恐怖の車検
私の車、今月車検でして。先日その見積もりに行きました。「まあ、行っても10万円くらいだよね。」という気持ち。自分では結構ちょこちょこメンテをしているつもりでしたが。。。見積もりの点検終了を待っていると、担当の方がひょこひょこと浮かない顔をして現れた。「あのですね、ちょっと気になるところがありまして。。。ちょっと作業場に来て頂けますか?」とのこと。何だろうとついて行くと、「これを見てほしいのですが・・・。」と、車の前に設置された30インチモニタみないなものを見てくれとのこと。「あのですね、実はヘッドライトの光量が基準に満たないのと、光軸が定まらないんです。」モニタを見てみると、何やらわからぬグラフ的なものと、その下に3つの数字が表示されていた。聞けば、何回か目前でテストをしてくれたが、示された3つある数字のうち、一番左に表示されている明るさを示す数値が壊滅的に弱いことに加え、その明かりの弱さからか、何回調整しても光軸が定まらないそうで、このままでは車検の基準に達していないそう。その基準なのですが、片側のロービームで、6,400カンデラ以上とのこと。光軸とは一番明るいところの中心がちゃんと前を照らすように調整できるかという事らしいです。カンデラ?カンデラとは、どうやら国際基準の光度を表わす単位のことらしく、ルクス✕距離で求められるそうで。。。ちょっと前に犬吠埼の灯台に行ったとき、灯台の明るさを示すのに、○○カンデラと説明書きがあったことを思い出し、あれって、明るさが届く距離とかを示していたのね。となんとなく理解はしました。で、原因を追及するのに、バーナー(電球の事)を一回交換してみたいのと、レンズの部分を磨いても良いか?の確認でした。まあ、断る理由もないので、お願いしました。30分後また呼ばれて、レンズの磨きをひたすらやってくれて、2,500カンデラという検査値から4,200カンデラまで上がったそうですが。。。「手を尽くしたが基準値まで上がってこないので、これはヘッドライト一式(電球ではなく)を全交換しないとダメだ」という。「ヘッドライトユニット交換っていくらくらいするのですか?」「基本的にヘッドライトは、純正しかないので・・・。片側で10万くらいかと・・・。」「じゅ、じゅうまん!!!!!!!!?」「以前も同様の方がいまして、ASSY(アッセンブリ、要は全交換)交換でそのくらいしましたね。」「それを両目ですよね??」「今のところそうなりますね~。もしくは、中古品という手もありますが、中古は現物が届かないと状態がわからないのでギャンブルになります。値段はピンキリですけど。」エンジンや足回りで20万はヤムナシと考えられますが、たかがライトで20万もするとは思わなかった。この車のヘッドライトは、AFSという、ハンドルの操作に合わせてライトが左右に動くシステムが付いてるから高くなるらしいのですが・・・。私の車と同型で、AFS付きでないものあるので、そちらのユニットに交換が出来ないか聞いたら、「できなくはないですが、AFSの異常警告灯が付きっぱなしになって、ログが出っぱなしになると思います。」とのこと。それを無くすには、システムのなんかしらチップを取りはずさないといけないらしく、そこまで手間をかけてやるのは勧められないと・・・。肝心のライトが暗くなっている原因は、レンズを磨いたことで明るさが上がってきていることから、ライトのレンズの樹脂が、経年により曇りが出てきていることで間違いなさそうと。目視でも薄っすらと白濁した感じはしていたけれど、夜間走行で不自由はなかったので、車検で引っかかるなんて思ってはいませんでしたね。ヘッドライトユニットASSY交換を正確に見積もりを上げてもらったら、両目で約19万。おじさんの薄給で19万円と言ったら、痛い。痛すぎる。。。すかさず、「例えばバーナー(電球)を明るいものにして、更にレンズを極限まで磨き、ダメならバラスト(変圧器みたいなもの)変えてみるってのはどうでしょう?」問うてみましたが、「まあ、磨いて数値は上がってきているので、可能性はゼロではないでしょうが、難しいかもしれませんね。。。バラストは、ダメになるとライトが点滅したり消えたりする症状が出るので、今はちゃんと点灯しているので、恐らく問題ないと思いますね。」うん、悲しい回答。ここは、一旦引いて、陣形を整えて2日後に再戦します。と告げて整備場を後にしました。さて、どうするか・・・。整備士の方が言っていた「中古」というものを当たることと、「レンズを磨く」という事を一旦やってみることにしました。ヤフ●クとか楽●とかアマ●ンとかで中古のヘッドライトユニットを探しましたが、画像ではよさげに見えるけど、但し書きに「曇りあり」と「白濁あり」と書かれたものが大多数。