こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ
 
雨が上がり、コオロギの声が聞こえる休日の夜となっています
3連休の方も多いのでしょうか
 
すでに暦では「立秋(りっしゅう)」となっていますね
 
今年は、昨日からでしたが、暦の上での「秋」がはじまりまして、夕方の涼やかな風に秋の気配も感じられるようになってくる頃とされるようですね
この時期を「秋立つ」と表現するそうです
 
皆様の体調は、いかがでしょうか?
 
 

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、いっこうに収束する気配がありませんね

 

先日、「ワクチンを接種すれば、なんとかなるかも・・・」という話を誰かにしましたら・・・「そのワクチンの接種ができないから、困っているんだ」と怒られました

皆が苛立ち(いらだち)を感じているようです

 

けれども・・・連休は旅行に出かける予定があると聞いて、驚いた次第です

 

こんな状況ですから、今回は「新型コロナウイルス」の話は、敢えて

(あえて)避けてみたいと思います

 

1ケ月前でしょうか、面白い報告を見つけました

東京医科歯科大学の難治療疾患研究所・幹細胞医学分野の西村 栄美教授(東京大学医科学研究所・老化再生生物学分野教授兼任)らと米国ミシガン大学や東京理科大学などとの共同研究によるものですね

 

研究成果は、科学雑誌「Nature(ネーチャー)」オンライン版の論文として掲載されています

 

どのような研究成果なのでしょうか?

 

「加齢に伴う薄毛・脱毛と肥満がどう関わるか」という仕組みは、これまで、不明だったそうなのですね

 

その仕組みを解明した・・・というのが、論文の内容です

 

以下に内容をご紹介したいと思います

 

多くの臓器は、加齢に伴いその機能や再生能力が低下し、さまざまな加齢に伴う疾患を発症することが知られています

 

また、年齢とともに基礎代謝量が低下し、中年期に太りやすくなることはよく知られていますね

 

ただし、肥満がいかに「臓器の老化」や「加齢関連疾患の発症」と関わるのか、どの細胞集団が主たる標的となっているのか・・・というメカニズムは、まったく、解明されていないのが現状です

 

そのなかで、加齢に伴う「脱毛」は、典型的な老化形質・・・つまり、老化に伴う身体の特徴として知られ、中年期から進行すると言われてますね

また、これまでの「疫学調査」でも「肥満が、男性型脱毛症の危険因子である」ことは分かっていたのですが、その仕組みが解明されていなかったのですね

 

東京医科歯科大学の難治療疾患研究所・幹細胞医学分野の西村 栄美教授らのグループは、これまでに

毛の再生の元となる「毛包幹細胞」に着目し、加齢による薄毛・脱毛が毛包幹細胞の枯渇によることをこれまでに明らかにしている実績があったようです

 

その内容は・・・と言いますと

 

本来、「毛包幹細胞」は、自己複製によって幹細胞プールを維持しながら毛を生やす毛母細胞を供給するのだそうです

 

若年期においては、「毛包幹細胞」を周期的に活性化し、毛包の再生と退縮を反復することで毛が周期的に生え変わっているらしいのですが、年を取ると「毛包幹細胞」が自己複製せずに表皮細胞に分化し、幹細胞プールが維持されなくなり、毛を再生できなくなるのだとか

 

研究は、マウスを用いて、以下のような検討が行われたようです

 

老若両方のマウスに高脂肪食を与え、その違いを検証したそうです

 

結果は、非常に興味深いもので・・・

若齢マウスでは、数か月以上の高脂肪食に加え毛周期(ヘアサイクル)を繰り返すことによって毛が薄くなることが明らかになったそうですが、

 

加齢マウスは、1か月間だけ高脂肪食を摂取するだけでも毛が再生しにくくなったそうです

 

 

3か月以上にわたり高脂肪食を摂取したマウスにおいては、「毛包幹細胞内」に脂肪滴が蓄積し、成長期に「毛包幹細胞」」が分裂する際に表皮または脂腺へと分化することで、「幹細胞の枯渇」が進むことが明らかになったそうです

さらに、毛包の萎縮(ミニチュア化)を引き起こして、毛の再生を担う細胞が供給されなくなるために、脱毛症が進行し、毛が細くなったり生えなくなるなどの脱毛症の諸症状が現れることも明らかになった・・・ということです

 

この機序としては、「毛包幹細胞」内に発生した炎症性のサイトカインのIL-1β(インターロイキン ワン ベータ)や転写因子 NF-κB

(エヌエフ カッパー ビー)が、「毛幹細胞内に発生し、再生シグナルである「ソニックヘッジホッグ経路(Shh経路) 」を強力に抑制していたことがわかったそうです

 

