象を「免疫老化」と呼ぶそうです

 

 

同じ年齢の人でも健康状態に大きな差があるのはなぜなのか?

 

Klopack氏らはこの差を、「ストレス」と免疫システムの老化との関連から説明できるのではないかと考えたのだそうです

 

そして、50歳以上の男女 5,744人について、ふだんの生活でどのような「ストレス」があるのか?・・・ということを調べたそうです

 

その結果は、「ストレス」の多い人・・・つまり、ストレススコアの高い人では、抗原からの刺激を受けてすぐに活性化する「ナイーブT細胞」が少なく、最終分化したT細胞が多いことが示されたそうです

 

ちょっと専門的な話となりますが・・・「ナイーブT細胞」とは、抗原にさらされたことのないT細胞を示しています

 

抗原提示細胞からの抗原刺激を受けることにより、始めて、活性化され、機能分化してTh1細胞やTh2細胞などのエフェクターヘルパーT細胞に分化することが知られています

 

つまり、新しいウイルスや細菌などの外敵の身体への侵入があったとしても、「ナイーブT細胞」が多ければ、すぐに対応して防御態勢を作れるということになりますね

 

「ストレス」の多く感じている人は、年齢が若くても「免疫システムの老化」が進んでいる可能性があるかもしれませんね

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<  ブログ後記  >1月10日

 

2023年の正月期間も終わり、いよいよ日常の生活が戻ってきたという方も多いのかもしれませんね。

 

さて、今回は仕事の重圧や日々のストレスなどが積み重なると・・「免疫システムの老化スピード」を速める(はやめる)ことが示されたというお話をさせていただきました。

 

米南カリフォルニア大学のEric Klopack氏らによって報告されたということは、本文内でご紹介したとおりです。

 

本文内でもご紹介をしましたが・・・

「免疫機能」は加齢に伴い大きく低下することが知られています。

 

なぜ、高齢者の免疫機能は低下してしまうのでしょうか?

 

正常の「T細胞」の免疫反応は、次のような仕組みで起こることが知られています。

 

 

 

「CD28」という分子は、すべての「ナイーブT細胞」に表出されています。

 

左の「TCR」は、T細胞のレセプターを示しており、免疫反応を起こすために抗原提示細胞(マクロファージや樹状細胞)から、MHCクラス分子から異物(細菌やウイルスの一部)の情報を受け取っています。

 

これだけで、異物に対する免疫応答が始まるわけでなく、ナイーブT細胞上の「CD28」は、抗原提示細胞上の「CD80/CD86(B7分子)」からも刺激を受けなければならないのですね

 

これを専門的に言いますと・・・

 

CD28は、すべてのナイーブT細胞の表面に発現しているコスティミュレーション(co-stimulation)分子である。

 

正常な状況下では、T細胞はT細胞受容体(TCR)とMHC複合体によって提示された同族抗原との相互作用およびCD28が抗原提示細胞(APC)表面のB7分子に結合するコスト刺激作用を介して活性化される

・・・となります。

 

ここからが重要なのですが・・・高齢になりますと・・・

 

加齢や慢性的な臨床状態において繰り返される抗原刺激により、T細胞は、この重要な分子である「CD28」を発現しなくなってしまうことが知られているのです

 

「CD28」を失ったT細胞は、次のような特徴を持っています。

 

複製能力を失い、テロメアが短く、DNA損傷の程度が高いが、依然として代謝的に活性が残っており、各種の「炎症性サイトカイン」を分泌することができることが知られているのですね。

 

しかしながら、驚くことに「CD28」を失った細胞は、免疫反応にまったく関与しないわけでなく、ある刺激閾値に達すると、突然増殖

したりするそうです。

 

「 CD28」を失ったT細胞を「CD 28 null T細胞」と呼ぶのですが・・・このT細胞は、その老化性に加えて、アポトーシスに対する抵抗性があり、その結果、前述の慢性疾患においてこれらの細胞が蓄積されるそうです。

 

例え方がイマイチかもしれませんが・・・

 

「CD28null T細胞=老化細胞」は、制御不能となるばかりでなく、ある時、突然に活性化して、そのヒトの組織を障害する可能性もある

・・・ということになります。

 

こうした「CD28null T細胞」集団の拡大は、がん、高血圧、、糖尿病などの慢性疾患などにも関与しているとされているのですね。

 

もし、仮に「N M N(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)」を摂取することで、血液中の「NAD+」の濃度を高めることによって「CD28null T細胞」を減少させることができたら・・・

 

本当に「老化」を予防できて、寿命を延ばすことができる・・・ひとつの証拠となるかもしれませんね。

 

それよりも過剰なストレスで、若い年代であっても「CD28null T細胞」のような老化細胞が増加してしまうとすれば・・・やはり、深刻な問題ですよね。

 

だから・・・明日を思い煩う(わずらう)ことなかれ・・・ってことで・・・ちょっと、クルしいでしょうか爆  笑

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

(参考)

Review

Biomolecules. 2021 Sep 29;11(10):1425.

Accumulation of CD 28null  Senescent T cells is Associated with

Poorer Outcomes in COVID 19 Patients

Mia J Colemanら

 

 (以前のphoto: 筆者撮影)

 

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

新潟大医学部卒

 

 

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