20代前半の話 | ほぼうさのブログ

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ロジカルオシレーターほぼうさのブログです。

18で東京に出てきて20代前半まで、ツタヤというレンタルショップにお世話になっておりました。

とにかくあの頃は「音楽っていうのは幅広く何でも聴くのがイイんだよ!」という先輩の話を鵜呑みにし、たいして興味もないアーティストのCDを借りてPCに取り込んでは即日返却、というのを繰り返していました。ちなみに、そのとき金言を授けてくださった先輩はプログレデスメタルに傾倒し、すべての音楽はシニックというデスメタルバンドに行き着く、というトンデモない結論を導き出しておったとさ…

今の時代のように、名前は有名だけど聴いたことないからYOUTUBEで確認…なんてできませんから、ちょっと聴いてみたければレンタルが必須という時代でした。今思えば、そのCDたちのうち、9割がたはまったく役に立たなかったんじゃないかと後悔しています。この失敗した経験から言えることは、音楽は幅広く聴くのが正解ではないということです。興味の対象となったものをひたすら深く聴きこむのがいい。そして近縁ジャンルとの相対比較によって、対象を客観的に分析すること。音楽のリスニングには、「掘り下げ」と「全体像の把握」が何よりも重要です。

と、まあ悪いことばかり書いてきましたが、実はその手さぐり期にワタクシがBill Evansを借りて保存していたんですね。10年以上の時を経て、先日偶然にも発見いたしました。何も知らんけどエバンスを借りよう!となれば、ワルツフォーデビィみたいなリバーサイド系を口車に乗せられて借りるのが関の山なんですが、そのとき自分がセレクトしていたのは「Since we met」という激シブなセレクション。なんでこれ借りようと思ったんだ当時の俺…。しかしそこで音源を聴いてみると、とっても素晴らしいアルバム。和音やリズム、テクニックにひたすらこだわった時期から脱皮し、バラード中心できれいな音使いを追求していました。セッション系アルバムにありがちな雑さもなく、思わず何回も聴いてしまう。

いまツタヤでひたすらCDをレンタルする若い諸君…なんていうのはもはや絶滅危惧種だと思いますが、10年経って偶然役に立つこともありますから、あきらめずに頑張ることもいい選択肢だと思います。