外出自粛生活のなか、新規に補聴器を検討しようという方はなかなかいらっしゃいません。
それは想定範囲内なので仕方ありません。
当店でも来店者数は格段に減少しております。
しかし、そんな中でもどうしても相談したいと望んで来られるお客様が多くいらっしゃいます。
通常の相談客が少ないので、特に目立っているのかも知れません。
それはどのような方々かと言うと・・・・
他店で補聴器を購入したものの、どうしても使いづらい、役に立っていないという訴えだったり、補聴器が調子が悪いので購入店に相談したら、もう買い替えないとダメだと言われたなどの相談です。
難聴者にとって補聴器は生活必需品。なくては困る大事なものです。
わたしは補聴器は必要としない聴力ですが、近視なのでメガネがないと怖くて外出できませんし、テレビだってまともに見られなくなります。メガネが調子悪かったら優先事項で相談に行かざるを得ないでしょう。
ですから困っている補聴器ユーザーを助けるのは使命といっても良いでしょう。
しかし、世間には本当にしょうもない販売店が実在します。
買って2年程度しか経っていない補聴器を、もう買い替えた方が良いと誘導するような店です。
しかも、私がみたところ故障すらしておらず、調整やメンテナンスだけの問題でした。
よく聞こえるようになって喜んで帰られました。
こんなことが一度や二度ではないのです。
何度も経験しています。
別の地域で補聴器販売をしている私の知人たちも同様の経験をしています。
なぜそのような店で買ってしまうのか・・・と思う方もいるかもしれませんが、補聴器は普段日常的に購入するようなものではなく非常に専門的な機器なので、一般の方は分からずに「そんなモノなのかな?」・・と販売店側の言葉を鵜呑みにしてしまう事も多いのだと思います。
昨日相談に来られた方は、補聴器を購入後に耳鼻科医から障がい手帳に該当する聴力だと言われたそうです。
手帳があれば、当然補聴器購入にあたって助成があります。
なので購入店に相談に行ったところ、そこの担当者は、あろうことか「耳鼻科の測定が間違っている」と切り捨てるように言ったとのこと・・・
こんなことが現実に起こっています。
この方は購入してまだ1ヶ月程度しか経っていないにも係わらず、もう購入店は信用できないので、こちらに来たいと希望して来店されました。
補聴器は決して安い買い物ではありません。
調整やメンテナンスの手数料を含めた金額設定になっています。
なので、正直に言って他店で購入した補聴器の世話をすることは、私にとって目先の利益はほぼゼロです。
そのような仕事ばかりだとしたら、いずれ破綻してしまいます。
それでも彼らを放置することは出来ません。
長い目で見れば、いずれ彼らは私の顧客となるでしょう。
そういう信念をもって補聴器店を経営している仲間も大勢知っています。
皆さんは補聴器を検討する際には、面倒でも何店舗か比較検討するとか、いきなり購入せずにまずは耳鼻科で相談するなどしてみると失敗が少ないと思います。
松下幸之助の言葉に、「企業は社会の公器であれ」というものがあります。
社会に貢献することで、その対価を得る。
その気持ちを忘れずに、このような困難な時期を乗り切っていきたいですね。