デーブが解説者時代、西武ドームで中村と接触する機会があった時思ったのは、、職人気質でハニカミ屋、結構デリケートな選手だなという印象。内向的で頑固なところがある。自分で試行錯誤している最中は、他人の言う事を簡単に聞き入れない。
07年の秋、渡辺監督からの要請で一軍の打撃コーチを任されて、その秋期キャンプ、ホームランになってるけど、結構ギリギリのフェンス越えが常の中村にデーブが話しかけた。
「すげえなあ、サンペイは。そんなに手元で打ってるのに、よくフェンスの向こうに入るよな。ふつうは入らねえよ」
「そうですかね」
デーブはおもむろに切り出した。
「あのさ、ポイントだけ、もうちょっと前にしてみないか」
「前に、ですか」
「うん。スイングも構えも、全然変えなくていいからさ。ポイントだけ前にしてみなよ」、、「この線の前で打ってみな。いいじゃん、こんな練習、遊びなんだから」
中村が言われるままにバットを振った。
カキーン!打球はフェンスを軽々と超えていった。
「よし。じゃあ、今度はボールが人工芝からアンツーカーの中に入ってくる前で打とう」
カキーン!今度は更に打球が伸びた。
デーブがにっこり笑って、中村にうなずきかけた。
「なっ?」
この時のことを中村が振り返る。
「デーブさんに言われたとおりにやってみると、確かに打球が違うんですよ。遠くに飛ぶし、いい角度で上がる。それまでやってなかったことを覚えて、ホームランを打つバリエーションが大きく広がりました」
06年、07年に9本、7本だったホームランが、08年は一気に46本、09年は48本と何れもホームラン王を獲るに至った。
この中でのデーブの苦労は、アドバイスすべき、言うべき事は分かっているんだけど、どう中村のプライドを崩さずに教える事が出来るか、そのタイミングを狙っていた。そんな事だったと思います。これは多くのコーチが同じ様に感じ、悩んでいる事の様です。