先日。
お弟子さんよりお昼12時43分頃架電あり。
お昼のお誘いか知らん。
でも私は既に鰆の味噌漬け定食を
咀嚼に咀嚼の上食べ尽くしたので、
これはお断りせんといけないなあ。
などと考えつつ応答。
社会人ぽい挨拶をニ、三交わした後、
お弟子さん突然、
「先生!タウェスワンはありませんか?」
と仰る。
次の瞬間自分はむかっ腹を立てた業腹。
と言いますのも、
お弟子さんと私を含む四名は数日後、
久方ぶりにマージャングをする予定であった。
それで私は何故そないに腹を立てるか業腹なのか。
頭がおかしいのか気がふれてしまっているのか。
ある人によると。
タウェスワンを身につけると「ギャンブル運」が向上する。
というご利益がある。
というのを以前私はお弟子さんにお教えしたので、
来るべきマージャングの日に備えタウェスワンを獲得。
その効力で私をかっぱごうとしていると合点がいったからである。
なんたら人非人。
仮にも師匠をその教えから得た知識でもって、
やりこめようと言うのである。
これは煉獄でじりじりローストされるのは必定。
こうなったら当日僕は、
プラ所有力に物を言わせ、
げっついごっついプラを数多首にぶる提げ、
事ある毎にじゃらじゃら。
リーチ!一発じゃらじゃらツモドラドラドラドラじゃらじゃら。
あ、裏ドラものったじゃら。
チップ6枚じゃら。
という具合にしてやろう。
殺す。
ぐらい刹那の間考え、
念の為「一体どうしたのですか?」と
紫色した唇をぶるぶる震わせて訊ねたところ、
「最近、変な物が憑いているようでおかしいのです」
と、こう仰る。
タウェスワンは悪霊などを退散させるのがお役目。
そういうバッド・バイブスをやっつける為に、
寺院の門でいかめしい顔をしておいでなのである。
ハッキリ申し上げてお弟子さんの知識は正しい。
そして地元人民でもタウェスワンをぶる提げている人間は、
非常に少ない中、
私は常時二つぶる提げ、日ごろより周囲の者に、
タウェスワンはヤヴァいぜ。キテるぜ。
と吹聴しておった張本人なのである。
自分は走れメロスの心境でお弟子さんに詫び、
一体全体どうしてそないな悪い物に憑かれたのか。
と訊ねた次第である。
事の成り行きは、プライバシの問題もありますし、
面倒臭いので割愛させて戴きますが、
とある事件をきっかけに、
今まで数百回は乗った飛行機であるにも関わらず、
空港カウンターでチェックインさせて貰えなかったり、
夜中突如咳が止まらなくなり、
咳をしすぎて嘔吐。
何をしてもしっくり来ない事夥しく、
堪り兼ねて私に架電されたとの事。
自分は自分の矮小さを恥じ、
お弟子さんが困って助けを求めているのである。
助力、協力するのが人の常。
師匠の使命である。
任せておきなさい。
と力強く伝え当日の予定を全てキャンセルし、
目ぼしい場所までおっとり刀で向かったのであります。
平生より。
マーケティング調査に余念の無かったお陰で、
すぐさま二箇所で入手可能である事を突き止め、
その内の一つに即座に赴き、
難なく入手したのであります。
ご迷惑ですから後日で結構です。
と殊勝に言うお弟子さん。
早合点した後ろめたさもあり私は、
頼まれてもいないのに、
酷暑の中徒歩よりお弟子さんの会社へ向かい、
「さ。さ。これを。これでキミは大丈夫だ」
と手渡し早々に辞去。
その夜。
昼間の暑さと疲労から体調が頗る不良。
しかし、
前々から会食の約束をしていたので無理を押して外出。
次の日朝から最悪の感じになって。
数日後行われたマージャング。
数年前の復讐を誓って勇んで向かったものの、
ツキというツキに見放され、
元元博打の才能も無かった事も災いし、
独り大敗。
退廃的気分の私の対面では、
独り大勝したほくほく顔のお弟子さんが呵呵大笑。
マアジャングの後にタウェスワンを手渡していれば、
悪霊にとり憑かれ心身共に参ったお弟子さんから、
莫大な銭をせしめる事ができたのに、
悪霊は退散させるは、
ギャンブル運は向上させるは、
と全てにおいて選択ミスを犯した私。
しかし。
私はついていた。
何故ならもしプラをしていなかったら、
あんな程度では済んでおらず、
会場に向かう前に野良ドッグに噛まれ、
痛みでのたうち回っている所を、
90CCの極彩色ヤマハに追突され、
頭蓋骨を骨折。
退院した後は脳のダメイジと恐水病から、
くるくるぱーになっていた所である。
プラをしていた本当に良かった。
そしてお弟子さんは、
私にこういう仕打ちをしたので、
ふふふ。
皆までは言いますまい。
臥薪嘗胆不倶戴天。
吽ッ!と夜叉の顔よ。
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