先日来られたお客様の聴力図。

左耳は中等度難聴、右耳は高度難聴レベルまで低下が見られますが、
どちらの耳も補聴器で充分に補える聴力です。

当店に来る前に、とある補聴器専門店へ相談に行ったそうなのですが、
店で測定することなく、担当者は数年前の耳鼻科受診時のデータを見て、
これなら充分両耳で使えますよと、何も調整することなくそこにある補聴器を装着させたそうです。
そして両耳で「50数万円」、購入頂いたらしっかり調整しますよ・・・という対応だったらしいです。

数年前の聴力データで当日は測定なし、という対応がまずあり得ないですが、
せめて数年前の聴力でも良いから調整してからお試しさせてあげて!と思いますね。

さすがにこのお客様も少々疑問に感じたからこそ、当店へ相談に来られたわけですが・・・

結果から申し上げると、本当にそちらでは購入しなくてよかった。

そのわけは・・・

語音明瞭度にあり


語音明瞭度とは、言葉の聞き取りを測定する検査です。
「あ」「き」・・・などの語音を、どの程度の音量で、どれだけ正確に聞き取れるかを調べます。

この方は、左耳はある程度音量を上げれば80%程度の語音を聞き分けることができましたが、
高度難聴の右耳はかなりの音量まで増幅しても10%の語音しか聞き取れませんでした。

そうなると、右耳は補聴器を入れても「音が聞こえるようになるだけ」、言葉の聞き取り改善は困難です。
両耳に50数万円の補聴器を作るぐらいなら、同じ価格で片耳に最高レベルの高性能補聴器を作ることが出来ますし、その方が改善度が高い可能性もあります。

語音明瞭度の測定なしに補聴器購入はあり得ませんよ。
(高度~重度難聴、先天性の難聴などの場合は例外もありますが・・)

最終的に、どのような改善策をとるかはお客様の判断にはなりますが、判断材料はしっかり提供しないといけません。

あまり役に立たない補聴器に散財する寸前だったという話・・・
皆様には是非お気をつけ頂きたい。