値段も、2,000~50,000円までと幅が広く、素人目には善し悪しが判断できません。やはり現物を見て、今のものと比較して見ないと手出しはできないよな~。。となったら、今度はひたすら磨いてみようと・・・。さすがに手作業で磨くのはきついだろうと考え、ホームセンターに行って電動ドリルに取り付けられるポリッシャーセットと液体のコンパウンドを購入してきました。このポリッシャーはワックス後の艶出し用ぽかったので、これにフェルト地のアタッチメントも購入しコンパウンドをつけて磨くことにしました。さて武器は揃ったので、戦ののろしを上げようじゃありませんか・・・。駐車場には屋根などついておりませんから、この猛暑の中、直火焼きでございます。充電式の電ドリで磨くので通電式のものに比べ若干パワーは劣るかもしれませんが、要は、コンパウンドでしつこく磨き続ければ言い訳ですよ。(恐らく・・・。)1時間後・・・。片側をひたすら磨いた結果・・・。表面はピカピカになったように見えるのですが、よく覗き込んで見ると、レンズの内側にクモリや非常に細かい(ミリ以下の)粒々が見えてきました。でも、磨く前より目視でもクリアになってきたことは、反対側のライトのレンズと比べてもわかりました。なので、一定の効果があることが分かったので、反対も挑戦。こちらもなんだ神田で1時間。先に磨いた方のライトと同様にクリアになりました。が、こちらのライトも内側のクモリと細かい粒々が見え、先に磨いた右目よりもひどい気がします。う~ん内側が気になる・・・。何とかならないか・・・。ヘッドライトのレンズの内側を磨くには、レンズ樹脂の部分をソケット側のベース部分から取り外さなくてはならないのですが、普通はほぼ、分割できない状態になっています。簡単に外れてしまったら、雨天の際に水が中に入り込んでしまうからですね。でも、ネットで調べると猛者はいるものです。通称「殻割り」と言うそうで、接着部をひたすら熱して引っ剥がすことをやっている方がいました。ヒーターでライトユニット全体を温めるとかドライヤーを数十分当てて接着部のパッキン的なものを柔らかくしてから外す。などなど・・・。ですが、どれにも当てはまるのが、『ライトユニットを外す必要がある』ということ。これは、ですね、私の車の場合、素人にはかなりの大仕事になります。なぜなら、ただ、ライトユニットをはずだけなら良いのですが、作業をするために外すパーツがでかい。①フロントグリル(それほど、大きくはありませんが、)を外す。②フロントバンパーを外す。で、ようやく作業スペースができるんですね。実はこれ、ライトのバーナーを交換する時もやる方がいます。これを素人がやると、バンパーを固定しているピンを割ったり、ライトユニットを固定する爪を折ったりと色々と・・・・。悩んだ結果・・・。まず、①ライトユニットを外したところで、「殻割り」が成功するか不明。②「殻割り」が成功して、磨きをかけたところで明るさUPにつながるか未知数③部品を損傷させてしまう可能性もある。④恐らく寝ずに作業をすることになる。という事でまず、殻を割って磨きを掛ければ新品に近づけることが出来るかを検証する必要があると考えました。そこで、「安い中古品を購入してテストする。」という結論にたどり着きました。それをやれば、少なくとも、バンパーとグリルを外す作業をせずに肝心な部分が改善できるか判断ができると思ったからです。そうと決まれば、中古品を探します。多少汚れていても、磨くことから始めれば何とかなるだろうとの判断で見つけました。取り合えず片側のヘッドライトユニットASSY:黄ばみ、薄い白濁あり。お値段「2,100円」送料1,700円。4,000円かけてテストをするのもどうかと思いますが、これが想定通りにピカピカに仕上がってくれれば、9万円が浮く。。。即日配送で翌日に届くとのことでしたので、即ポチ。念のために業者さんに連絡を入れ、状況を確認したら、同一県内なので、まず問題なく届きます。と回答あり。とりあえず、この日は実車のライトをひたすら磨くだけにして終了し、翌日届くライトでテストして良ければそのまま交換してしまえばよい。ということにしました。翌日・・・。佐川さん、11時にライトを持ってきてくれました。ある程度の汚れを覚悟していたものの、比較的にキレイなものが届きました。それでも、注釈にあったようにレンズは黄ばみ、白濁も見受けられました。さて作業を開始です。まず、殻割りをする前に表面側に昔買ったコンパウンドではない溶剤系のクリーナーを垂らして・・・。おいおい、余計にクモって来たじゃないかい・・・。何じゃこれ??よく見ると、何かが溶けてます・・・。なに、樹脂が溶けるほど強力な溶剤なの?