つまり、「肥満という環境」が、「毛包幹細胞内」で炎症性サイトカインなどを発生させることで、その再生を抑制していたことになりますね

 

これらのなかで、IL-1β(インターロイキン ワン ベータ)やNF-κB(エヌエフ カッパー ビー)などは、髪の毛ばかりの問題ではなく、他の臓器の再生やヒトの免疫システムなどにも影響されることですので、今後、医学の世界で、新しい医療を生み出していく可能性がありますね

 

JTKクリニックでも投与可能な「幹細胞培養上清液」は、その投与により、髪に毛が再生することが知られ、これまでは、「毛根への血流が改善するから」という説明をしてきたのですが、炎症性サイトカインの低下をきたすから・・・という説明ができるのかもなんて、考えています

 

「幹細胞培養上清液」は、サイトカインのバランスを改善する働きが知られていますからね

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

<ブログ後記>8月10日

今回は、毛髪の再生に関わる「毛胞幹細胞」に関する話題とさせて頂きました。

これまでは、髪の抜けるスピードが通常より速い(はやい)とか、髪の毛の毛根部分の血流が低下していたり・・・という説が挙げられてきたのだと思いますね。

 

これまで、JTKクリニックで「幹細胞培養上清液」による治療を行った方から「髪の毛の質が改善した」とか、「髪を触った時の量が少し多くなった気がする」などという声がありました。

 

私は「幹細胞培養上清液」は、毛根部分の血流が改善してきたことが理由であると答えてきたのですが、正直なところ、若干(じゃっかん)の疑問は、正直なところありました。

 

もちろん、その要素はあるわけですが・・・本文でお話しをしたように東京医科歯科大学の難治療疾患研究所・幹細胞医学分野の西村 栄美教授らのグループの報告を目にしたときに・・・なるほど、このような要因も説明できるのか・・・と感じたのですね。

 

まず「幹細胞」がどのようなものであるかを整理しておきたいと思います。

 

        (図はお借りしました)

幹細胞とは、いろいろな臓器に分化することのできる細胞ですね。

ヒトの幹細胞のひとつは、そのヒト自身の血液、神経、筋肉、骨や軟骨などになり得る細胞であることは、ご存知の方も多いと思います。

 

これを幹細胞の持つ「多分化能(たぶんかのう)」というのですね。

 

もうひとつの幹細胞の性質は、まったく同じ細胞を複製する能力があるのですね。これを幹細胞の持つ「自己複製能(じこふくせいのう)」というのですね。

 

下の図は、本文内で「毛包幹細胞」は、自己複製によって幹細胞プールを維持しながら毛を生やす「毛母細胞」を供給する・・・ということを示した図です

 

        (図はお借りしました)

 

若いヒトにおいては「毛包幹細胞」を周期的に活性化し、それ自身も複製し、さらに一部は「毛母細胞」に分化するのですね。

そして、この「毛母細胞」が毛包の再生と退縮を反復するわけです。

 

このことにより、毛が周期的に生え変わっている・・・というわけですね。

 

ところが、高齢になると・・・「毛包幹細胞」が自己複製ができなくなり、皮膚の表皮細胞に分化してしまうのですね。

すると・・・「毛包幹細胞」のプールされたものが消失する・・・すると「毛母細胞」の供給がなくなり、結果的に毛を再生できなくなるというわけですね。

 

ところが、高齢ではなくても・・・「毛包幹細胞の枯渇」が進み、

さらに、毛包の萎縮(ミニチュア化)が生じる可能性がある

 

その理由は、高カロリーの摂取をしている状況で生じる「肥満」が「毛包幹細胞内」で、IL-1β(インターロイキン ワン ベータ)という炎症性サイトカインやNF-κB(エヌエフ カッパー ビー)という転写因子などの物質が過剰などに産生させるから・・・ということになりますね。

 

本文内でもお話をしたように・・・IL-1β(インターロイキン ワン ベータ)やNF-κB(エヌエフ カッパー ビー)などは、ヒトの免疫システムの中で、重要な役割を果たす物質ですからね

 

やはり、天高く馬肥ゆる秋の季節となり、食欲はますばかりの時期ですが、食事のカロリー摂取に気をつけたり、体重管理をした方が良さそうですね。

 

最後は、ありきたりの世間話の結論となってしまいましたねてへぺろ

 

今回も最後までお読み頂きまして

ありがとうございましたお願い

 

(以前のphoto:筆者撮影) 

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  元 順天堂大学 膠原病リウマチ科 准教授   

日本リウマチ学会 専門医

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