こんにちは、内科医 ひとちゃんです
青空が広がり、春到来の気配をより感じる日となりましたね
今朝(けさ)は、近所の公園を散歩した際に「梅(うめ)の花」が咲いているのに気がつきました
梅の花の花言葉は、花びらの色によって変わるようですが、
「上品」「高潔」「忍耐」などがあるようですね
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
さて、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の国内における感染の拡大傾向に歯止めがかかりません
最近、製薬会社ファイザーの「アルバート・ブーラCEO」が仏紙
「フィガロ」とのインタビューで次のように述べたそうです
「間もなく通常の生活を再開できるだろう」とし、「春にそうできる態勢は十分整っている。検査、非常に効果的なワクチン、自宅で可能な一次治療が全て利用できるようになったことが大きい」
しかしながら、本当だろうか?・・・と思ってしまいますよね
たしかに「ファイザー社」は、これまでに新型コロナウイルスに対して。2つの核となるものを生産しています
ドイツの「ビオンテック社」と共同で開発した、新型頃ウイルス感染予防のための「mRNAワクチン」に加え・・・経口薬「パクスロビド」ですね
経口薬「パクスロビド」の臨床試験では、コロナ感染による入院と死亡を著しく減らす効果を示しています
昨年の11月5日のファイザー社の「ニュースリリース」による
「パクスロビド」の臨床試験の中間解析の概要が次のように示されていました
【第2/3相EPIC-HR試験】
- 対象は1219人の症状発現後3日以内の新型コロナ外来患者
- 8歳以上、発症から無作為化まで5日以内、重症化のリスク因子1つ以上
- パクスロビドを1日2回、5日間内服。対照はプラセボを同じ期間内服。
- 発症3日以内の患者を対象にした場合、28日間の入院または死亡が、パクスロビド群が0.8%(389人中3人が入院、死亡はなし)、プラセボ群は7.0%(385人中27人が入院、うち7人が死亡)。
- 発症5日以内の患者を対象にした場合,28日間の入院または死亡が、パクスロビド群で1.0% (607人中6人が入院、死亡はなし)、プラセボ群は6.7%(612人中41人が入院,うち10人が死亡)
では、米ファイザー社が開発した「パクスロビド」は、どのような機能を持つ薬剤なのでしょうか?
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、感染細胞での ウイルスの自己複製を可能とする「3CLプロテアーゼ」を持つのですね
ウイルス感染に対するプロテアーゼ阻害薬は、例えばHIVやC型肝炎ウイルスの治療薬としてよく知られています
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)では、感染細胞でのウイルスの自己複製を可能とする「3CLプロテアーゼ」を持つことが知られています
SARS-CoV-2が増えるために「3CLプロテアーゼ」は必要不可欠な酵素であり、この酵素の機能を止めるとウイルスは増殖できなくなります
「3CL プロテアーゼ」は、下の図のように
ウイルス増殖の前駆体蛋白質プロセシングを担い、ウイルス増殖に不可欠な蛋白質であるために・・・この部分を標的とする選択的阻害剤は、以前より、COVID-19治療薬の候補とされてきたのですね
それが臨床?で有効であったことから、「3CLプロテアーゼ」阻害薬として、「パクスロビド」が生産されるようになったということになりますね
(図はお借りしました:日本経済新聞より)
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
<ブログ後記>2月1日
2月を迎えました。
新型コロナウイルスの感染者の数の多さには驚きますね。
いつ収束に向かうのか?・・・と苛立ち(いらだち)を感じる方も
多いのだと思います。
そんな中で、楽観論(?)を述べるとは・・・と不愉快に思う方も
いらっしゃるかもしれませんね。
そうですね。楽観論ばかりではいけませんね・・・とも思います
楽観的に考えてよい側面は・・・「オミクロン株」は以前に流行した「デルタ株」ほどは重症化しない可能性が高い・・・という論文や報告が多いということもあります。
「オミクロン株」が最初に報告をされたのは、昨年(2021年)の11月24日で、南アフリカの研究者の報告でした。そして、11月26日に「オミクロン株」という名前がついたのではなかったでしょうか。
その「オミクロン株」感染者が、どのような転機をたどったのか?・・・ということが、南アフリカの医学者により既に報告されているのですね。
その結果としては・・・詳細な数字はあげませんが、感染者数は以前に流行した「デルタ株」よりも多くなったが、
トータルで見ますと死亡者数や重症化する患者数は少なかったとされています。
もちろん、死亡する患者数や重症化する患者数は「ゼロ」でじゃありませんでした。
ただし、感染者全員の「変異株」を調べることはできなかったので、「オミクロン株」以外の感染者も混じっていた可能性があり、「オミクロン株」以外の新型コロナウイルス感染者が一部、混じってい可能性もある・・・ということを述べています。
「オミクロン株」以外の感染者が死亡したり、重症化した可能性もあると述べているのですね。
悲観的に考えなければいけないのは・・・まさにこの点となります。
日本国内の無症状の感染者もいると想定すると・・・「オミクロン株」の感染者のパーセンテージ(%)は、どの程度いるのか?・・・
ということは、とても興味深いところです
なぜなら、「オミクロン株」なら・・・
河岡義裕・東大特任教授(ウイルス学)らのチームは培養細胞を使った実験で、既存のコロナ治療薬の効果を調べた結果によれば・・・
抗体カクテル療法に使う「ロナプリーブ」などが日本でも承認されているわけですが・・・実験の結果、「ロナプリーブ」がオミクロン株の増殖を抑える効果は、デルタ株に対する効果の5261分の1以下と著しく弱かったというのですね。
別の抗体薬「ソトロビマブ」も約3分の1の効果に弱まっていたという結果を報告しています。
「オミクロン株」ならば、抗体カクテル療法に使う「ロナプリーブ」は有効でない治療となる可能性がありますし、
「オミクロン株」以外の「デルタ株」などであれば、積極的に
抗体カクテル療法を行っていく方がよい・・・ということになります。
欧米各国がピークを過ぎたのではないか?・・・と報道され、行動制限の解除がされるというニュースがあるので、
もう以前のような制限は必要ない・・・「風邪」のようなものだと考える方も多くなってきているのですが・・・
米国のニューヨーク市では、感染していることが判明すると
ファイザー製かメルク製の飲み薬が無料で自宅に届けられるということがなされているのですね
もちろん、医師からの処方箋が必要となるのすがね。
治療薬は、陽性と判明してから、すぐに服用した方が最も効果が高く、市は高齢者などに対し、積極的に利用してほしいと呼びかけているようです。
米国のニューヨーク市などでは、オミクロン株の感染も収束に向かっているとのことですが、それに比較して
現時点での日本国内の状況を見ると・・・もう少しだけ、「梅の花」の花言葉のごとく「忍耐(にんたい)」が必要なのかもしれません。
せめて、「桜」の花びらが舞う頃まで・・・はね
いや、ファイザー製かメルク製の飲み薬が、国内に豊富に揃う(そろう)まで・・・なのでしょうかね。
今回も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました
(梅の花咲く:筆者撮影)
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小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
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