現在の社会的活動についても、ふれていこうと思う。というのも、私がクリスチャンであることの意味や確信が、社会的に弱い立場にある方々とのふれあいによるものであるからだ。

現実の接点の中で、教えられ神様から示されたことが多い。

 

障がい者支援活動のきっかけとなった障がい者事業所への義憤 

相談サポート事業を始めてしばらくたってから、私は、障がい者の為の活動をしようと思い立つが、それは次のきっかけからだった。

ある日、私と同年代のうつ病の方から電話がきた。例の地下鉄駅のポスターを見たという。電話ではとても落ち込み、不安定な状況を感じとったため、とにかく来てくださいと伝えた。いらっしゃると、立っているのもやっとの状態だった。

お話を聞くと、スーパーのある部門の責任者として三十数年間働いてきたが、経営者が若返り、経費削減のため解雇される。今までの人生は何だったのかと悩み始め、精神病院に数年入院した。退院後、障がい者の就労継続支援事業所A型で働く。

その事業所の経営者の豪邸には、犬小屋ならぬ犬部屋があり、その掃除を命じられる。その部屋の雑巾がけを終わると、「きたない。やり直し。今までの時間分は工賃をはらわない。」と言われたとのことである。これらの扱い等から、人生を否定されたような気がして、厭世感も強まり、やっとの思いで相談に来たようである。過去には自殺未遂も何度かあったようだ。

若いころから頑張り屋で、仕事も精いっぱいしてきたのだろう、そんな様子がうかがわれた。「あなたは、悪くない。組織や世の中の仕組みがおかしい。」と励ますしかなかった。その後、心の浮き沈みは繰り返したが、継続してお会いしている中で、徐々に元気を取りもどされた。

また、二十歳台の方で、こちらも又、A型事業所で働く青年が、同時期に相談に来た。母親と二人で生活しているが、将来に向けアパートを借りて自立したいとのこと。しかし今は、二時間しか働かせてくれないため、収入が足りない。自分は体力もありもっと働けるのだが…、との相談内容だった。

私は、制度の仕組みや実態がわからないまま、「所長にもっと長時間働かせてもらうよう要望してみたら。」とアドバイスしたが、結果は現状通りと言われたとのことだった。

 

このような経緯から、制度の仕組み及びその運用状況について調べてみた。

障がい者の就労支援事業所には、障害者自立支援法(現障害者総合支援法)により、就労継続支援A型、B型及び就労移行支援の三種類があり、A型だけは、利用者と雇用契約をむすび最低賃金制度が適用される。また、いずれも利用人数に応じ、国からの給付金が支給され、事業所は、それを人件費・施設費等の管理費に運用している。

例えば、A事業所での時給を七百五十円とする。ある利用者が、二時間働くと千五百円、四時間で三千円が本人に支払われる。一方、ある利用者が二時間だけ働き、その後、違う利用者が二時間働いた場合でも、事業所としての合計支払金額は、三千円で変わらない。

一方、A型事業所には、国庫給付金が利用人数単位で支給される。その金額は加算等の状況によって違ってくるが、一人当たり七千円とすると、四時間の仕事を一人で行った場合、一人分七千円の支給となる。しかし、二人で行った場合、二人分として一万四千円支給される。

コストは同じだから、事業所では、できるだけ一日に働く人数を増やした方が、実入りが多くなる。従って経営を優先して考えると、私の処にきた青年の事業所のようなやり方におちいりやすい一方、利用者の希望は優先されない。

 

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