ブラック レインという映画があります。ずいぶんと昔の映画ですが、たしか、日米合作の映画であったと思います。アンディー ガルシア、高倉 健などと、そうそうたる俳優が出演していますが、そのひとりに松田優作がいます。主役ではないのですが、日本のマフィアのひとりとして登場します。修羅のような形相で、迫力があり、狂気漂う雰囲気が、印象に残ります。
 実は、この映画の出演の依頼があったとき、松田優作は、癌を患っていたそうです。それも末期がんの状態で、周囲の人々は、出演を断るつもりでいたそうですが、彼は聞く耳を持たなかったそうです。
 自分の遺作となることを知りながら、病室から、撮影現場に通い、演技を続けたそうです。この映画に出てくる松田優作は、癌のためか、他の映画とは違い、たいへん、痩せています。しかしながら、目の気力、迫力は、大変な凄まじさが宿っていると感じる方は多いと思います。
 松田優作といえば、蘇る金狼、野獣死すべしなどの映画でも秀逸な演技を見せていますが、特に蘇る金狼のラストシーンは、記憶に残るものだと思います。
 癌のために残りの時間が少ないことを知りながらも、自分の演技を貫きとおす。言うのは簡単ですが、難しいことだと思います。普通の人であれば、悲しみ、うろたえ、嘆き悲しむとこだと思います。そんな彼の姿は、のちにゴッドファーザーIIIだったと思いますが、アンディー ガルシアなどの演技に影響を与えたとも言われています。