私は昔からドラマはほとんど見ないのだが、裕木奈江さんは知っていた。ドラマ「ポケベルが鳴らなくて」等で、90年代に一世を風靡した女優さんである。
テレビや週刊誌でその名前を見ない日はないくらい大活躍していたのだが、歌を歌っているとは知らなかった。
先日、Youtubeを散策していたところ、裕木奈江さんが歌う「もう森へなんか行かない」を見つけた。
なんだ、この透明感は!
早速ネットで検索し、1994年の6曲入りミニアルバム「素描(デッサン)」に収録されていることを突き止めた。
amazonのページにはCDジャーナルのレビューとして、以下のように書かれている。
【フランソワーズ・アルディのカヴァー,③⑥を含む裕木奈江のミニ・アルバム。奈江ちゃん風フレンチ・ポップス。それらしいのは④くらいで,特にフランスっぽさを強調しているわけでもなく,いつもの奈江ちゃんなのだ。しかし頑固なまでにハズさない人だ…。】
基本はアイドルポップなんだなと思ったが、それでもこのCDは是非手元に置いておくべきだと思い、ネットショップで検索。
しかし30年近く前のCDの新品は見つからず、やむなくamazonで中古盤を注文し、今日届いた。
収録曲は以下。
1 MEMORY〜MAURITIUSの想い出〜 詞:裕木奈江 曲:Mario Santangeli
2 時を旅して 詞:裕木奈江 曲:Mario Santangeli
3 もう森へなんか行かない 訳詞:裕木奈江 曲:F. Hardy
4 雨 詞&曲:D. Barbelivien/F. BernHeim
5 スーツケース 詞:裕木奈江 曲:Mario Santangeli
6 愛が聞こえる 訳詞:裕木奈江 曲:F. Hardy
レビューにサラッと「それらしい」と書いてある4曲目の「雨」はこんな曲。
原題は"JOJO"。
そう、D. BarbelivienとF. BernHeimが作ってP. Kaasが歌った曲である。
カースとは全くタイプが違うので比較すべきではないが、メロディの良さを引き出しているという点で裕木さんに軍配を上げたい。
それにしても、94年当時、P. Kaasといえばフランス中で大人気の若手実力派シンガーで、しかもこの"JOJO"が収録されているアルバムの日本盤には、中島みゆき作の「かもめの歌」も入ったいたわけで、こんな重要な情報が、「それらしいのは④くらいで...」で片付けられてしまうとは...
当時のフレンチ・ポップスが、レビューを書く担当者にすら全く認知されていなかったことが、ただただ悲しい(涙)。
F. Hardyによる3, 6とD. Barbelivienによる4以外は、Mario Santangeliという人が作曲している。
イタリア系のフランス人だろうか?
ネットで調べたが、言語情報はほとんどなく、彼の歌唱と思われる曲が1曲、Youtubeで見つかっただけだった(作家としてはいくつか見つかったが)。
《素描》の6曲を一通り聴き終えての感想は、
①30年近く前のCDとはいえ、これを知らなかったなんて、アンテナの感度がまだまだ不足しているなぁ(反省)。
②地中海レーベルから出ていた、相田翔子さんの2枚のアルバムに雰囲気が近い。
③フレンチ・ポップスのファンなら(あえてシャンソンとは書かない)、このアルバムを買わない手はない。
新品はおそらく手に入らない。そのうち中古盤も入手困難になるので、我こそはフレンチ・ポップスファンという方は、今のうちにネットショップへGO!