ここのところ、通販の補聴器や集音器を買ってしばらく凌いでいたものの、やはり不自由さを解消できずに相談に来られる方が増えています。

 

だいたい皆さん口をそろえて言うことが、「最初は良かった。」「買った当初はまぁまぁ聞こえていた。」という評価。

では、果たして買った時よりも聴力が低下してしまったという事なのでしょうか?

 

私はそうは思いません。

加齢による難聴の場合、1年やそこらで急激に聴力が低下することは、そんなに多くはありません。

 

では、なぜなのか?

まず初めに、70歳前後になってご自身で聞こえづらさを自覚して補聴器を買ってみようと思った方々が、果たしてどの程度の聴力なのか。

だいたいが中等度難聴程度になってきていると思います。

1対1の会話はまぁそれほど問題ではない。

数人での会話、ちょっと騒がしい環境での会話になると途端に聞きづらい。

このような状態かと推察します。

 

そこで、通販でよく見かける耳穴式補聴器。

価格は数万円程度ですが、その性能はと言うと・・・

 

基本的にこれらは、「軽度難聴」向けの器械です。

中等度難聴まで進行していると、完全に出力不足となります。

 

70歳前後の方で、軽度難聴の方は非常に多いと思われますが、実際にはほとんど自覚がなく、自分は聞こえには問題がないと考えている人が大半でしょう。

徐々に進行するので、軽度難聴程度ではまだ気付かないでいるケースがほとんどです。

 

自覚するころにはだいたい「中等度難聴」程度まで進行しています。

なので、これら通販補聴器に手を出す方々の多くは、実際には軽度難聴を通り越した中等度難聴者が大半なのではと推察します。

 

しかし、初めて使う人にとってみれば、今まで聞こえていなかった音が聞こえるようになってくるので当初は、「とてもよく聞こえる!」との評価になるわけです。

 

しかし、段々と周囲の音に順応してくると、物足りなさを感じてくるようです。

中等度難聴が、軽度難聴程度まで改善しただけなので、依然聞こえづらさが残っている訳です。

そこで音量を上げようとするわけですが、限界があり「ピーピー」と余計な雑音ばかりするようになったなどの訴えをよく聞きます。

 

通販耳穴型補聴器A     ・・・・・・・17dB

当店で販売している平均的補聴器・・・・50dB

 

この数字は何を意味するかと言うと、最大音響利得といって補聴器が増幅できる最大幅を表しています。

この数字だけ見ても、性能差は歴然。

 

通販補聴器は安いけれども、買って1年もしたら全然物足りなくなってしまったというのも分かります。

 

補聴器は基本的に出力に余裕のある機種を選択するべき。

中等度難聴であれば、高度難聴までカバーできるレベルのものを選択しないと後悔することに・・・・

 

ましてや安さにつられて、「集音器」などに手を出すともっと酷いものにあたってしまうかも。

会話に必要な周波数の音を増幅できていない、なんてものもあるようです。

 

補聴器は高いとよく言われますが、そこには大変高度な技術が投入されていると同時に、それらを詳細に調整する技術も含まれているからこその価格なのです。

 

もちろん、しっかりした技術を持ち合わせたところで購入しなければ、その価値をしっかり引き出せないことも申し添えておきます!