と思ったら、こいつ、どうやら紫外線から守るためのコーティングがしてあるようで・・・。その部分が溶けて来たようです。ベタついて、何でこすっても落ちない・・・。こりゃ萎えるわ・・・。なんか、塗料をシンナーつけてこすっているような感じで、まったくきれいになりません。。。一旦乾かして、怖いけど目の細かいサンドペーパーで磨こうか・・・。確か、2000番くらいのペーパーがあったはずなので、やってみた。目立たない場所をチョロッと水研磨しましたが、大けがになりました・・・。そりゃそうだ、樹脂を相手にこんな番手のサンドをつかったら傷だらけになるに決まってます。なので、コンパウンドに変更して戦うも、まあ粘着層が取れない。ほんと、透明な塗料のような感じだったので、試しに塗料用のシンナーを試す。何となく剥がれて来たものの・・・。樹脂の白濁がひどくなる。このままだと、「殻割り」には程遠い・・・( ;∀;)格闘3時間・・・。諦めました・・・。理由は、この日は夕方から仕事だったので、タイムアップ。再検査を翌日まで延期してもらっていたのですが、帰宅後に再度作業に取り掛かる気力は残ってないはず・・・。ですので、本体は『表面磨き直し』だけで「内面の磨き」はできずに再挑戦になります。当日・・・。整備士の方ににこやかに迎えられ、「おっ、前回よりだいぶきれいになりましたね!」という言葉を頂き、再検査・・・。結果右目 5,400カンデラ前後、左目 5,100カンデラ前後。見事不合格です。(涙)「これ、あれですよ、内側か樹脂自体に劣化したミクロ単位の細かい気泡みたいなものが出来てしまっているので、レンズの部分で光が乱反射して光軸が定まって来ないので、測定値が安定しない状態になっているんだと思います。」ええ、私もなんとなく磨いている段階で気付いていましたよ・・・。「で、どうしましょう?おやかたさん、この車をどのくらい乗るつもりでいますか?」「そうですね・・・。このタイプの同様の仕様車が中古でも見かけないので、長く乗りたいんですよね・・・。」「もう一回車検を通すくらいまで乗るのでしたら、痛いですが新品に変えても良いかと思います。というのも、中古品で今回OKになっても、次回の車検でまた、同じようなことが起こる可能性は否定できないので、結局トータルでは新品と同等の金額になってしまうと思うんです。新品であれば、10年とは言いませんが、6,7年は普通に持ちますよ。」確かに、言われてみてそう思った。今の段階では長く乗るつもりでいるので、結果としてその方が良いのかもしれない。「じゃあ、新品に交換で。」ポリッシャーとか中古品など合わせてが1万円強ほど、掛かったもののこれで中古を買って、ダメでした・・・。と言われても余計な出費がかさむだけなので、ある意味諦めました(笑)2日後に部品が入るので、その時に車検も全てまとめてやってくれることになりました。今まで掛かった点検や取り換えの工賃も検査費用の中に収めてやってくれるというので、ありがたくお言葉に甘えました。細かなブーツ類やブレーキパッドなども交換してくれましたが、こちらは、工場長に内緒で明細に載せないけれどやっておきました。との事。交換の履歴は点検簿には載せるけれど、工場長は請求書しか見ないので問題ないそう。恐らく数千円だとは思いますが、ありがたい・・・。ちなみに、ライトを新品に交換して測った検査数値を見せてくれたのですが、14,300カンデラと14,100カンデラになったそうで、「前のライトとはくらべものにならないほど、明るくなったと思いますよ。」という事でした。そう言われると、夜が待ち遠しくなるじゃないですか・・・。車検が終わったのが18時過ぎだったので、もう間もなく暗くなるはず。近くのファミレスに入って、夕食を食べながら闇を待ちます。(笑)満腹になった頃には、薄闇に。まあ、見た目にもヘッドライトは曇り一つなくピカピカの状態。(そりゃそうだ)明るくなって当然でしょう。車に乗り込みエンジンスタート。そして、ライトON。「げっ!!」言い方は悪いですが、「くそ明るい!!」これ、対向車まぶしくない?って程に明るくなりました。そして、光が届く、奥行きも増してます。今までのライトは何だったのかい??そりゃそうですよね、測定値で約3倍違う訳ですから。まさに見通しが明るくなりました。安全性という面でも、夜の視認性は格段に上がりましたね。今まで、車検って金ばかりかかる余計な検査だと思ってましたが、こうしてみるとまあ、必要ではあるのかな・・・と感じました。(ただ、高いとは思いますがね)不意の出費で痛くはありましたが、この先の安全(運転の心構え次第でもありますが)は確保できたのかもしれません。人生の見通しもこのくらい明るければもっといいんですがね~~~。(笑)