第2話 "Fuck You!"
"Excuse me. Why am I crazy? I'm not crazy. I just like metal songs."
採用は半ばどころか、ほぼ完全に諦めてしまった。
でも、まだ心のどこかで期待があったんだろう。
ブチギレるわけにはいかなかった。
至って冷静に、そして英語表現の丁寧さの度合いはよく分からないが、できるだけ丁寧に
話したつもりだった。
"I just don't believe it. Metal songs are not the real music! It's just a
noise. And you're crazy! What is good about the music? It makes me laugh!"
彼の英語はとても早口なので、正確に聞き取ることに精一杯。
意味を正確に理解するなんて芸当は、今の私にはまるで不可能だった。
彼の話し口調と少しだけ完全に理解できたところをつなぎ合わせてみる。
メタルという音楽を愚弄し、メタルを聴く私たちをろくでもない人間扱いしているこのアインシュタインもどきに怒りがこみあげてきた。
"Hey, you. Fuck you!"
もうどうでもよかった。
この職は何としてでも手に入れたいし、手に入れる自信もなぜかしらあった。
ところが、さきほどのカエルといい、このアインシュタインもどき。
あまりにも、この学校の人間の態度は失礼千万。
自分の最も大切なものなんか、すっかり見失ってしまった。
"What? What the hell did you say? You're something!"
今の私の発言に、このアインシュタインもどきは怒り狂う。
そう瞬時に予測した。
ところが彼は高笑いをしながら、私のほうに近寄り私に握手を求めてきた。
英語を話せるようになって、女性にモテたい。
だから、この会社に応募した。
でも、英語そのものも難しいが、外国人の感性は本当に理解しがたい。
私もなぜかしら笑みをこぼしながら、そう感じた。