こんにちは、内科医 ひとちゃんです
昨日の都内は、薄曇りながらも満開の桜を楽しめたわけですが・・・
今日は雨の降る休日となってしまいました
「桜散らし」の雨と呼ぶのでしょうか?
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
そうですね
2006年に「山中伸弥教授(前・京都大学iPS細胞研究所所長)」らの研究グループが樹立することに成功した細胞ですね
マウス由来の「体細胞(たいさいぼう)」に「4つの遺伝子」を導入することにより、あらゆる臓器になることが可能な細胞を作ることに成功したのですね
「体細胞」について、少し説明させていただきますと次のようになります
私たちの体には、脳、心臓、肝臓、膵臓、腎臓など、さまざまな機能をもった臓器がありますが、これらはすべて、「体細胞」となります
細かいことを言いますと・・・ひとつの臓器は、さらに機能の異なる数種類の「体細胞」で構成されているのですね
iPS細胞を作成する際に導入する「4つの遺伝子」とは、どのようなものなのでしょうか?
それは・・・「Oct4」, 「Sox2」,「Klf4」, 「c-Myc」の4つの遺伝子でして、これらの遺伝子を総称して・・・「山中因子」と呼ばれています
これらの遺伝子は、胚性幹細胞(ES細胞)に多く発現する
「転写因子」というものにあたる遺伝子であるのですね
では、「ES(イーエス)細胞」とは、どのような細胞なのでしょうか?
「ES(イーエス)細胞」とは・・・
胚性幹細胞(embryonic stem cell)と呼ばれ、胚盤胞と呼ばれる初期胚から細胞を取り出し、培養することで作製されます
そして・・・この「ES(イーエス)細胞」には、いろいろな細胞になることができる「多分化能」と
その細胞自体が複製増殖することができる「自己複製能」を有しているのですね
しかしながら、受精卵を破壊する必要があるため、ヒトES細胞の作製と利用には倫理的問題が生じてくるわけです
当然のことですが・・・ヒトの受精卵は・・・やがて、胎児となるわけですからね
なので、ヒトの体細胞にたった4つの遺伝子(山中因子)を導入することで、「ES細胞」と同様に・・・
あらゆる細胞に分化できる多能性幹細胞(iPS細胞)を作り出せたことは、新しい「再生医療」という分野の幕開けを告げる(つげる)歴史的な転換点だったと言われています
ただし、この時点での「iPS細胞」は、「ES細胞」と比較して様々なタイプの細胞に分化する能力(多分化能)が劣り、かつその能力もiPS細胞間でバラツキがある・・・とされていたのですね
そこから、さらに研究が進められ、「iPS細胞」の能力がアップデートされていくことになるのですね
最近、話題になることが多い「iPS細胞」とは、どのようなものなのか?・・・のざっくりとした大まかな知識を持つことは、必要なのかもしれませんね
「iPS細胞」の詳細は、後日の話題にしたいと思います
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
<ブログ後記>4月5日
昨日までは冬の季節に逆戻りをしたように
冷たい雨が降り続く陽気でしたね。
文字どおりの「桜散らし」と雨となってしまいました。
聞いた話ですが、正確には雨が降ったことによって桜の散ることを
「桜ながし」と呼ぶのが正しいのだとか。
さて、今回は、「山中伸弥 教授」らが作り出した人工多能性幹細胞(iPS細胞)についてのお話をさせていただきました。
山中先生は、「京都大iPS細胞研究所」の所長をなさっておりましたが、先月末で退任し、今後はiPS細胞研究財団の理事長に就任されていますね。
2006年8月に京都大学の山中伸弥教授らは世界で初めて「iPS細胞」の作製に成功し、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞されています。
「iPS細胞」を用いた再生医療の実現までには、多少は時間が必要なのだろうと思っていたのですが・・・
昨日、大阪大学 大学院医学系研究科 教授 西田幸二先生の研究チームが、「iPS細胞」から「角膜上皮」を作って、角膜の病気でほぼ視力を失った4人の方に「iPS細胞を使ったシート状の角膜」を移植し、視力を取り戻したという驚くようなニュースもありましたね。
「iPS細胞」とは、どのようなものか?・・・と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
2006年8月に山中教授の研究グループが、世界で初めて「iPS細胞」を作ったものは、次のようなものでした。
皮膚などに分化した細胞にたった4つの遺伝子「Oct4」、「Sox2」、「Klf4」、「c-Myc」組み込むことで、あらゆる生体組織に成長できる万能な細胞(iPS細胞)を作ったのですね。
しかし、その時点では、ES細胞と比較して様々なタイプの細胞に分化する能力(多分化能)が劣り、かつその能力もiPS細胞間でバラツキがあったそうです。
「再生医療」に用いるには、このiPS細胞間におけるバラつきの存在は、実現の障壁となっていたそうです。
また、4つの遺伝子のなかで、「c-Myc」は、癌遺伝子のひとつであったために・・・この遺伝子導入は癌が発生するリスクがあったのですね。
その一方で、「c-Myc」を導入しないと・・・iPS細胞作製効率が極めて低いという問題があったのですね。
そのような状況のなかで、慶應義塾大学医学部 内科学(循環器)
教授 福田恵一先生と 筑波大学動物実験学研究室との共同研究により、 卵細胞のみが持つ
新しい因子「H1foo(エイチワンエフオーオー)」と
山中因子の4つのうち、「c-Myc」を除いた3つを用いることで、従来の方法よりも高品質な「iPS細胞」を効率良く作 製することに成功したそうです。
「H1foo(エイチワンエフオーオー)」は、卵細胞にのみに発現している「リンカ ーヒストン」というものです
(図はお借りしました)
「Stem Cell Reports」 に掲載されています
H1foo has a pivotal role in qualifying induced pluripotent stem cells 「Stem Cell Reports」
続きは、またの機会にしたいと思いますが・・・
上に示した図に似たものを、以前に見かけたことはないでしょうか?
そうですね
「NMN」の作用機序として、以前にご紹介をしたJTKクリニック内の説明スライドのなかの図ですね
これも、話が長くなりますので・・・ね。
またの機会にしたいと思います。
今回も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました
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理事長、院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士
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